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SDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」|ターゲットや企業の取り組み事例などをまとめてご紹介

今回は、SDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」にスポットを当てて、企業の取り組み事例や世界の状況などをご紹介します★

■SDGsに定められている17の目標

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Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称であるSDGs。

SDGsは、2015年に開催された国連サミット『持続可能な開発サミット』で採択された2030アジェンダの要となる国際目標です。

地球上の『誰一人取り残さない』という宣誓のもと、現代社会が抱えているさまざまな問題を解決するために定められた17の目標と169のターゲットで構成されています。

以下にSDGs17の目標をまとめました!

目標1「貧困をなくそう
あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ

・目標2「飢餓をゼロに
飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する

・目標3「
すべての人に健康と福祉を
あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する

・目標4「質の高い教育をみんなに 
すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する

・目標5「ジェンダー平等を実現しよう」
ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児のエンパワーメントを図る

・目標6「安全な水とトイレを世界中に」 
すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する

・目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」
すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する

・目標8「働きがいも経済成長も」
包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する

・目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」
強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る

・目標10「人や国の不平等をなくそう」
各国内及び各国間の不平等を是正する

・目標11「住み続けられるまちづくりを」
包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する

・目標12「つくる責任 つかう責任」
持続可能な生産消費形態を確保する

・目標13「気候変動に具体的な対策を」
気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる

・目標14「海の豊かさを守ろう」
持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する

・目標15「陸の豊かさも守ろう」
陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する

・目標16「平和と公正をすべての人に」
持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する

・目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」
持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

ターゲットは目標ごとに設定されている項目です。該当する目標を達成するために「どんな問題を解決しなければならないのか」、「どんなことを実現していくべきなのか」がまとめられています。

世界の動向や深刻化している問題を紐解く資料にも◎
ぜひ一度目を通してみてください★

■SDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」ターゲット一覧

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SDGs目標6は、水とトイレに関することを定めたもの。”すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する”ことを目指しています。

先進国に住んでいる私たちの周りには、安全な飲み水や清潔なトイレが当たり前のようにありますが、実はそういった国はほんの一握り。世界中の多くの人々が水やトイレを原因とする感染症や病気で苦しんでいます。

目標6達成のためにはどんなことが求められているのでしょうか?

以下にターゲットをまとめたのでご覧ください。

【目標6ターゲット一覧】
6.1)2030年までに、全ての人々の、安全で安価な飲料水の普遍的かつ衡平なアクセスを達成する。

6.2)2030年までに、全ての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす。女性及び女児、並びに脆弱な立場にある人々のニーズに特に注意を払う。

6.3)2030年までに、汚染の減少、投棄の廃絶と有害な化学物・物質の放出の最小化、未処理の排水の割合半減及び再生利用と安全な再利用の世界的規模で大幅に増加させることにより、水質を改善する。

6.4)2030年までに、全セクターにおいて水利用の効率を大幅に改善し、淡水の持続可能な採取及び供給を確保し水不足に対処するとともに、水不足に悩む人々の数を大幅に減少させる。

6.5)2030年までに、国境を越えた適切な協力を含む、あらゆるレベルでの統合水資源管理を実施する。

6.6)
2020年までに、山地、森林、湿地、河川、帯水層、湖沼を含む水に関連する生態系の保護・回復を行う。

6.a)
2030年までに、集水、海水淡水化、水の効率的利用、排水処理、リサイクル・再利用技術を含む開発途上国における水と衛生分野での活動と計画を対象とした国際協力と能力構築支援を拡大する。

6.b)
水と衛生に関わる分野の管理向上における地域コミュニティの参加を支援・強化する。

■目標6が必要となった背景①「安全な水にアクセスできない人々の存在」

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WHOでは、水にアクセスできることの定義を「1km以内に一人1日20リットルの水を確保できる場所があること」と定義。

WHOが定義した条件を満たせない人々は約9億人とされていますが、「安全な」水へのアクセスができない人はさらに増加。以下は、水問題で苦しむ人数をユニセフがまとめたデータです。

・「安全な水」を利用できない人:世界人口の3分の1
・糞便で汚染された飲料水を使用する人:約18億人
・安全な飲料水を飲めない人:22億人(世界人口の3人に1人)
・衛生的なトイレを使用できない人:42億人(世界人口の半分以上)
・手洗い設備を利用できない人:30億人(世界人口の5人に2人)

(参照:ユニセフ|安全な水とトイレの普及はなぜ大切か

人口爆発の問題があるように、人口は日々増加しています。現在約77億人の人口は2050年には97億人に達するとの予測も出されました。

水は人間にとって生きる上で必要なものです。SDGsの期限に合わせて2030年までに目標6が達成できなければ、近い将来、より多くの人々が水によって苦しむ未来が来るかもしれません。

■目標6が必要となった背景②「水やトイレが原因で多くの子どもが亡くなっている」

途上国をはじめとするインフラ整備が整っていない国や地域では、汚染水や不衛生なトイレを利用することを強いられており、免疫力の弱い子どもが亡くなってしまうケースも少なくありません。

・下痢性疾患で死亡する子ども:1日800人以上
・不衛生な水が原因による疾患で死亡する子ども:年間180万人

(参照:ユニセフ|安全な水とトイレの普及はなぜ大切か

5歳の誕生日を迎えることなく亡くなってしまう子どもは年間約36万人。

幼い子どもや若者が亡くなってしまうことは国の成長が遅れてしまうほか、SDGsのその他の目標の達成にも悪影響を及ぼします。

■目標6が必要となった背景③「児童労働と暴力」

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容易に水にアクセスできない場合、水汲みのために人手が必要に。そして、その多くは児童が担当するようになります。児童労働は学校へ行けない子どもを増加させる原因にも発展。早急な対応が求められています。

清潔なトイレの無い地域のトイレはプライバシーが保たれていないことが多く、また、明かりが付いていなかったり、家や難民キャンプから遠かったりすることも珍しくなく、児童や女性が暴力を受ける場になりがちです。

■目標6が必要となった背景④「水不足」

現代の生活における水の役割は、飲み水の利用だけではありません。お風呂やトイレ、料理、企業による製品の製造など、その役割は多岐に渡ります。

国連が公表している2030アジェンダ虎の巻では、地球温暖化や人口の増加などの影響で水不足が深刻化するとしており、2050年には世界の4人に1人以上が水不足の国や地域で暮らすことになるという予測も出されています。

■企業のSDGs取り組み事例①「サントリーホールディングス株式会社」

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私たちが普段口にしている飲み水は、海から蒸発した水分が雲となり、雨や雪となって地上に降りてきて大地によってろ過されたもの。

飲料水を商品として生産しているサントリーは、自然のろ過で不純物が取り除かれたキレイな水を育む森の保全活動を実施。専門家とともに森と森から湧き出ている水の状態を分析するほか、不要な木を間引く間伐や動植物にとって優しい環境を整備しています。

森林保全と合わせて実施されているのが工場の節水活動です。

節水活動の要となるのが、3R(リデュース・リユース・リサイクル)の考えをもとにした「水の3R」。

水の3Rは、工場における容器や機械の洗浄を目的として使用する水を、「必要最低限にする(リデュース)」、「繰返し使う(リユース)」、「処理して再利用する(リサイクル)」こと。

サントリーでは製造過程で使用する水を5つにグレード分けする「水のカスケード利用」を採用することで水の3Rを実現しています。

■企業のSDGs取り組み事例②「ウォーターエイド」

イギリスのチャールズ皇太子が初代会長を務めたことでも知られているウォーターエイドは、「すべての人に清潔な水とトイレ、そして衛生習慣を」をテーマに活動している国際NGOで、安心安全な水やトイレを確保できない生活を強いられている世界34か国を支援しています。

ウォーターエイドの支援は安全な水を届けるだけではありません。

専門家とともに、支援する現地に合わせた水の調達方法を導入することと合わせて衛生教育を実施。安全な水の供給と衛生環境の改善を図り、根本から水に関する問題を解決することを目指しています。

■企業のSDGs取り組み事例③「博報堂DYホールディングス」

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博報堂は、2007年にニューヨークで始まった取組み「TAP PROJECT」を、『TAP PROJECT JAPAN』としてユニセフとともに日本でスタート。

TAP PROJECT JAPANは、飲食店などで無料提供される水やお茶に対して募金するというプロジェクトで、募金はユニセフがマダガスカルで行う水と衛生管理への支援に活用。

2018年にプロジェクトは終了しましたが、小学校47校に、45カ所の井戸や給水施設、142基のトイレを設置するなどが達成され、マダガスカルの2万4,782人以上の子どもたちと、その周辺の地域住民が安全な水と衛生的なトイレを使用できるようになったほか、衛生に対する意識の変化を生み出す結果をもたらしました。

■企業のSDGs取り組み事例④ 「日本航空株式会社」

飛行機整備作業では、部品洗浄やメッキ塗装において大量に汚染水が排出されます。JALでは、この汚染水を自社の保有する処理施設にて有害物質除去などの処理を実施。水資源をリサイクルして長期間使う活動をしています。

https://www.jal.com/ja/sustainability/

■企業のSDGs取り組み事例⑤「株式会社LIXIL」

トイレや洗面台などの水回り設備を手掛けるLIXILとユニセフが共同で「Make a Splash! みんなにトイレを」というプロジェクトをスタート。

このプロジェクトは、ターゲット6.2「すべての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、屋外での排泄をなくす。女性及び女児、ならびに脆弱な立場にある人々のニーズに特に注意を向ける」を実現させるためのもの。

LIXILは、開発途上国向け簡易式トイレ「SATO」をデザイン。

SATOはシンプルな設計で簡単に設置ができ、少量の水で洗浄も可能です。また、僅か数ドルという低価格を実現することで、貧困に苦しむ国や地域の人々がに衛生的なトイレのある生活を提供しています。

■SDGs目標6まとめ

今回はSDGs目標6についてご紹介しました。

【noteでご紹介した内容】
・SDGsの基本的な内容と17の目標
・目標6「安全な水とトイレを世界中に」ターゲット一覧
・安全な水にアクセスできない人々の存在
・水問題で亡くなる子ども
・児童労働と暴力
・近い将来訪れる水不足について
・サントリーホールディングス株式会社の取り組み事例
・ウォーターエイドの取り組み事例
・博報堂DYホールディングスの取り組み事例
・ 日本航空株式会社の取り組み事例
・株式会社LIXIL

日本に住んでいる私たちにはなかなかイメージが沸かないかもしれませんが、世界に目を向けるとたくさんの人々が水問題に苦しんでいることが分かりましたね。

普段何気なく使っている水を大切なことに気づかされます。

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