スリルミー2023 尾上×廣瀬ペア
まえがきは以下に。
1度きりの観劇となった、尾上廣瀬ペア。
尾上私は、柿澤彼とのCDの印象でずっと「気持ち悪い私」だと感じてここまで生きてきました。
おかきペア観たかったな……
ちなみに、CDのレビューは旧ブログに残してあるよ。
余談ですが、スリルミー再演のたびに旧ブログのアクセス数がえらいことになるので、みんな色々と飢えているんだなぁと思います。
ええ、わたしもそうです。
本題に戻ります。
先述のとおり、「気持ち悪い私」なんだろうなと予想しながら観劇しましたが、CDとは印象が変わっていました。
相手も違うし、9年(9年!)経ったし、そりゃそうかとも思ったけども。
スリルミーを観るときって、(わたしの場合は)私役の怖さとか、どこでスイッチ入ったのかなとか、そういうところに注目しがちなんです。
だけど、廣瀬彼に対する尾上私は、思っていたよりも落ち着いていた気がしたんですね。
ただ、その「落ち着き」が鍵なんです。
そして、今回このペアで驚いたのが、「彼役が気持ち悪い」ということ。
歴代彼の中で気持ち悪さを感じたのは廣瀬彼だけです。
何度も使ってしまう「気持ち悪い」は褒め言葉なので許してね。
だって、どこでスイッチ入ったのか分かんないくらい気持ち悪くて良かったんですよ。
何考えてるか分からない系の彼なんか?
盗みに入って逃げ込むとこのハイテンションっぷりもやばかった。
あんなにも私のほうを見ずにつまんなそう顔してたのが、「ヒャッハー!」って感じのテンションになってたからもう大変。
と思っていたら、犯行思いつくあたりですんごいデカい声出すじゃん?!
『計画』での「ハンマーで頭を割る!!!」が怖すぎたんですが???
あと全体的に目力もすごかったね。
そこでですよ。
それくらいわけのわからないテンションで気持ち悪い彼を前に、今度は尾上私に注目してみるわけですよ。
……あれ、冷静だな……?
『超人たち』とかもそうだったと思うんだけど、廣瀬彼が怖いおかげで、尾上私の落ち着きぶりがうかがえたんですよね。
本当に、尾上私は慎重かつ丁寧に、わざとやったんだな、こいつ……
って思えたんですよね。
IQの高い超人で、ニーチェに傾倒していたのが彼よりも私のほうだったんだなぁという説得力が、尾上私にはありました。
松也さんすごい……
で、そう考えると結局のところ尾上私も気持ち悪いわけです。
もうなんかこのペアの回を思い返すと「気持ち悪い」ばっかり出てきてあっぱれなんですけど。
どうしてくれよう。
叶うことならもう一度観たかったですが、新たな解釈のペアが誕生してしまったな……というのは確実に感じました。
だって、こんなにも彼の印象がガラッと変わったの初めてだったんです。
そして、松也さんがまた「私」を演じてくださったことも嬉しかった!
そうそう、今回のピアニスト3名はペアごと固定ですが、わたしは初めてのスリルミーが朴さんだったし、これまでも朴さん演奏の回が圧倒的に多いので、朴さんだと実家に帰ってきた感覚がありました。
プログラムのピアニスト座談会も面白かったです!
以上、尾上廣瀬ペアでした。