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【0226】100食限定、売上を減らしにかかる飲食店経営

有名な事例ですが、ようやく本を読みました。

さよなら資本主義、業績至上主義

もう表紙が全てを物語ってるんですが、これは飲食店経営の本ではなく、おいしいステーキ丼の作り方でもなく、幸せのための本です。

なぜか当たり前で絶対正義だと思っている対前年比成長とか、売上こそすべての指標で下手したら、人の格すら決めつけられるんじゃないかという迷信に対して、「でや」と言ってくれている本です。

超ざっくり言うと

1日100食限定で、100食売り切ったらお店を閉めちゃう「佰食屋」という超美味いステーキ丼のお店経営者の方の書いた本。

原価率や人件費率、営業時間など飲食業界の常識と言われていたことと、真逆のことをして成功しているすんばらしいビジネスのモデル。
※ここでいう成功はいわゆる売上ドンドコドンの話ではない。そう思ったアナタは是非読んだほうが良い本

経営の話も、採用の話も、PRや広告の話もある、読む人の立場それぞれに気づきを残してくれるんじゃないかなと思います。

要するに「持続可能な働き方」の本かもしれません。

スタートはどこからか

広告やPRに費用をかけない分や、夜中までお店をあけない分など、100食限定とすることによって得た時間や労力やお金を商品に注ぎ込むことで、圧倒的な商品力ができあがっているそうです。

この話自体も、なるほどな。なんですが、やはりおそらく多いであろう疑問が「それは圧倒的な商品力があってこそできることなんじゃないの?」というもの。

佰食屋さんの場合も、はじめにめちゃくちゃ美味いステーキ丼があり、ある日個人ブログに取り上げられたことで行列ができ、という流れではあるので、「まずは競争力のある商品を作らないと!」と思ってしまう人も多いかも知れません。

以前に読んだこの方の本でも、同じように持続可能な働き方について触れられていて、この方は「捨てない」ことを決めたことでの色んな工夫が商品力につながっていました。

どちらにも共通するのは、外発的な「成功するぞ(売上的な意味の)!」とか「有名になるぞ!」というモチベーションではなく、「こういう働き方で生きていきたい」という想いの強さを感じるということ。

スタートは「想い」かもしれませんね。

それでもピンチはやってくる

京都にあるお店ということで、2018年に起きた大阪北部地震、その秋に来た台風・豪雨と、災害が続く年がありました。この時は僕の住むエリアも同じく被害が大きく、ガスや電気といったライフラインがしばらく止まるという経験をしましたが、佰食屋さんでも同じく被害があったそうです。

普段は観光客がたくさんいる京都も、この時には一気に減っていたそうで、佰食屋でも100食売り切れない日が続いたそうです。

お店を1店たたむ覚悟までしたそうですが、「想い」に立ち返り、続ける方法を選んだとのこと。もともと売上至上主義じゃないところですが、更に輪をかけて「ほな逆に減らしたったらええんや」という方法を選んだそう。

そんな悲惨な状態でも50食は売れる。
ということはこの50食は「何があってもブレない売上だ」と。そこから逆算して経営を見直すんだという、ここではファンベース的な発想も見えました。

こんなピンチの時も、はじめの「想い」に立ち返って、佰食屋”らしい”選択をされているのが素晴らしいなと思うとともに、
「災害はこれからもやってくる」
と、こういうピンチを前提として経営することを進め、さらにその働き方そのものをフランチャイズ化してみるという方向に動きだされているようです。

つながるつながるつながる

想いをもって何かをする人の考えは、なんでこんなにつながっていくんだろう。と思います。

サステナビリティや、環境に良いことや、ファンベースや、ダイバーシティ、何か良きことへとつながっていく「想い」、

パンもステーキもそれ以外も。
分野やはじまりが違えど、同じ想いにつながっていく気がします。

応援&ウォッチしたくなるお店がまた増えました。
本を読んだ方とぜひお話したいです。

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