スラムダンク映画を複数回観た人にありがちな謎現象について。
このnoteを最初に書いたのが今年の1月23日なので、1か月と少しが経ったことになる。
私自身は昨年12月の中旬に1回目を鑑賞し、今まで合計9回観た。
もちろん、一つの映画をこんなに連続して(それも、映画館で)観たというのは初めての現象だ。
同じように「スラムダンク沼」に落ちている人も多いようで、noteのアクセスも毎日伸び続けている。うれしい限りだ。
2月も後半に入ったころから、アクセス状況にちょっと変化があることに気づいた。
それまでは、三井寿のことを書いたり、映画の内容そのものについて記述したnoteが良く読まれていたのだが…。
※例えばこれとか
これとか
それが、2月の後半あたりから急速に、「山王工業」についてのnoteが読まれるようになってきたのだ。
例えばこちら
あるいはこちら
いずれも1か月前くらいに書いた記事で、ここからさらに数回鑑賞を重ねているので、正直もっと濃密に書けたなと言う気もしているのだが(時間があればまた追加でnoteにまとめたい)、考えるにこれは、
「映画を複数回観ると、多くの人が湘北の対戦相手である山王工業に興味を持ち始める」
という現象なのでは、と思い至った。
もちろん、湘北のメンバーたちが中心に描かれているのだが、対戦相手である「王者・山王」の存在がなければ、彼らは輝かない。
宮城リョータの前に不気味に立ちはだかる深津一成、図に乗りすぎて腹も立たないスーパーエース・沢北栄治、そして超高校級のセンター・河田雅史。
原作でも、この3人が中心となって湘北高校をどんどん追い詰めていく。
映画にのめり込めばのめり込むほど、山王工業の底知れぬ強さに気づき、気がつけば白と紺のユニフォームを目で追ってしまうのだ。
そして、その理由の大きなものとして、私は
「山王工業の選手のバックボーンは、原作を読んでもほぼ情報がない」
ということも挙げられるのではないか、と思っている。
山王工業の選手の中で、「なぜ山王工業に入学したのか」という個人的な背景が描かれているのは、沢北栄治一人だ。それ以外の選手について、個人的な背景はもちろん、彼らの高校生活がどんなものであるのか、など、情報はほぼ皆無だ。
例えば、
・深津一成はなぜ「ピョン」を語尾につけているのか?
・彼らは秋田県出身なのか?それともスポーツ推薦などで県外からやってきているのか?
といった初心者的(?)疑問から、
・選手の体重(身長については映画パンフで補完された)
・彼らは寮生活をしているのか
・「沢北がいなけりゃどこでもエース張れる男」松本稔(by 武藤・海南大附属)が、2年生になった時に沢北が入部してきた時の心情
・深津の語尾がベシからピョンになった経緯
・一之倉は合宿を脱走しなかったが、松本はどうなのか
といったコアな疑問まで、私たちはそのひとつひとつに、一切の答えを持たないのである。つまり、映画を観て疑問を持ったところで、私たちは(原作者が明かさない限り)一生その回答を知ることはないのだ。
※やや疑問の対象が松本に傾いている感はあるが、これはレギュラーメンバーの中でも松本がもっとも謎多き男だと思っているからです。加えて、松本稔には人を惑わせる何かがあると思っている。なぜあんなに三井の心配をしてくれるんだ、優しい男だな、稔…。
謎が深い、だからこそ興味を惹かれる。
山王工業は、そんな存在になっているのではないだろうか。
原作をあらためて読み返すと、山王工業の初登場シーンは湘北VS豊玉の試合を敵情視察しに来た場面になっている。
原作者もこの時点ではまだキャラクターが定まっていなかったのではないかと思うのだが、これだけ見るとなんとなく松本が主将っぽい気がする。
一応、深津が監督の横にいるし中央に描かれてはいるが、この男が「日本中のガードの心を折ってきた」男だとは分かるまい。深津一成、食えない男…。
また、豊玉戦終了後の山王メンバーの中で、選手として初セリフを喋るのは、松本だ。(ちなみに山王の初セリフは堂本監督の赤木評「いいセンターだ」です。)
いやこれもう松本がキャプテンでしょ。
でも、その右のぬぼっとした男がキャプテンでしたね…。
山王工業について、知ろうとすればするほど、沼に落ちる。
そんな現象が、「THE FIRST SLAM DUNK」の上映開始から3か月が経った今、起こっているようだ。