見出し画像

【0717】地域脱炭素ロードマップ読んでみた③

国・地方脱炭素実現会議というところから、地域脱炭素ロードマップというものが発表されました。以下は目次ページ。

スクリーンショット 2021-06-26 15.00.46

その③の今回は3-2の中の重点対策4から見ていきたいと思います。

その②のnoteはこちら↓

□脱炭素の基盤となる重点対策の横展開

基盤となりうる重点施策を8つ掲げ、それらの分野でどんな絵姿を目指しているかを明示してあります。また、「こういう創意工夫の例」というものも示していて、これによって、脱炭素先行地域じゃなくても、こういう工夫をしているのでは?というものを紹介してくれています。

重点対策4 住宅・建築物の省エネ性能等の向上

<創意工夫例>
・自治体が、地域特性に沿った独自基準を設定し、事業者の研修・認定、認定事業者による 省エネ住宅施工の支援を行う。
・自治体に登録された省エネ改修アドバイザーが、専用の簡易診断ツールを用いて住宅のエ ネルギー性能の簡易診断を行い、地域住民に対して省エネ改修を働きかける。
・地域地球温暖化防止活動推進センターが中心となって、住宅の需要側・供給側の協議会を 作り、それぞれに対して情報発信等を行う。

住宅等の省エネ性能の向上は「供給事業者が主役になる」ことが求められていますが、そのための工夫例として、そういう主役になりやすいように、自治体が支援を行っていくというやり方。各事業所の個別の単位では、省エネ=自分の利益とつながりにくいシーンもあると思うので、こうした全体視野的支援は重要ですね。

<絵姿・目標>
・ 住宅の断熱性能等を向上させ、良質な住環境を創出することは、ヒートショックによる健 康リスクの低減等に資するものであるといったことが、国・地方・生産者・建築主等のあ らゆる主体の共通認識になっており、当然のこととして取り組まれていることを目指す。
・ 2030年までに新築住宅の平均でZEHが実現していることを目指す。

「省エネ住宅の当たり前化」。これを目指す。というシンプルな目標です。政策としても、情報流通や制度面での支援策が多くあがっています。

重点対策5 ゼロカーボン・ドライブ

脱炭素の要でもある「移動の脱炭素化」。

<創意工夫例>
・EVカーシェアリング実施(再エネ電力を供給したEVを災害時等の非常用電源にも活用)
・自動車会社と自治体の間での災害時にEV/PHEV/FCVを搬入し給電を支援する協定
・自律走行機能を搭載したEVバスが町内5kmの公道を定時定路運行
・地域特性に応じてタクシーにEVやFCVを導入

移動においても蓄電においても重要な役割を担うものとして「EV」の施策が盛り込まれています。工夫というよりも、技術導入案に近いかと思いますが、それくらいこのEVは移動の脱炭素において、欠かせない選択肢なんだとも言えるのかもしれません。

<絵姿・目標>
・ 地域内の人・モノの車による移動について、EV/PHEV/FCVが最初の選択肢となることを目 指す。
・ 2035年までに乗用車の新車販売に占める電動車の割合を100%とすることを目指す。
・ EV/PHEV/FCVを全国どこでも安心して利用できるインフラが整備されている。また、充電インフラの電力及び水素ステーションの水素は概ね再エネ等由来となっている。
・ 導入されたEV/PHEVの持つ蓄電機能は地域の再エネポテンシャルを最大化するための社会インフラとして活用されている(重点対策1及び2と連動)ことを目指す。
・ トラック、バス等の商用車や二輪車等についてもEV化、FCV化が進む一方で、バッテリー交換式 EV をエネルギーステーションとして活用することで、地域再エネの需給調整機 能化やレジリエント向上、地域循環経済に資するビジネスモデルが創出されることを目指 す。
・ 大型配送車等の重量車については、内燃機関の効率が向上しているとともに、再エネ由来 水素や合成燃料(e-fuel)など燃料のカーボンニュートラル化が進んでいることを目指 す。

と、絵姿も具体的な未来像が並びます。この絵姿自体は、ずっと語られている内容ではあるので、これをどう進めるか。ですね。それが政策対応案の中で記載されていて、各設備の導入の「推進」という記載が多くあります。この領域は法律や制度の整備段階ではなく、具体的にどれだけ予算をつけて導入を推進していくのか、という段階にあるのかもしれません。

重点対策6 資源循環の高度化を通じた循環経済への移行

サーキュラー・エコノミーの実現とも言える重点対策

<創意工夫例>
・ごみ半減プラン(食品ロス削減のため、食べ残しゼロ推進店舗認定制度や販売期限の延長 の取組)
・食品ロス削減推進計画(消費者・事業者・行政等の連携協力による食品ロス削減)
・地域で発生した有機廃棄物を地域資源として活用(家庭の生ごみのバイオガス化)

主には食品ロスの削減が工夫例として取り上げられています。食ロス自体の削減もありますが、どうしても発生する分もバイオガス化などの循環の仕組みも記載されています。

<絵姿・目標>
・ 市民・事業者と連携した環境配慮設計製品(省資源、リユース可能、分別容易、再生材や バイオマスプラスチック等への素材代替等)の利用やワンウェイ・プラスチックのリデュ ース、市町村、製造・販売事業者、排出事業者によるプラスチック資源の回収・リサイク ルが一体的に進んでいることを目指す。
・ 食品ロス量が、2030年度までに2000年度比で半減するとともに、発生する食品廃棄物に ついては食品循環資源としてリサイクルが進み、食品廃棄ゼロとなるエリアが創出される ことを目指す。
・ 使用済み製品等のリユース等が普及し、太陽光パネルや蓄電池等が、リユース可能なもの はリユース、できないものはリサイクルにより資源回収・適正処分されることを目指す。
・ 廃棄物処理や下水処理で得られる電気、熱、CO2、バイオガス等の地域での活用が拡大す ることを目指す。
・ 廃棄物処理施設のIoT技術等の活用による運転効率化や収集運搬車の電動化等が進むことを目指す。

絵姿としてはプラスチックを含む食品以外のもののサーキュラーも記載されています。ここは、EVとは異なり、法律や制度によって変わっていくところもあり、政策面でもそういった法律の整備と機器導入・意識啓蒙の推進といったことが書かれています。網羅的にやらないと進まないテーマなんですね。大変だけど、暮らしがガラッと変わる、大切なテーマ。

続きます

次は重点対策⑦からです。

2021.06.30追記 その④を更新しました。


いいなと思ったら応援しよう!