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文化を、アートへ | 宿と食を創っていく仲間を募集します
島根県の山間にある小さな町、津和野。
江戸時代から続く城下町の面影が今も残るこの場所は、「山陰の小京都」とも呼ばれています。
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静かに流れる高津川、趣のある町並み、そして地元の人々が守り続けてきた文化や伝統——。
けれど、過疎化が進み、古くからの建物や営みが失われつつあります。
かつて、町の中心で300年にわたり酒を醸していた「橋本本店」も、後継者不在のまま時が止まっていました。
このまま、歴史は静かに消えてしまうのかもしれない。
でも、そんな未来にしたくない。
だから私たちは、この場所を「若槻」という宿へと生まれ変わらせました。
ただの宿ではなく、地域の物語を受け継ぎ、未来へとつなぐ場所として。
今、ここで、ゼロから場を紡いでいく仲間を探しています。
津和野の文化や町の想いを受け取り、それを誰かにお渡ししていく場を、私たちと一緒に創りませんか?
若槻とは | 時空を超えた宿泊体験
かつて、津和野の町で300年もの間、酒を醸し続けてきた「橋本本店」。
この建物は、時代の流れとともに役割を終え、一度は静かにその扉を閉じました。
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しかし、その歴史に終止符を打つことは、町の記憶をひとつ失うことでもあります。
橋本家の子孫にあたるこの建物のオーナーは、かつての酒蔵としての姿や賑わいを取り戻したいと願い、私たちにその想いを託して頂きました。
若槻は、時空を超えた「インスタレーションアート」
若槻は、構想から5年以上の時日を経て、2024年末にようやくリノベーション工事を終えて新しく蘇りました。
最初は私1人の想い(妄想)からのスタートでしたが、この5年間で多くの方々のご協力や応援を頂くことで、やっと形になったところです。
そんな「若槻」ですが、ただ泊まるための宿ではありません。
観光地の「一機能」としての宿泊ではなく、過去・現在・未来をつなぐ舞台 として、この場そのものを「アート」として私たちは表現しています。
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当初、この建物を蘇らせるにあたり、いきなりゼロから酒蔵再建といったことは非常に難しい中、事業性や地域性を勘案した結果、まずは宿泊施設から始めようと判断しました。
しかし、そこで考えたのは「なぜ宿泊なのか?」ということです。
今流行りの古民家宿として再生するのではなく、改めてこの場所の存在意義から紐解いていくことにしたのです。
結果たどり着いた答えは、土地に眠る何百年単位の文脈(コンテクスト)に徹底的に向き合うこと。そして、過去を起点に100年先の未来へと想いを紡いでいくこと。
宿泊は、旅の中で最も長く滞在し、静かに過ごす時間。
だからこそ、ここは「言葉にできない土地の価値を、五感でゆっくりと感じ取る場」になれるはず。その中で、想いが時空を超えて重なりあえる場にしようと考えました。
時空を超えた繋がりを生む宿へ
私たちは宿という枠組みを超えて若槻を捉える中で、いくつか参考にして着想を得た施設があります。
例えば、瀬戸内にある心臓音のアーカイブや、鹿児島にある知覧特攻平和会館。
どちらの施設にも共通するのは、会ったこともない人の存在を、まるですぐそばにいるかのように感じられるということ。
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そこに記録され、残されたものたちは、ただの過去の遺物ではありません。鼓動の音に耳を澄ませた瞬間、戦火を生きた若者の手紙を読んだ瞬間——
自分とは違う時代を生きたはずの誰かと、魂がふと繋がる感覚があります。
若槻もまた、そんな場所にしたいと考えました。
歴史や文化は、単なる記録ではなく、長い時間をかけて誰かから誰かへと受け継がれてきたものです。
私たちは今、その長いバトンの一部を手にしていて、そしてまた未来の誰かに手渡していく——。
この宿に泊まることで、自分という存在と静かに向き合ってもらえたら。
この土地に息づく長い歴史や文化に包まれながら、見えないつながりの中に、自分もまた溶け込んでいく感覚。
若槻は、そんな体験を生む、世界でも唯一無二の場になっていってほしいと願っています。
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募集 | 体験のデザイン
そのため、若槻での仕事は、単なる宿泊施設の運営ではありません。
ここは、過去と未来が交差する、私たちや空間が溶け合う有機的な場。
この場所を訪れる人々に、ただ泊まるだけではなく、時の流れの中に自分がいることを感じて頂ける体験を提供したいと考えています。
そのために必要なのは、「管理」ではなく、「体験のデザイン」 という視点。宿の運営に携わることはもちろんとして、
「この場所を通して、どんな時間を過ごしてもらいたいか?」
「この土地に根ざした文化を、どのように伝えていくか?」
そんなことを考えながら、企画や運営に関わっていく仕事です。
たとえば、宿の空間そのものをより豊かにするためのアイデア。
あるいは、この地で受け継がれてきた文化や伝統を、今の時代にふさわしい形で伝えるための工夫。
私たちは、そうした発想を持ち、一緒に形にしていく仲間を探しています。
ただ決められた業務をこなすのではなく、「場をつくる」視点を持って、若槻という空間を育てていく仕事の仲間を募集しています。
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若槻が描く仲間の人物像
若槻という建物は出来上がりましたが、体験はまさにここから一つずつ創り上げていきます。そんな場のデザインをゼロから携わりたい方、またその過程で様々な想いを大切にしていただける方を、若干名募集させて頂きます。
様々なバックグラウンドをお持ちの方に是非ご興味をお持ち頂ければ嬉しいですが、今私たちの方で考えている若槻らしい人物像は以下のとおりです。
場を創るという視点を持てる方
宿の運営にとどまらず、この場所の時間や空間をデザインし、訪れる人に新たな体験を生み出していくことに興味がある方。地域に根ざした仕事をしてみたい方
ただの地方移住ではなく、この場所だからこそできることを考え、その土地の文化や歴史に寄り添う仕事をしたい方。他人や過去、未来を想像することが好きな方
観光業やサービス業の枠にとらわれず、この土地の歴史や物語の一部になっていくことに魅力を感じる方。企画やアイデア出しにも関わりたい方
目の前の業務をこなすだけではなく、こんなことができたら面白いんじゃないか?と考え、それを形にしていくことにワクワクできる方。
募集職種 | ホスピタリティスタッフ&調理スタッフ
若槻では、「体験をつくるチーム」の一員として、2つのポジションを募集しています。
① ホスピタリティスタッフ(接客・体験デザイン)
お客様との時間を紡ぎ、若槻での滞在そのものをデザインする仕事。
予約管理やフロント業務だけでなく、この場所でどんな時間を過ごしてもらうかを考え、形にしていく役割です。
② 調理スタッフ(料理提供)
若槻の体験を、「食」という五感を通じて表現する仕事。
料理は単なる食事ではなく、滞在の一部として、お客様の記憶に残るもの。その世界観を、ただ「つくる」のではなく、ひと皿ひと皿に込めて「届ける」役割です。
なお、若槻の料理は本社で開発されたメニューをベースにしています。
ただし、料理を通じて、若槻という体験を完成させていく——
そんな時間や空気を大切にできる方を歓迎します。
生活のリアル|遠くて近い豊かな田舎
都会の喧騒を離れ、山々に囲まれた静かな町で暮らす。
ここ、津和野はそんな場所です。
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「田舎暮らし=不便」だと思うかもしれません。確かに、電車の本数は少なく、夜になれば町は静まり返る。
でも、それは決してマイナスなことではありません。
時間の流れがゆったりと感じられる。日々の営みが、丁寧に積み重なっていく。ここでは、そうした時間を味わうことができます。
星空は人生で見た中で最も美しいと感じましたし、実際に津和野には日原天文台もあります。この記事を書いているのは深夜ですが笑、まさに今、星空が広がっています(写真だと伝得られないのが本当に残念です…)。
ここまで書くと、何もない田舎町という印象になるかもしれませんが、津和野町は城下町として栄えた土地でもあり、町としての豊かさがあります。
まず、当たり前ですが生活に必要なものはちゃんと揃います。
スーパーやコンビニもあるし、町内には高校もあります(なお、過半数が県外からきた子達となり、寮もあります)。JR(津和野駅)も通っている他、空港までのアクセスも良好(最寄の石見空港の他、山口宇部空港からもアクセス可能)で東京から実は近い立地になります。
島根=遠い、不便、というイメージがどうしてもつきまといますが、こんな豊かな土地が身近にあるということを、もっと多くの方に知って頂きたいと個人的には思っています。
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そして何より、この町で暮らす人々は、外から来た人にも温かいです。
私自身、東京と津和野を行ったり来たりの生活ですが、そんな私のことも温かく受け入れてくれました。
またここ津和野はⅠターンやJターンの方も多く、海外(フランスやイタリア)から移住された方もいらっしゃる、そんな土地です。
だからこそ、私のような「よそ者」も、生活のことや仕事のことも、気軽に相談できます。
不便さの中にある豊かさを見つける暮らし。
ここでの生活を、一緒に楽しんでみませんか?
最後に | ちょっとでも気になる方へ
ここまで読んで、「ちょっと気になる」と思った方へ。
私たちは、単に労働力として「働く」人を募集しているのではありません。
この場所に身を置き、過去と未来をつなぐことに興味がある人、
若槻という空間を一緒に育てていきたい人と出会いたいと思っています。
まずは話をしてみませんか?
だから、まずは「どんなことをやりたいか」「どんな働き方が合いそうか」、気軽に話をしてみませんか?
若槻は津和野にある会社ですが、私自身は東京に会社(親会社)もあり、二拠点を行き来しています。また「はたらく」の在り方をもっと柔軟な社会にしたいと願っており(詳細は以下ご参照ください)、その中で若槻への関わり方も、様々であってほしいと思っています。
津和野に実際に来てみるのもいいですが、まずはオンラインでお話しするのもOKです。また東京近郊の方なら本社(文京区千駄木)でご面談することも可能です。
もし、「今すぐじゃないけど、いつか関わってみたい」と思うなら、そんな気持ちを聞かせてもらえるだけでも嬉しいです。
募集要項(一次募集:2025年2月末まで)
職種|宿泊施設運営・企画(レストラン事業含む)
勤務地|島根県津和野町
雇用形態|正社員 / 契約社員 / その他希望の方は応相談
給与|応相談(経験やスキルを考慮)
福利厚生|社会保険、住宅手当、交通費補助
勤務開始|2025年4月~5月頃を予定(相談可能)
ここで、自分にしかできない何かを紡ぎたい。
そんな想いが少しでも芽生えたなら、ぜひ一度、話しましょう。
▶ お問い合わせ・応募はこちら
なお、お問い合わせを多数いただけるようでしたら(そんなうれしいことがあるなら)、合同説明会等も実施したいと考えております。ちょっと気になる、少し話を聞いてみたい、といった方も是非、お気軽にご連絡ください!
ソーシャルデザインパートナーズ株式会社 代表取締役
国立大学法人 東京科学大学
たか(Takayoshi)