SDGs 目標11「住み続けられるまちづくりを」|日本の現状と取り組み事例
今回は、SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」にスポットを当てて、日本の現状や企業の取り組み事例をたっぷりご紹介します★
地球環境・社会・人にとって最適な街とはどのようなものなのでしょうか?
■SDGs17の目標をチェックしよう!
SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)とは、2015年に開催された国連サミットにて採択された国際目標のこと。
現代における社会問題を2030年までに解消するために、17の目標、そして、目標を達成するために必要な項目がまとめられた169のターゲットが定められています。ちなみに、SDGsは「地球上の誰一人取り残さない」ことを原則にしているんですよ♪
以下はSDGsの目標をまとめたものです。
【SDGs17目標一覧】
・目標1「貧困をなくそう」
・目標2「飢餓をゼロに」
・目標3「すべての人に健康と福祉を」
・目標4「質の高い教育をみんなに 」
・目標5「ジェンダー平等を実現しよう」
・目標6「安全な水とトイレを世界中に」
・目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」
・目標8「働きがいも経済成長も」
・目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」
・目標10「人や国の不平等をなくそう」
・目標11「住み続けられるまちづくりを」
・目標12「つくる責任 つかう責任」
・目標13「気候変動に具体的な対策を」
・目標14「海の豊かさを守ろう」
・目標15「陸の豊かさも守ろう」
・目標16「平和と公正をすべての人に」
・目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」
ターゲット一覧は以下のリンクにまとめられているのでご覧ください★
▼SDGsの目標とターゲットまとめ!ロゴと共に紹介します
それでは、次項からは目標11について見ていきましょう!
■SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」の目指す“まち”とは
SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」は、“都市や人の居住地を包括的で,安全で,強靭(レジリエント)で,かつ持続可能なものにする”ことを目的としたもの。
ちょっと分かりづらいですよね?
そこで英語版と目的を分解してみましょう!
目標11を英語版で見てみると、そのタイトルは『Sustainable Cities and Communities(持続可能な都市とコミュニティ)』と明記されています。また、目的にある強靭(レジリエント)は目標9の解説でも登場しましたね!
【SDGsで使われる強靭(レジリエント)の意味】
天災などの被害に遭ってもスグに復旧できることを指しています。
▼目標9についてはこちら
つまり、目標11が目指す“まち”とは、「災害などに強く、安心して快適に暮らすことができる持続可能な(未来に向かって成長できる)都市」のことだとイメージできますね♪
■目標11に定められている10個のターゲット
11.1)2030年までに、全ての人々の、適切、安全かつ安価な住宅及び基本的サービスへのアクセスを確保し、スラムを改善する。
11.2)2030年までに、脆弱な立場にある人々、女性、子供、障害者及び高齢者のニーズに特に配慮し、公共交通機関の拡大などを通じた交通の安全性改善により、全ての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する。
11.3)2030年までに、包摂的かつ持続可能な都市化を促進し、全ての国々の参加型、包摂的かつ持続可能な人間居住計画・管理の能力を強化する。
11.4)世界の文化遺産及び自然遺産の保護・保全の努力を強化する。
11.5)2030年までに、貧困層及び脆弱な立場にある人々の保護に焦点をあてながら、水関連災害などの災害による死者や被災者数を大幅に削減し、世界の国内総生産比で直接的経済損失を大幅に減らす。
11.6)2030年までに、大気の質及び一般並びにその他の廃棄物の管理に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の一人当たりの環境上の悪影響を軽減する。
11.7)2030年までに、女性、子供、高齢者及び障害者を含め、人々に安全で包摂的かつ利用が容易な緑地や公共スペースへの普遍的アクセスを提供する。
11.a)各国・地域規模の開発計画の強化を通じて、経済、社会、環境面における都市部、都市周辺部及び農村部間の良好なつながりを支援する。
11.b)2020年までに、包含、資源効率、気候変動の緩和と適応、災害に対する強靱さ(レジリエンス)を目指す総合的政策及び計画を導入・実施した都市及び人間居住地の件数を大幅に増加させ、仙台防災枠組2015-2030に沿って、あらゆるレベルでの総合的な災害リスク管理の策定と実施を行う。
11.c)財政的及び技術的な支援などを通じて、後発開発途上国における現地の資材を用いた、持続可能かつ強靱(レジリエント)な建造物の整備を支援する。
■目標11が必要とされる理由①「都市部の人口増加」
都市部は生活するための基盤はもちろん、商業施設や公共施設、交通機関も充実しており、多くの人々が都市部に移住する傾向があります。
2018年現在のデータを見ると、世界人口の約55%が都市部に暮らしているそう!さらに、国連経済社会局「World Urbanization Prospects 2018(世界都市化展望2018)」では、2050年には世界人口の68%が都市部に暮らすようになるとの予測も公表されています。
▼World Urbanization Prospects 2018
このままのペースで都市部に人口が増加していくと、住居が足りなくなったり、ゴミや排気ガスの増加で環境汚染を招いたりするなど、多くの問題が発生する可能性も!
KOBOLOGに掲載されている国連が公表したデータのまとめをご覧ください。
60%:2030年に都市部で暮らす人口の想定割合
60%:全世界のGDPにおける都市部の寄与率
70%:全世界の二酸化炭素排出量のうち都市部の寄与率
60%:都市部による資源利用の割合
20億人:ごみ収集サービスを受けられない人口
25%:都市人口に占めるスラム街住人の割合(2018年)
53%:都市部において公共交通機関を使える人の割合(2018年)
90%:都市部において汚染された空気を吸っている人の割合
(参照:KOBOLOG|SDGs目標11【住み続けられるまちづくりを】企業の取り組み事例で実践的に理解!)
データによると、都市部の人口増加は、人々生活や地球環境に悪影響を及ぼすようです。
■目標11が必要とされる理由②「レジリエントな都市の必要性」
都市部に人口が増えることと比例して、災害が合った場合、甚大な被害が出てしまうリスクが上がります。また、都市部は国の経済成長にも欠かせないもの。迅速な復旧ができない場合、国としての機能や成長を止めてしまう恐れがあります。
後発開発途上国においては、先進国に比べて建造物建設の技術力や知識が乏しいことから、レジリエントな都市作りそのものが困難です。
世界が持続可能な発展をしていくためには、先進国が自国の都市部を発展させていくと同時に、途上国に対して財政面や技術面のサポートを実施することが求められています。
■日本の現状「東京圏への転入超過が続いている」
都市部一極集中は日本も例外ではありません。
国土交通省「国土交通白書 2020」では、バブル経済崩壊後の一時期を除いて東京圏への転入超過が続いているとし、現在は日本人口の29%(約3,700万人)が東京圏で暮らしているとするデータを公表しました。なんと、北海道、石川県、山梨県、静岡県、京都府、沖縄県では、全転出超過数に占める東京圏への割合が90%を超えているんだとか!
大阪や名古屋を含めた3大都市の中で東京に人口が集中していることが分かりますね。
▼国土交通白書 2020
国土交通白書では、転入超過の状況と合わせて東京都の出生率は1.20と全国最小であることを示し、東京一極集中が人口減少を招く可能性も示唆しています。
東京一極集中は働き口や商業施設も充実していることも理由のひとつ。
地方創生などで地方活性化をし、一極集中を緩和させる必要があります。そこで、政府がSDGsに関連付ける形で実施している施策が「SDGs未来都市」です。
▼地方創生に関してはコチラをどうぞ!
■「SDGs未来都市」と「自治体SDGsモデル事業」
SDGs普及活動の一環として側面もある「SDGs未来都市」。
SDGs未来都市は、SDGsを地方創生に活かした取り組みをしている自治体を政府が選定するもので、中でも優れた取り組みをしている自治体は、「自治体SDGsモデル事業」としても選定され、補助金を受給することが可能に!
【「自治体SDGsモデル事業(2020年)」に選定された自治体と事業名】
・宮城県石巻市:コミュニティを核とした持続可能な地域社会の構築
・東京都豊島区:国際アート・カルチャー都市 実現戦略実施事業
・石川県金沢市:市民生活と調和した持続可能な観光の振興~「責任ある観光」により市民と観光客、双方の「しあわせ」を実現するまち金沢~
・三重県いなべ市:グリーンクリエイティブいなべ~グリーンインフラ商業施設「にぎわいの森」から、カジュアルなSDGs推進を世界へ~
・京都府亀岡市:「かめおか霧の芸術祭」 x X(かけるエックス)~持続可能性を生み出すイノベーションハブ~
・大阪府・大阪市:大阪発「大阪ブルー・ オーシャン・ ビジョン」推進プロジェクト
・大阪府富田林市:富田林発!「商助」によるいのち輝く未来社会の実現プロジェクト
・岡山県倉敷市:多様な人材が活躍し,自然と共存する“持続可能な流域暮らし”の創造事業~高梁川流域圏の発展は倉敷市の発展~
・愛媛県松山市:“観光未来都市まつやま”推進事業
・沖縄県石垣市:石垣SDGsプラットフォームを活用した「離島におけるSDGs課題解決モデル(=石垣SDGsモデル)」構築事業
SDGs未来都市や自治体SDGsモデル事業に選定されることは、地方にとって大きなアピールとなるだけでなく、地方活性化へ取り組むモチベーションにも繋がります♬
▼日本政府によるSDGs普及のための施策はコチラ!
■目標11に貢献する企業の取り組み①「JAL」
JALでは、復旧を「発災後の被災した地域を生活のできる場所に戻すこと」、復興を「生活基盤を取り戻した被災地の社会的機能を元の状態に戻すこと」と位置づけ、災害が起きた場合に、団体と連携を取りながら飛行機を使った支援を実施しています。
JALは復旧支援の一環として、小売業界大手のイオンと2016年3月に「緊急物資の輸送に関する覚書」を締結。
災害発生時にイオングループが用意する支援物資をJALが輸送する流れを築きました。また、災害支援者に無償航空券の提供することで、ボランティア活動に参加する人をサポートしています。
上記と合わせて行われているのが、被災地の誘致や自治体と連携した取り組みも実施。現在では東北復興支援として東京都にある東北6県の各アンテナショップにて、店頭応援販売を、そしてJAL本社にて年に一度、東北物産展を開催しています。
▼JALの取り組み事例一覧
https://www.jal.com/ja/sustainability/sdgs/sdgs_10.html
■目標11に貢献する企業の取り組み②「東邦レオ株式会社」
最近、都市部にも緑が増え始めましたね♪
緑があるとリラックスができたり、空気が浄化されたりします。
屋上の緑地はコロンビア大学の気候科学者のスチュワート・ガフィン氏が有名だそうですが、日本でも東邦レオ株式会社が屋上緑地化を実施。Manegyでは、同社が手掛けたものとして武蔵野市開発公社が作成したコピス吉祥寺にある「吉祥空園sora」を紹介しています。
▼Manegyによる東邦レオ株式会社の紹介
利用者目線の“グリーンインフラ”を通じて、コミュニティや街作りを行う東宝レオでは、シェア空間という現代の新しい形に寄り添う形で都市の緑地化を進めています。
■SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」まとめ
今回は目標11にスポットを当ててご紹介しました。
この記事では、日本政府の普及活動や企業の取り組み事例をはじめ、たくさんの情報がありましたが、日本の状況、とくに地方からの転出超過数の約90%が東京圏に転入していることに驚いた方も多いのではないでしょうか?
快適に住み続けられる街は多くの人が望んでいるものです。
SDGsが期限を迎える頃にはどんな街が形成されているのか楽しみですね♪
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