SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」|企業取り組み事例5選!
今回はSDGs目標14「海の豊かさを守ろう」の達成に貢献している企業の取り組み事例を3つご紹介します★
日本でも大阪湾に300万枚のレジ袋が沈んでいるとの報告もあるなど、世界全体で深刻化している海洋プラスチック問題をはじめ、漁業方法の改善や私たちの意識改革も求められている目標です。
企業は海を守るためにどのような取り組みを実施しているのでしょうか!?
■SDGsの基本内容と17個の目標
2030年までに社会問題を解決し、人と地球にとってより良い世界を築くことを目的に、2015年に開催された国連サミットにて採択された「2030アジェンダ」。SDGsはそこに記されている国際目標のことです。
「誰一人取り残さない」というテーマのもと、17個の目標と目標達成に必要な項目であるターゲットが169個定められています。
【SDGs17目標一覧】
・目標1「貧困をなくそう」
・目標2「飢餓をゼロに」
・目標3「すべての人に健康と福祉を」
・目標4「質の高い教育をみんなに 」
・目標5「ジェンダー平等を実現しよう」
・目標6「安全な水とトイレを世界中に」
・目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」
・目標8「働きがいも経済成長も」
・目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」
・目標10「人や国の不平等をなくそう」
・目標11「住み続けられるまちづくりを」
・目標12「つくる責任 つかう責任」
・目標13「気候変動に具体的な対策を」
・目標14「海の豊かさを守ろう」
・目標15「陸の豊かさも守ろう」
・目標16「平和と公正をすべての人に」
・目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」
▼ターゲット一覧はこちら
■目標14「海の豊かさを守ろう」の内容とターゲット
”持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する”ことを目的としてい目標14。
生き物に欠かせない海ですが、産業革命以降、どんどん海洋環境が悪化。また、違法漁業・過剰漁業によって海洋生物も減少しているのが現状です。日本で愛されているマグロも絶滅危惧種に指定されているんですよ。
「きれいな海を未来にも残したい!」
「おいしい魚介類を食べ続けたい!」
そのためには、どのような対策が必要なのでしょうか?
ターゲットをご覧ください★
【目標14のターゲット一覧】
14.1) 2025年までに、海洋ごみや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する。
14.2) 2020年までに、海洋及び沿岸の生態系に関する重大な悪影響を回避するため、強靱性(レジリエンス)の強化などによる持続的な管理と保護を行い、健全で生産的な海洋を実現するため、海洋及び沿岸の生態系の回復のための取組を行う。
14.3) あらゆるレベルでの科学的協力の促進などを通じて、海洋酸性化の影響を最小限化し、対処する。
14.4) 水産資源を、実現可能な最短期間で少なくとも各資源の生物学的特性によって定められる最大持続生産量のレベルまで回復させるため、2020年までに、漁獲を効果的に規制し、過剰漁業や違法・無報告・無規制(IUU)漁業及び破壊的な漁業慣行を終了し、科学的な管理計画を実施する。
14.5) 2020年までに、国内法及び国際法に則り、最大限入手可能な科学情報に基づいて、少なくとも沿岸域及び海域の10パーセントを保全する。
14.6) 開発途上国及び後発開発途上国に対する適切かつ効果的な、特別かつ異なる待遇が、世界貿易機関(WTO)漁業補助金交渉の不可分の要素であるべきことを認識した上で、2020年までに、過剰漁獲能力や過剰漁獲につながる漁業補助金を禁止し、違法・無報告・無規制(IUU)漁業につながる補助金を撤廃し、同様の新たな補助金の導入を抑制する。
14.7) 2030年までに、漁業、水産養殖及び観光の持続可能な管理などを通じ、小島嶼開発途上国及び後発開発途上国の海洋資源の持続的な利用による経済的便益を増大させる。
14.a) 海洋の健全性の改善と、開発途上国、特に小島嶼開発途上国および後発開発途上国の開発における海洋生物多様性の寄与向上のために、海洋技術の移転に関するユネスコ政府間海洋学委員会の基準・ガイドラインを勘案しつつ、科学的知識の増進、研究能力の向上、及び海洋技術の移転を行う。
14.b) 小規模・沿岸零細漁業者に対し、海洋資源及び市場へのアクセスを提供する。
14.c) 「我々の求める未来」のパラ158において想起されるとおり、海洋及び海洋資源の保全及び持続可能な利用のための法的枠組みを規定する海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)に反映されている国際法を実施することにより、海洋及び海洋資源の保全及び持続可能な利用を強化する。
ターゲットを見ると、以下の3つが大きなポイントになります。
・海洋汚染の防止
・サステナブルな漁業にする
・途上国への支援
世界の現状や資料へのリンクなどは以下のリンクでまとめていますので、ぜひご覧ください!
ぞれでは、企業の取り組み事例を見ていきましょう!!
■企業の取り組み事例①「リビエラグループ」|海洋環境と安全性向上に向けた取り組み
「大自然と共に心豊かに生きる」という経営理念のもと、ウェディングやホテルなど、さまざまな分野で事業を手掛けているリビエラグループ。
そんな同社では、海洋環境保全のため以下の取り組みを実施!
・「よこすか海の市民会議」への支援
・ビーチクリーン活動
・相模湾の新しい海上交通ルート「シーレーン」の開発支援
・プラスチックストローの廃止
・鯛の稚魚育成と放流を支援
・水難救済
・海洋普及活動
なかでも定期的に実施されているのがビーチクリーン活動。毎月第3木曜日に50名ほどの社員で砂浜のゴミを回収しているんですよ♪著名なゲストを招いた参加型のイベントを開催することも・・・!
ポイ捨てされたゴミのほか、天候によっては多くのゴミが海から砂浜に運ばれてしまいます。
目に映るゴミはもちろん、砂浜の砂をザルでこしながら生物にダメージを与えるマイクロプラスチックの除去もしていそう。とても大変な作業であることがイメージできますね。
■企業の取り組み事例②「シャボン玉石けん」|石けん業界初の「ISO14001」を取得!
従来の事業がSDGsに貢献しているという珍しい例としてご紹介します。
人と環境に優しい無添加の石けん類を製造・販売している歴史ある企業「シャボン玉石けん」。
同社の石けんの特徴は、石けん成分(液体は水も含む)以外は何も入っていないところ。実は、石けんは添加物が1種類入っていないだけでも無添加とすることが可能なので、同社の石けんは正真正銘の無添加と言えます♬
シャボン玉石けんの排水は、微生物の栄養源となり、短期間で分解され再び自然へと帰っていくとのこと。
1999年に石けん業界で初めて「ISO14001」を取得するなど、SDGs採択以前から環境と人に優しい商品を作り続けています。
■企業の取り組み事例③「レノバ」|洋上風力発電で陸と海の環境を保全するプロジェクトを開始!
再生可能エネルギーを活用した基幹電源を開発・運営しているレノバは、「秋田県由利本荘市沖洋上風力プロジェクト」をスタート!
このプロジェクトは、コスモエコパワー、JR東日本エネルギー開発、東北電力と共に出資した秋田由利本荘洋上風力合同会社によって進められる、設備容量約700MWを予定する日本最大級の洋上風力発電プロジェクトです。
再生可能エネルギーと聞くと、目標7の取り組みのように感じますよね?
東京電力によると、洋上風力発電に用いれられる風車構造物に付着する海生生物やそのまわりには魚類が集まることが確認されているそう!
洋上風力発電所は、陸の環境だけでなく海洋環境を保全し、海の生き物の憩いの場にもなるようです♪
▼目標7についてはコチラをどうぞ
■企業の取り組み事例④「パナソニック」|本社食堂にサステナブルシーフードを使用
パナソニックでは、海洋環境の現状を社員と共有することを目的として、2018年3月から本社の社員食堂でサステナブルシーフードをメニューとして提供する取り組みを開始しました。
社員インタビューによると、食堂で海の状況を知ったという社員も!
現在では、「サスシー」の愛称で親しまれているんだそうですよ♪
パナソニックがサステナブルシーフードを採用したことがキッカケとなり、タムラ製作所でも東京と埼玉の事業所でサステナブルシーフードメニューの提供を開始しました。
SDGsを自分の身近に感じてもらうことで、会社全体での取り組みにも大きく影響します。食堂を利用した取り組みは他社にも広がっています。
■企業の取り組み事例~番外編~「海のエコラベル」
みなさんは「海のエコラベル」をご存知ですか?
海のエコラベルとは、MSC漁業認証を取得した漁業者によって獲られたお魚に付与される認証マークのこと。海洋環境に配慮した漁獲方法に則って漁獲されたお魚であることを証明してくれます♬
2020年9月のデータでは、MSC漁業認証を取得している日本の漁業者は5つ。
・北海道漁業協同組合連合会:ホタテガイ漁業
・明豊漁業株式会社(宮城県塩釜市):カツオ・ビンナガ一本釣り漁業
・石原水産株式会社(静岡県焼津市):カツオ・ビンナガ一本釣り漁業
・マルト水産株式会社(兵庫県相生市):垂下式カキ漁業
・株式会社臼福本店(宮城県気仙沼市):タイセイヨウマグロはえ縄漁業
(引用:サスティナブル・シーフード・ウィーク2020|「サステナブル・シーフード」とは?)
MSC認証のほかASC認証も覚えておきたい認証のひとつ!
MSCが天然物に付与されるのに対して、ASCは養殖物に付与されており、環境や地域社会に配慮されているASC養殖場認証を取得した養殖場が出荷したお魚であることを証明してくれます。
サステナブルシーフードとして世界中で親しまれているこれらのお魚は、日本でも認知度が高まってきました★
2018年からパナソニック本社の食堂でサステナブルシーフードをメニューとして提供しはじめたことも以前ご紹介しましたね。
MSC認証やASC認証が付与されたお魚を積極的に選んで食べることで、海洋環境の保全を考える漁業者を直接支援することが可能です。
■企業の取り組み事例⑤「マルハニチロ」|海の今を知ってもらうウェブマガジンを開設!
サステナブルシーフードの普及や違法・過剰漁業の廃絶に向けた取り組みなどを実施しているマルハニチロは、ウェブマガジン「海といのちの未来をつくる」を開設しました。
「海といのちの未来をつくる」は、海の現状はもちろん、魚の生態や魚を美味しく食べられる調理方法・レシピなどを発信するもの。漢字クイズなどのコンテンツも充実していて、ご家族で楽しめますよ♪
魚離れが進んでいるとされている日本において、難しい言葉を使わずに海に関する知識を楽しく学べるコンテンツは非常に貴重です。
「魚料理を最近食べてないなぁ~」という方にもオススメです★
■できることから海洋環境保全に貢献してみよう!
今回はSDGs目標14「海の豊かさを守ろう」に貢献している日本企業の取り組み事例を中心にご紹介しました。
【今回ご紹介した内容】
・SDGsの内容と17の目標一覧
・目標14「海の豊かさを守ろう」ターゲット一覧
・リビエラグループの取り組み事例
・シャボン玉石けんの取り組み事例
・レノバの取り組み事例
・パナソニックの取り組み事例
・マルハニチロの取り組み例
・サステナブルシーフードについて
目標14は、個人で取り組むことが難しい目標です。しかし、プラスチックゴミを減らすためにマイボトルを持ち歩いたり、サステナブルシーフードを積極的に食べたりと、貢献できることもたくさんあります。
海洋環境保全のために、無理しない範囲で生活に取り入れられるものを考えてみてください★
▼参考サイト
・14.海の豊かさを守る(Edu Town SDGs )
・SDGs|目標14 海の豊かさを守ろう|プラスチックの量が魚を超える?(SDGs JOURNAL)
・持続可能な開発目標・SDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」のターゲットや現状は?(gooddo マガジン | 社会課題やSDGsに特化した情報メディア)
・SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」2つの重要キーワードを解説|企業や個人の取り組みも(ethicame)