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【0294】目標2:飢餓をゼロに

SDGsの17の目標、169のターゲット、232の指標を改めて今の知識で振り返ってみるシリーズ。目標とターゲットの参考は、一番分かりやすい(と思っている)Think the earthさんのサイトからお借りします。

目標2 飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する

<ターゲット>
2.1 2030年までに、飢餓を撲滅し、全ての人々、特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする。
<指標>
2.1.1 栄養不足蔓延率(PoU)
2.1.2 食料不安の経験尺度(FIES)に基づく、中程度又は重度な食料不安の蔓延度

というターゲットからスタートします。飢餓と貧困のつながりは、かなり直接的なこともあり、この目標のターゲットは「食」にまつわるステークホルダーの貧困からの脱却という側面も強いように思います。また、健康も食とは関係が深く、栄養飢餓という観点のターゲットもいくつか設定されています。

◯飢餓問題と食品ロス多い問題の不均衡

食まわりではよく出てくる問題ですが、飢餓で苦しむ人がいる一方で、食品ロスという飽食が課題になっている国もあるという課題。世界全体で見ると支援した食料よりも廃棄した食料の方が多いという状態でもあるそうです。

先進国で捨てられるはずの食を、足りないところに流通させれば解決する。といえばそうなんですが、どこまでが捨てられるもので、どこまでが捨てられないものかは区別ができないし、捨てられようが購入してくれるということが生産側としてはありがたく、それで得たお金で自分たちも食にありつけるという状態もあり、普通に市場の論理にまかせていたのでは解決しない問題です。
このあたりは資本主義による成長の限界の一つかもしれないですね。

◯持続可能な農業

ターゲットの中にも言葉として記載のあるものの中で「持続可能な農業」というものがあります。

農業の工業化によって、土地を無理に使ってしまうことで、長い目で見た時の生産性の低下などを招いたり、その他にも環境への被害を与えてしまうそうで、そういったことのないように農業を持続可能に考えた内容にするというもの。
その中には

農村の生活を人々の尊厳にふさわしい水準に維持、および平等さと社会福祉の向上(資源の利用権の確保・ジェンダーギャップ・貧困と食料安全保障などの側面)

というものもあり、農業に従事する方の貧困を救うという側面も農業の持続可能性に含まれます。

SDGsの目標2では飢餓の目標でありながら、こういった貧困を打破したり、環境や生物への打撃につながる農業を抑制するような目標も記載されています。

長い目で見た時の「飢餓の永続的解決」ということが「飢餓をゼロに」の真意ということがターゲットの中からも読み取れますね。

◯先端研究もこの分野にメチャ関係ある

フードテックと聞くと非常に幅広いテクノロジーやビジネスがあがってくると思いますが、その多くがこの目標2の「飢餓をゼロに」のターゲットと関連しうるテクノロジーだったりします。
・代替肉
・タンパク質関連テック
・ゲノム編集
あたりは直接的に食糧問題に関連しますし、
・AIやドローンによる農業のスマート化
・食のトレーサビリティへのブロックチェーン技術活用
などなども、先端で都市的なイメージのつきやすそうなテクノロジーも、飢餓の解決という目標に関連深くなってきます。

そのことは、SDGsの中でも「ターゲット」や「実施手段」にその可能性を伺わせる記載があり

<ターゲット>
2.5 2020年までに、国、地域及び国際レベルで適正に管理及び多様化された種子・植物バンクなども通じて、種子、栽培植物、飼育・家畜化された動物及びこれらの近縁野生種の遺伝的多様性を維持し、国際的合意に基づき、遺伝資源及びこれに関連する伝統的な知識へのアクセス及びその利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分を促進する。
<指標>
2.5.1 中期又は長期保存施設に保存されている食料及び農業のための植物及び動物の遺伝資源の数
2.5.2 絶滅の危機にある、絶滅の危機にはない、又は、不明というレベルごとに分類された在来種の割合

というような飢餓の撲滅そのものからは少し距離のありそうなものも記載されています。

「食」はSDGsの広範囲に影響のある重要なテーマであるということが、この目標だけからも見てとれますね。

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