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持続可能な開発実現に役立つCSVのアーキタイプ その2: 社会的インパクト サスパタへの道(6)
PMI日本支部SDGsスタートアップ研究会の三木章義です。CSVのリファレンスカタログ作成に向けた活動 ~サスパタへの道~ 第6回です。どうぞ最後までお付き合いください。
今回は、社会のアーキタイプを紹介
前回のnoteは環境の原型(アーキタイプ)として、3つの環境的インパクトを紹介しました。
今回は、引き続き社会のアーキタイプとして、社会的インパクトを紹介します。環境的インパクトが人類への間接的なインパクトなら、社会的インパクトは人類への直接的なインパクトです。
社会のアーキタイプの重要なキーは、スチュワードシップ
サーキュラーエコノミー(循環経済)や公害防止など、環境のアーキタイプはある意味分かりやすく想定の範囲内でした。
社会のアーキタイプと言うと、ジェンダー平等や不当な労働の禁止、心と体の健康といった項目が思い浮かびます。かなり種々雑多な印象です。
社会のアーキタイプである社会的インパクトは環境と同じく3つ定義されています。
所有権よりも機能性を提供
充足を促す
スチュワードシップの役割を担う
最初にこの3つを知った時、あまり納得感は有りませんでした。正直、種々雑多な印象に対してたった3つ?網羅していないのでは?と思ったからです。
「所有権よりも機能性を提供」は、物理的な製品を所有することなく、ユーザーのニーズを満たすサービスを提供すると解説されています。サブスクやギグエコノミーが代表的ですね。
「充足を促す」は足るを知るで、エンドユーザーの消費量を積極的に削減するソリューションと書かれています。
3つのうち、分かりづらいのが「スチュワードシップの役割を担う」です。スチュワードシップを辞書で引くと、『他人から預かった資産を、責任をもって管理運用すること』と書かれており、ちょっと意味不明です。
「スチュワードシップの役割を担う」は、すべてのステークホルダーと積極的に関わり、長期的な健康と幸福(Well-Being)を確保する、と解説されています。
Well-Beingを、『ニコマコス倫理学』でアリストテレスが述べた最高善のように社会の究極の目的と考えるならば、こう言われてしまうと、広く社会のカテゴリーをカバーしていることは否定できないですね。
空白となっているパターンを、これから探していく
前回と今回、2回にわたって環境と社会の2つのアーキタイプを紹介しました。
世に出ている色々なパターン・ランゲージ本(大抵は〇〇パタと言うタイトルがついています)を参考にして考えると、恐らくアーキタイプの下にパターンが並ぶという構造になるかと思います。表にするとこんな感じです。
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これから、まだ空白となっているパターンを探していきます。次回は、環境や社会とは少し意味合いが異なる経済のアーキタイプを紹介する予定です。