SDGsランキングで分かった世界から見た日本の評価と現状の課題
世界経済フォーラムは、毎年開催している年次総会、通称『ダボス会議』で、SDGs参加国の達成状況を評価し、ランキング形式で発表しています。
最新ランキングでは、日本はどのような評価をされているのでしょうか?
今回は日本のランキングと合わせて、課題を掘り下げて紹介します。
■SDGs達成度ランキングってどんなランキング?|最新ランキングTOP10と日本の順位
SDGs達成度ランキングは、SDGsの達成度・進捗状況を国別に評価するもので、各国のSDGsに関する取り組みをスコア化し、Sustainable Development Report (持続可能な開発レポート)にて毎年発表しています。
以下はSustainable Development Report2020にて公表された評価をもとにしたランキングです。
1位:スウェーデン(84.72)
2位: デンマーク(84.56)
3位: フィンランド(83.77)
4位: フランス(81.13)
5位: ドイツ(80.77)
6位: ノルウェー(80.76)
7位: オーストラリア(80.70)
8位: チェコ共和国(80.58)
9位: オランダ(80.37)
10 位:エストニア(80.06)
・
・
・
17位:日本(79.17)
ランキングで上位を占めているのが北欧諸国であることが分かりますね。
北欧はSDGsが採択される2015年以前からサステナブルな取り組みを実施。企業や国民にその意識が根付いているんですよ♬
日本はアジア諸国の中でトップとなる17位にランクイン。しかし、2019年のランキングからは2ランクダウンしてしまいました。
■日本はSDGsの目標を3つ達成している!
Sustainable Development Report 2020によると、日本は目標4「質の高い教育をみんなに 」、目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」、目標16「平和と公正をすべての人に」の3つが達成していると判断されています。
とくに目標4に関しては、世界でもトップクラスの取り組みを実現★
目標4で重要視されるターゲット4.1「2030年までに、全ての子供が男女の区別なく、適切かつ効果的な学習成果をもたらす、無償かつ公正で質の高い初等教育及び中等教育を修了できるようにする」は、2019年から一部条件があるものの無償教育をスタートさせました!
【日本における教育無償化の流れ】
・幼児教育の無償化
2019年10から、全ての3~5歳児と住民税非課税世帯の0~2歳児が利用する保育所・幼稚園の利用料が無料に!
・私立高校の無償化
2020年4月より、「高等学校等就学支援金」の上限額が一般的な私立高校の授業料と同等額まで引き上げられたことで、私立高校の授業料も実質無償化することができます。
・高等教育(大学)の無償化
2020年4月から大学生などへ向けた「給付型奨学金」と「授業料減免」の対象者と金額を大幅に拡大。
また、これまで多くの企業取り組み事例をご紹介したように、日本の企業は他社とタッグを組んだり、独自の技術を発展させたりすることで、自社の強みと環境保全を両立させていて、高い評価を受けています★
■日本の課題はジェンダーと環境における意識、そしてODAを改善させること
3つの目標が評価されている一方で、5つの目標については『最大の課題である』との評価を受けてしまっています。
【日本の課題とされる5つの目標】
・目標5「ジェンダー平等を実現しよう」
・目標13「気候変動に具体的な対策を」
・目標14「海の豊かさを守ろう」
・目標15「陸の豊かさも守ろう」
・目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」
男女平等の指標となる議員数を2019年現在のデータで見てみると、世界の女性国会議員比率が24.3%に対し、日本は10.2%。
企業が女性の社会進出や女性役員比率改善に取り組んでいるものの、日本政府における女性国会議員比率を改善しなければ、SDGs目標5の評価を好転させることはできません。
また、もうひとつの課題は森林と海の環境についてです。
分かりやすい数値として公表されているのは大阪湾のレジ袋。関西広域連合による調査の結果、大阪湾には300万枚のレジ袋とビニール片約610万枚が沈んでいることが判明しました。
レジ袋という性質上、海を利用している人や近隣住民による海への投棄が原因のひとつと推測されますね。
レジ袋をはじめとするプラスチックゴミは、5mm以下のマイクロプラスチックゴミに変化。海の生物がエサと間違えて食べてしまうことで、命を落としてしまったり、魚を食べる陸の生物や人の体内にもプラスチックゴミが入り込んでしまったりするケースも少なくありません。
目標17はパートナーシップに関する目標でしたね。
途上国は先進国からのサポートが無ければ発展することが困難です。途上国への支援のひとつである公的資金『ODA』は、先進国がどれくらい途上国を支援しているかを示す指標となっています。
かつて、世界最大の援助国として評価されてきた日本ですが、2001年以降はODA実績が下降しているほか、GNI(国民総所得比)もSDGsが求めている0.7%を下回り0.2%前後を推移。
国の経済規模に見合った援助ができていないのが現状です。
こういった課題を改善、解消するための行動指針として、日本政府は2016年に公表したSDGs実施指針を2019年に改定し、国全体の目標として、8つの優先課題を策定しました。
【SDGs実施指針改訂版8つの優先課題】
1. あらゆる人々が活躍する社会・ジェンダー平等の実現
2. 健康・長寿の達成
3. 成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション
4. 持続可能で強靱な国土と質の高いインフラの整備
5. 省・再生可能エネルギー、防災・気候変動対策、循環型社会
6. 生物多様性、森林、海洋等の環境の保全
7. 平和と安全・安心社会の実現
8. SDGs実施推進の体制と手段
国や企業、自治体の取り組みだけでなく、その他の先進国と同様、社会問題と環境問題を私たちが身近な問題として捉えることも必要なこととして求められています。
■まとめ
今回はSDGS達成度ランキングをもとに、世界から見た日本の評価と課題をご紹介しました。
【今回ご紹介した内容】
・SDGs達成度ランキングとは
・高評価されている3つ目標
・課題とされている5つの目標
世界から高評価を受けている一方で、多くの課題があるのが現状ですが、ランキングトップの国も課題があると評価されている目標があります。次のランキングでは日本は何位にランクインするのか楽しみですね♬
▼参考サイト
・SUSTAINABLE BRANDS日本版|世界のSDGs達成度ランキング、日本は17位 格差是正の取り組み後退
・誰一人取り残さないSDGs media|2020年世界のSDGs達成度ランキング|目標ごとの成果と課題
・HUFFPOST|世界のSDGs達成度ランキング発表。格差是正への取り組み後退を指摘される日本は17位
・ノハム SDGs(持続可能な開発目標)をもっと身近にするメディア|SDGs上位国家の取り組み事例を紹介【フィンランド編】