(旧版)日本からオランダ個人事業主ビザを自分で取得して渡航する為のマニュアル
こんにちはhiroimonoです。
わが家(夫婦、子8歳)は2022年7月21日に日本からオランダに移住しました。すぐに家を決め8月15日に市役所手続き開始、11月16日に無事ビザ取得しましたので約4ヵ月半の工程でした。
オランダ個人事業主ビザは1912年の日蘭通商航海条約という協定で、日本人なら申請者はほぼ全員ビザが取得できます。(ほぼ全員というのは過去に犯罪履歴がある方や住居が見つからなくて断念する場合をのぞくという意味)さらに2020年からその配偶者にも現地で企業雇用が可能な権利が与えられこの点でも極めて日本人が優遇されたビザ制度となっています。
*2023年8月1日より条約締結国は個別審査なしで2年の滞在許可が下りるため後半のINDプロセス(数週間~1,2ヵ月)が大幅に短くなっています
わが家は移住するにあたり移民弁護士や専門業者に依頼はせず、渡航後の家探しからビザ取得までネットやブログを元に自力で行いました。理由は移住費用をなるだけ抑えたかったのと、これから現地でビジネスしていくのでここは自分で乗り越えたいと思ったからです。冒頭の通り無事ビザを取得することができ先人の方々の情報には本当に感謝しています。
しかし手続きしていると更新日付は新しいが中身は古いままの有料記事もあり、役所手続きで3週間ほど遠回りしました。2022年はロシア問題や移民増加やBrexit(英国EU脱退)などもあり行政が手続きを大幅に見直したようです。そんな状況だったのでビザ手続きでは、最新の正確な情報がないと困るだろうと思うシーンにも何度か遭遇しました。
知らないことが不安のもと
僕がそうであったように日本から欧州に移住するのは大変な決意と不安を伴います。もし手続きで失敗したらどうしようという不安からオランダ移住を迷っている方もいらっしゃると思います。オランダ移住は家探しとビザ手続きの大きく2つのプロセスです。今思うと家探しは大変ですがビザ取得の手続きがシンプルに分かれば移住への不安もなくせると考えました。
僕はこれまでTwitterやnoteで移住前後の生活コストなどオープンに発信しているため直接ご質問をいただくことも多いです。また幸い移住手続きのプロセスを全てログとして残していたので、大抵のことはお答えしています。最近は移住業者を通して渡航された方からもよく小さな質問をいただきます。恐らく元々の移住プロセスが分かりにくいのが要因でしょう。
こういった背景から、個人事業主としてオランダに移住なされる方が「このマニュアルを見て手続きをすれば誰でもビザがとれる。あとから何度でも見返せる」ものを作ってみようと思い立ちました。そして関わった直近の移住者の最新の情報を元にアップデートしています。振り返って言えるのは、
1.やることが明確に分かっており、
2.必要な書類さえ窓口で提出すれば、
オランダ個人事業主ビザは自分で取得可能ということです。
本文は目的地への行き方、持参物、申請書類(記入見本)を実際の写真とPDFを使って効率よくビザを取得できるPointを記載しています。また家ではPCで読み、外出先からはスマホで見てわかるようにタイムチャートとTodoリストを付録しました。
このnoteで得られることは?
このタイムチャートとTodoリストを手元において、各項目の詳細を見ていきます。
~日本でやっておくこと編~
実は日本にいる間にやっておくことは多くありません。
□ 戸籍謄本を取得
一連の流れのスタートは戸籍謄本をとることです。
日本の戸籍謄本を日本の外務省でアポスティーユしてもらい、さらに現地のオランダ大使館で英訳し、さらにオランダ外務省で認証(リーガライズ)します。後述しますがご結婚されている方はMarriage Certificateをオランダ大使館で発行してもらう必要があります。Family certificateと違い3ヵ月以内の戸籍謄本からしか発行してくれませんので、あまり早く取りすぎないようにご注意ください。
□アポスティーユ認証をする
日本の外務省へ郵送しアポスティーユ認証をもらいます。
アポスティーユとは戸籍謄本の公的認証(これが正式な文章であると認める)という意味です。*戸籍謄本は3ヵ月以内に取得したものに限ります。
□ 銀行の残高証明 英文
残高証明はビザ取得とは直接関係ありませんが、家探しで支払の能力証明のためにあった方が良いものです。あわせて収入証明ができるものがあれば用意しておきましょう(個人事業主なら銀行の直近3ヵ月の収入など)。これはちゃんと支払いできる人間だという事を大家さんに理解してもらう為です。英文であればなおさらよいですが、僕のやり取りしたいくつかの不動産屋は日本語でも正式なものと分かればOKでしたのでエクセルに英文説明をつけて翻訳しました。(金額などは為替レートを用いて注釈を付けました)
僕は近くの郵便局で英文で取りましたが所要時間も30分程度で手軽でした。
銀行によっては郵送で7日ほどかかるところや、SBIネット銀行のようにWebから無料で即時発行できるオンライン銀行もあります。参考にゆうちょ銀行の説明リンクを貼っていますが、どの銀行も前日までの口座残高をもって証明書が発行されます。また3か月以上古いものだと最新版を求められる為、出国の1-2週間前に取得しておくのが理想です。
□(ワクチン証明)
2022年9月17日(土)をもって、新型コロナウイルスに関するオランダへの入国制限が撤廃されました。僕も取得してきましたが空港でも一切確認はありませんでしたし、渡航後必要になるケースも一度もありません。今後どのように変わるかは分かりませんので在オランダ日本大使館の渡航情報アップデートをチェックしてください。
(参考)市町村により異なりますが僕の場合、3回目の接種した証明の写真を市役所にメール送付して、英語版を発行してもらいました。
*22年7月時点でもオランダ側は子どもの接種は不要でした。
□ デビットカードを用意
こちらはビザ手続きとは直接関係しませんが作成をお勧めします。なぜかというとオランダはクレジットカード決済が普及していないからです。よって渡航後したのその日からデビットカードが必要なシーンが出てきます。また移住後に日本円から換金するにも為替Rateが非常によいからです。さらに維持費は無料なのでデビットカードを作らなくても、日本にいる間に口座だけは作っておいて損はありません。
またWiseのマルチカレンシー口座(EUR建て)は、IBANをもつベルギーの銀行口座になります。同じEU圏ということでオランダでの電気ガスの支払い口座としても登録可能です。
本来は現地の銀行口座を開くのがよいのですが銀行口座開設はオランダ市民番号(BSN)を取得してから可能となります。BSNが取得できるのは役所手続きを経てからになるのですがこれはずっと先のことなのでWiseのマルチカレンシー口座が重宝します。デビットカードがあれば到着後のスーパーでの支払いやバス・電車チケットの購入もできるでしょう。
ユーロへの換金という点ではRevolut、Wiseどちらも隠れマージンなしで換金が可能です。ただしWiseは送金手数料(10万円を送金した場合758円)が発生します。また月に3万円以上の引き出しは手数料が発生します。そのためわが家は手数料がかからないよう日本円からユーロへからの換金・送金はRevolutでしています。
*RevolutもWiseも日本での口座開設には有効なマイナンバーカードが必要です。またデビットカードが届くには約2週間かかります。住民票を抜く方はマイナンバーカードが無効化する前、遅くとも出発1か月前には手配しておきましょう。
□ ビザ申請書類の印刷
この後オランダ側で必要な手続きの項目にも書いてありますが、オランダは日本のコンビニのように印刷・カラーコピーができる場所はほとんどありません。申請書類は枚数が多く、またパスポートもコピーページが沢山あるので渡航前に印刷してくることを強くお勧めします。
日本でやっておくことはこれだけです。
~オランダ到着後にやること編~
□ 現地電話番号の取得
まずはプリペイドSIMを空港で購入しましょう。時間がなければ街中のスーパーマーレジでもプリペイドSIMは手に入ります。残金がなくなればスマホに届くSMSのリンクから追加チャージしましょう。
実は、Lebara SIMカードは無料でももらえます。チャージをしていないので発信はできませんが着信は可能。オランダではキャリア変更はオンラインでいつでもできます。取り合えず行政手続きには現地番号が必須なので、Lebara等のプリペイドSIMをもらいましょう。
市民登録が終わり銀行口座が開ければ、このプリペイド番号を使ってそのまま月契約や年契約に切替えられます。もちろん別のキャリアに移行しても同じ番号を引き継げます。
□ Family Register Certificate申請
アポスティーユ認証された戸籍謄本を、在オランダ日本大使館に英訳してもらいます。これをFamily Register Certificate(戸籍謄本証明)と呼びます。
配偶者がいればMarriage Certificate(婚姻証明)、
子供が要れば・Birth Certificate(誕生証明)
を同時に申請します。各9€ずつ、受け取り時に支払います。これらの証明(家族、婚姻、子供)は市役所での市民登録の段階で必要となるものですが証明段階での戸籍謄本は先述の通り発行から3ヵ月以内のものを用意しておきましょう。
日本から持参したアポスティーユとその場でもらう申込書を記入して窓口に提出します。約30分で申請完了。次の受け取り日(1週間後)を教えてもらって終了です。大使館は予約もいらないので到着した当日もしくは翌日に申請してしまうと良いです。
*大使館の中にはスマホは持ち込めません。まず入門で目的を告げ守衛建屋で書類以外はセキュリティボックスに預けるので、現地の滞在先、自分の電話番号は紙にメモしておくことを忘れずに。
1週間後の日付を書いた引き換え証をもらえるので、再度大使館に行くと以下のような証明書がもらえます。
□ 家探し(渡航後さがす場合)
この時点で住居が決まっていない場合は、家探しです。申請すれば「ほぼ」全員取得できるの「ほぼ」はこの住居が決まらない場合もあります。オランダ移住における最大の難関ですので、別noteに僕が実際に行った”家探し体験記”をまとめています。
このnoteを書いてから何人かの方から、このやり方で家が決まったという嬉しいご報告をいただきました。渡航後に家探しをなされる方、日本から家探しをなされる方の参考になれば幸いです。
□ FamilyRegisterCertificateのリーガライズ(≒公証)
さて1週間後に大使館でFamily Register Certificate(配偶者はMarriage Certificate、子どもはBirth Certificate)を受け取ったら、その足で外務省にリーガライズに向かうと効率的です。外務省は12時半で終了ですので日本大使館には朝早めに行き、その足で11時半までに外務省にいくと一度に終わります。外務省はHague Central Stationに隣接するビルの1Fにあります。日本大使館からは24番のバスに乗るか、歩いても40分ほどで着きます。
リーガライズはFamily Register Certificate(各証明)の裏面に以下のようにシールを張ってもらうだけの証明です。
□ ビザ申請書類提出(郵送)
上の写真の外務省の隣に並ぶドアがIND(移民局)ですが、ここに来る事になるのはまだ先です。ビザ申請手続きは郵送のみです。訪問してもWebからの予約がないと中にさえ入れてもらえません。
郵送提出に必要なものは3点。
(1) 外務省にてリーガライズされたFamily Register Certificateのコピー
(2) 申請書類(本人、妻、子それぞれ一式ずつ印刷・申請がいるのでご注意)
(3) パスポートのコピー(入出国スタンプ記載面をすべてコピー)
Family Register Certificateはコピーです。裏に外務省でラベルを貼られているので裏面もコピーします。原本を送ると返ってこないので間違えないようにしましょう。
(2)申請書類は印刷してボールペンで記入します。住所は仮の滞在先でもよいのですが、ビザ取得までの手続きの手紙が毎回この記載の住所に送られてきます。ホテルやAirbnbだと手紙の受け取りで困ります。家が決まっていない方は知人に住所を借りるなど確実に手紙が入手できる住所を書く必要があります。
*提出した用紙は返却されませんが、DigiDが有効になった後はすべて移民局のMyページにアップされて閲覧可能です。
(記入用紙ダウンロード)
https://ind.nl/en/forms/7524.pdf(本人分2023.01版)
https://ind.nl/en/Forms/7518.pdf(配偶者、子ども2023.03版)
申請枚数が多いように思いますが、半分ほどは提出不要です。
家族分の申請書も72ページありますが50ページほどは提出不要です。(ダウンロード見本は不要ページは提出不要と記載してあります)オランダは日本のようにコンビニで手軽に印刷できないので、できれば渡航前に印刷してくることをお勧めします。
現地についてから印刷する場合、大きな街にはPrinteretteという印刷屋さん(場所は後述します)がありそこで打ち出し可能です。僕は渡航してからこのPrinteretteで印刷したのですが、遠いのと枚数が多いので時間も費用もかかりました。
2023年版の更新は今後ありませんので、ご購入いただく場合はこちらの2024年版からご購入ください。
ここで23年8月最新のタイムチャート(修正内容含む)で全体像を確認したのち、IND申請書類の記入例と注意点に進みます。
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