【0233】SDGs✕Tech:TOAワールド・ツアーTOKYO④
TOAワールドツアーTOKYOに行ってきたお話の続きです。
その③はこちら
FOOD5.0の話からオープンミールズに引き続き、スタートアップとしてFOOD5.0時代のビジネスにチャレンジしている方々のお話です。
クラウドキッチンがもたらす未来
クラウドキッチンをビジネスにしているKitchenBASEの方のお話。
客席を持たないデリバリーのみのキッチンだけの場所をクラウドキッチンというそうで、一つの施設に複数のキッチンを置いて、そこで料理をつくることに専念できるサービスだそうです。
サイトを見てみると、動画レシピサイトのテイストメイドがお店を持っていたりしています。
なぜこんなサービスを作ったか
のお話の中に、「なるほどなー」というものが多かったんですが、
まず日本の中で「飲食業」は廃業率が異様に高いそうです。
(KitchenBASEさん投影資料より)
1年で30%、3年で70%、10年で90%のお店が潰れるという業界だそうですが、開業するためにかかる費用は初期投資でだいたい1000万ほどだそう。
人によっては、サラリーマン時代に頑張って貯めた1000万円で開業して、そのうちの30%は1年で潰れてしまうという世界。
ただ、グラフを見ての通り、開業率も高いのがこの業界の特長だそうで、「いつかは飲食店をやってみたい」と考える人は多いのだそうです。(僕の周りにもいるし、なんだったら自分も何かタイミングが重なればやってみたい。)
食ビジネスの分業化とフェアな戦いを
もう一つ面白い、この業界特有の話として、ビジネスがフェアじゃない状態とのこと。
飲食店をオープンさせて、まわしていこうと思うと、相当な多分野にまたがるスキルを要求されるそうです。
不動産(集客を考えた上で)
資金調達
客席のレイアウト
デザイン
食材をどうするか
メニューのデザイン
調理
サイトや集客
SNSの運用
といった具合に。以前に取り上げた「佰食屋」さんも、美味しい料理ができるというスタートではありましたが、別のスキルとして不動産のスキルもあったそうで、お店を構える場所については立地をちゃんと検討したということをおっしゃっていました。
これだけ多分野の能力を求められる飲食店オーナーですが、だいたいのスタートは「料理を作ることを生業にしたい」というもの。当たり前ですが。
ただ、いざスタートしてみると料理・調理にたどり着くまでに本当にたくさんのことをクリアしていかないといけない。そんなこともあってか、スタートしてから180日ほどは店舗オープンまでに時間がかかるそうです。
ここに一つの疑問が生まれたそうで、例えば「俺は本を書いて生きていくんだ!」という作家さんの場合だと、本を作る行為や売る行為は他の人が仕事として確立していますよね。しかし飲食店の世界にはそれがない。
ビジネスとしてフェアじゃない戦いを強いられている状況だと思ったそうです。
今の世の中で普通に飲食店をスタートしようと思うと、
初期投資1000万円
準備期間180日(この期間収益は無し)
これがKitchenBASEさんを活用すれば、
初期投資100万円
準備期間30日
まで圧縮ができるようにしているそうで、フェアな戦いにしていこうという思いからこのビジネスを立ち上げたとのこと。
キッチンのプラットフォーム化
FOOD5.0の中でも取り上げられていましたが、クラウドキッチンをはじめキッチンのあり方が変わっていけば、賃貸のキッチンは変化するだろうし、すでに家の中に組み込まれたキッチンもその機能が変化するかもしれない。
なんとなく、親の手料理というものに美しさは感じるものの、それも内包した状態で暮らしが変化していくこともありえる。
もしかしたら、クラウドキッチンのあり方さえも多様化する可能性も大いにある。
ビジネスになるから。という理由以外で、この分野の未来がなんだか楽しみになる。お話でした。
2020.03.02その⑤を書きました。