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【0716】地域脱炭素ロードマップ読んでみた②

国・地方脱炭素実現会議というところから、地域脱炭素ロードマップというものが発表されました。以下は目次ページ。

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その①noteでは3-1脱炭素先行地域づくりのところまでを見てきたため、その②の今回は3-2から見ていきたいと思います。

その①のnoteはこちら↓

□脱炭素の基盤となる重点対策の横展開

基盤となりうる重点施策を8つ掲げ、それらの分野でどんな絵姿を目指しているかを明示してあります。また、「こういう創意工夫の例」というものも示していて、これによって、脱炭素先行地域じゃなくても、こういう工夫をしているのでは?というものを紹介してくれています。

重点対策1 屋根置きなど自家消費型の太陽光発電

<創意工夫例>
・ PPAモデル(※)による初期投資ゼロでの太陽光発電設備の導入
※Power Purchase Agreement(電力購入契約)の略称。発電事業者が所有する太陽光発電設備を電気料金を支払う形で利用するサービス
・ リース契約による初期投資ゼロでの屋根等への太陽光発電設備の導入
・ 駐車場を活用した太陽光発電付きカーポート(ソーラーカーポート)
・ 定置型蓄電池やEV/PHEV、給湯機器等と組み合わせることによる再エネ利用率の拡大

大きな初期投資の課題も、こうやって解決できるのでは。という例や、定置型の蓄電池やEVを活用した家庭での分散型発電が挙げられています。地方にいくと、都市ガスよりもプロパンがメインだったりすることもあり、このあたりは光熱費メリットもあるのかもしれないですね。

<絵姿・目標>
・ 政府や自治体の建物で、2030年には約50%、2040年に100%に太陽光発電設備を導入。
・ 蓄電池など需要側で需給を調整する蓄エネ機器の導入も含めて太陽光発電を初期投資ゼロ で設置できるビジネスモデルが確立し、自律的に普及していることを目指す。
・ 2030年までには太陽光発電設備併設型の家庭用蓄電池及び工場等の業務・産業部門に導入される蓄電池が、経済性を持つシステム価格を実現していることを目指す。
・ 2050年までに、電気を「買う」から「作る」が標準になり、全ての家庭が自給自足する 脱炭素なエネルギーのプロシューマーになっていることを目指す。

ここのタイトル、太陽光発電ではあるんですが、「蓄電池」が担う役割がかなり重要になりそうです。政府や自治体の建物での導入を目指すという中でも、「公立学校施設」での導入を含めたエコスクールの推進ということも政策方針として書かれていて、環境省だけでなく、文科省も対象に入ってくるようです。

実現会議の中に文科省は参加していませんが、いくつかの自治体が参加していることもあり、イニシアチブを持って進めていかれるのかもしれません。長野県とかは力を入れていきそうだし。

重点対策2 地域共生・地域裨益(ひえき)型再エネの立地

地域の環境・生活と共生し、地域の社会経済に裨益する再エネの開発 立地を、できるだけ費用効率的に行う。

と書かれており、他のページにも記載のあった「再エネポテンシャルを最大限活かす」ことで、地域活性につながる循環を生むことを目的としているようです。

<創意工夫例>
・営農型太陽光発電など一次産業と再エネの組合せ
・未利用地や営農が見込まれない荒廃農地、ため池、廃棄物最終処分場等の有効活用
・地元企業による設備工事の施工
・地域金融機関の出資等による収益の地域への還流
・災害時の避難所等への優先的な電力供給
・複数の適地をまとめた事業化
・再エネ発電や蓄エネの設備機器の共同購入
・既存の系統線や自営線等を活用した再エネの地産地消・面的利用
・エネルギー大消費地の大都市部と再エネポテンシャルの豊富な地方農山村の連携による再エネ開発と融通

SDGs未来都市のモデル事業等でも紹介されているような地域の産業と再エネをうまく組み合わせる方法が工夫例として紹介されています。良い事例がすでにあるので、これらが全国に広がっていけば。という考えがありそうです。

<絵姿・目標>
・ 地域が主役になり、地域と共生し、地域に裨益する再エネ事業が全国各地で展開され、地 域脱炭素の主役として貢献していることを一般化していくことを目指す。

太陽光発電の絵姿とは異なり、シンプルに1つのことが書かれています。主役は各地域。ということもあり、ここでの主な政策は「制度や法律の整備・見直し」ということが記載されています。

重点対策3 公共施設など業務ビル等における徹底した省エネと再エネ電気調達と更新や改修時のZEB化誘導

<創意工夫例>
・希望する家庭や地域企業と地方自治体との共同入札 
・複数の電力需要を束ねた入札
・最低価格まで競り下げるリバースオークション方式
・ESCO(Energy Service Company)の活用
・既存の公共施設における改修の機会を活用した積極的な省エネ化・ZEB化
・未利用熱の利用

再エネへの設備更新にどう誘導していけるか。ということの具体的な方法論として入札まわりのことが多く書かれています。要は「なるべく安くできるように」という工夫の仕方を紹介してくれているわけですが、費用捻出に苦しむ地方自治体にはありがたい反面、機器メーカー側や建設側からは辛い「リバースオークション方式」なども挙げられていますねw

オークションの逆版で、安値を言い合って、一番安い金額を提示した会社が獲得できるという方法。地元の企業であれば利益循環にもなると思うので、無理をさせることによる品質劣化にはつながらないように社会視点も持った運用が望ましいですね。

<絵姿・目標>
・ 2030年までに新築建築物の平均でZEBが実現していることを目指し、公共施設等は率先 して ZEB を実現していることを目指す。
・ 公共部門の再エネ電気調達が実質的に標準化されていることを目指す。

公共部門はこの数年で大きくエネルギーまわりでの選択肢が大きく変わりそうな絵姿。「再エネじゃないと買えないんですよ。」という会話が標準化されていきそうな目標です。

続きます

なかなかの濃さ。ちょっとしばらく続くかもしれません。次は重点対策④からです。

2021.06.28追記 その③を更新しました。


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