独自の4Rで循環型社会の実現を目指す『花王(kao)』のSDGs取り組み事例
今回は花王(kao)のSDGs取り組み事例をご紹介します★
花王は1887年に創業(設立は1940年)した化粧品・化学品メーカーとして知られる世界的にも有名な企業です。
1887年と言えば、エジソンが白熱電球の特許を取得した歴史的な年!日本でも郵便番号のマークが制定されたり、現在の帝国ホテルが設立されたりと社会に大きな変化をもたらした年でもあります。
歴史的な変革と共に歩みを始めた花王では、どのような取り組みでSDGsに貢献しているのでしょうか?
■SDGsは社会問題の解消と持続可能な社会を目指す2030年までの国際目標
SDGsは、社会問題の解消と人と環境に優しい持続可能な社会の実現を目指し2015年の国連サミットで採択された『2030アジェンダ』に記載されている2030年までの国際目標です。
✅SDGsの正式名称
Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標
SDGsは、前身の国際目標であるMDGs(ミレニアム開発目標)を発展させ、先進国を含めた世界中で取り組む内容を設定しているのが特徴のひとつ。
「誰一人取り残さない」というテーマのもと、17の目標と目標達成に必要なことをまとめた169のターゲットで構成されているんですよ♬
✅SDGs17目標一覧
・目標1「貧困をなくそう」
・目標2「飢餓をゼロに」
・目標3「すべての人に健康と福祉を」
・目標4「質の高い教育をみんなに 」
・目標5「ジェンダー平等を実現しよう」
・目標6「安全な水とトイレを世界中に」
・目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」
・目標8「働きがいも経済成長も」
・目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」
・目標10「人や国の不平等をなくそう」
・目標11「住み続けられるまちづくりを」
・目標12「つくる責任 つかう責任」
・目標13「気候変動に具体的な対策を」
・目標14「海の豊かさを守ろう」
・目標15「陸の豊かさも守ろう」
・目標16「平和と公正をすべての人に」
・目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」
▼ターゲットはコチラ
企業は、社会貢献とビジネスを両立させることを目指しSDGsに取り組む内容を策定。また、取り組むことで多くのメリットを得られる可能性も秘めています。
■花王によるSDGs取り組みの基盤となるESG戦略
みなさんは『ESG』をご存知でしょうか?
✅ESGとは
環境(Environment)、社会(Social)、管理体制(Governance)の総称。
ESG評価の高い企業は、社会貢献とビジネスを両立させている優良企業として認識される要素となります。SDGsに取り組むことで、ESG評価が上がりやすくなるのはもちろん、投資家による経営資金の調達も有利になります。
花王では、独自のESG戦略である『Kirei Lifestyle Plan』を2019年4月に策定し公表しました。
✅『Kirei Lifestyle Plan』3つのテーマ
・快適な暮らしを自分らしく送るために
・思いやりのある選択を社会のために
・よりすこやかな地球のために
今回は、プランから決められた花王の数多くの取り組みの中から2つの取り組みをご紹介します。
■花王独自の『4R』で環境へのダメージを抑える循環型社会の実現を目指す!
プラスチックは加工が容易かつ大量生産にも向いた素材であるため、世界中の商品に多く使用されていますが、その一方で、プラスチックは原料の調達から廃棄までのサイクルにおいて、7.2億トン(2015年データ:生産量3.8億トンに対し)ものCO2を排出し、地球にダメージを与えています。
花王では、プラスチックによる地球のダメージを最小限に抑えるため、『私たちのプラスチック包装容器宣言』を2018年に公表しました。
この宣言は、多くの企業が取り組む3Rに加え、Replace(リプレイス)を加えた花王独自の『4R』に取り組むもの。
✅4Rについて
・Reduce(リデュース):製品に使用する資源や廃棄物を少なくする。
・Reuse(リユース):修理やメンテナンスなどで物を長く使用する。
・Recycle(リサイクル):廃棄物を再利用して新しい製品にする。
・Replace(リプレイス):環境負荷の少ない原料に置き換える。
花王では、石油由来のプラスチックを植物由来や再生樹脂のものに変更。
さらに、容器をコンパクト化したり、詰め替え用製品が本体として使用できるスマートホルダーの開発をしたりすることで、環境に負荷を与えるプラスチックの使用量を削減しています。
これにより、家庭用製品全体における売上高原単位当たりのプラスチックは2005年比で20%の削減に成功したほか、トイレタリー製品に絞ると、74%もの削減(2017年データ)を実現しました。
花王のプラスチック循環型社会への取り組みは、「リサイクリエーション」に発展し、2020年には、国内最大の事業拠点となっている和歌山市と連携協定を締結しました。
✅リサイクリエーションとは
リサイクルとクリエーションを合わせた取り組みのこと。回収したものを資源にし、それを元に新しいものを創出するアップサイクルのひとつ。
この協定では、和歌山市が回収した海洋プラスチックゴミを花王が再生樹脂に加工し、海辺の施設で利用する机や椅子、道路用高強度剤として海沿いのサイクリングロードでの活用が検討されているとのこと。
■人権を尊重する意識の共有
花王は、消費財メーカーと流通業を繋げるConsumers Goods Forum(CGF)のメンバー企業として、CGFの強制労働撲滅に向けた取り組みや優先業界原則を支持しています。
✅優先業界原則
あらゆる労働者には移動の自由があり、いかなる労働者も仕事のために支払うことはなく、債務を負わされるか労働を強制されることもない。
(引用:KOBOLOG サステナブルを個人の視点で発信)
CGFを支持するに当たり、労働に関するグローバルな考えを企業全体で共有するための人権リスク評価や社員教育のほか、世界的なプラットフォーム『Sedex』を通して、世界にある拠点での人権被害についての調査を実施。
人権尊重の取り組みは、ウェブサイトやサステナビリティデータブックで公表しており、企業に求められている透明性の確保にも努めています。
■花王のSDGs取り組み事例まとめ
今回はグローバルに展開している化粧品・化学品メーカーの花王のSDGs取り組み事例をご紹介しました。
✅今回ご紹介した内容
・SDGsの目的と17個の目標
・花王のESG戦略3つのテーマ
・独自の4Rで循環型社会を実現
・世界的な規範を共有する取り組み
花王はKirei Lifestyle Planに基づいたESG戦略3つのテーマでSDGsに取り組んでいることが分かりました。和歌山市との協定が軌道に乗れば、他の自治体でも企業とタッグを組んだ取り組みは広がりを見せるかもしれませんね!
以上、『独自の4Rで循環型社会の実現を目指す『花王(kao)』のSDGs取り組み事例』でした!
▼参考サイト
・ノハム|SDGsの目標12のための取り組み事例を紹介します【企業編】
・花王|サステナビリティ
・BeautyTech.jp|花王が考えるポストコロナのSDGs、日本らしさのあるESG戦略でめざすもの