市民になる

「マチテラス製作所」って何を作っているんですか?と聞かれることがたまにあります。名刺に製作所と書いてあるので、何やら工業部品でも作っているように思われるのかもしれません。そんな時は、「まちを明るく照らすもの・こと・仕組みです」と答えるようにしています。「まち」とは自分たちの暮らす地域のことです。そして私たちが「作っています」というより、「まち」に暮らす人たちと一緒に「まち」の未来を作っていきたいと思って活動を続けています。そんなことを思いながら裾野市市民活動センターの運営もしています。

 ところで先日(11月の初め)、韓国のソウルに行ってきました。明治大学の柳澤先生の研究視察に同行させていただいたのです。「若者ビル」という若者の生活全般をサポートしているセンターを訪問した時のこと、そこを運営しているNPOの代表の名刺の裏に書かれていた言葉にちょっとうれしくなりました。そこには「bethecitizens」と書かれていたのです。「市民となる」あるいは「市民であれ」という意味と理解しました。この「市民となる」とはどういう意味でしょうか。ただそこに(ソウル市)に住んでいるだけでは「市民」にはなれないのでしょうか?

 実は「市民」という言葉は、なかなか奥が深いのです。2019年3月に番町センターで開催したセミナーでは、講師の松原明さんが「市民」についての説明にギリシャ時代まで遡ってお話されたことも思い出します。
 市民の定義はいくつかあるかと思いますが、ここで私の考える「市民」とは、自分たちの幸せのため、自分自身のことだけではなく、家族や友人、さらには自らが暮らす地域(社会)の様々なことに主体的にかかわることのできる人、かかわろうとしている人です。(今のところ)
 また以前、日本NPOセンターの早瀬昇さんは「市民活動を通じて、市民になる」と語ってくださいました。市民活動をする中で、地域に暮らす人々のこと、自然環境のこと、これから生まれ育っていく子どもたちのことなどを自分ごとして考え、取り組んでもよいことに気がついていき、そして「市民」になっていくということだと思います。
 名刺の「市民となる」には、私たちの未来は、みんなで考え取り組むことで作っていくものであることへの思いが込められているように感じ、共感したのでした。私たちマチテラス製作所も、これからも自分たちの暮らすまちの問題や未来のことを、市民の皆さんと一緒に考えたり、取り組んだりする機会や場を作っていきたいと思います。

静岡市番町市民活動センター 広報誌「ばんたび」2020年1月号 掲載
https://www.bancho-npo-center.org/_src/sc16235/82CE82F182BD82D1No41low.pdf

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