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君の可能性

明治の教育者である斎藤喜博が書いた本に「君の可能性」(ちくま書房)があります。

31年前、ぼくの小学校の担任がその中の詩を朗読してくれて以来、この本は僕の心の拠り所のような存在になっています。小学を卒業するまでに何度か図書室で読み、卒業後に購入してことあるごとに目を通しています。

それで内容はというと、「人として生きていく上で何が尊いか」について。
これを様々なエピソードを例にくり返し書いてあります。

100点をとることは素晴らしいことだが、もっと尊いのは自分が昨日までできなかったことが努力した結果できるようになる事。こんな感じの本なのですが、その内容は発行から50年経った今も全く色褪せておらず、むしろ現代の子どもにこそ読ませたい内容になっています。僕が息子の海外生活を選んだ理由にも、少なからずこの本の影響があると思います。


さて、その中のエピソードで頭から離れない一説があります(手元に本がないのでうろ覚えですが・・・)

著者がある冬の日に旧来の知人夫婦の家にいくと、晩御飯を食べていくようにすすめられた。出てきたのは白ご飯と塩をお湯に溶いただけのスープだった。しかしご夫婦は美味しそうにスープとご飯を食べ、どうだ?うまいだろう?と聞いてくる。無理をしている訳ではなく、本当に美味しいと思って食べているのだ。そうすると不思議と美味しく思えてくる。また食事を終えてしばらくすると是非今晩は泊っていけという。著者が薄いせんべい布団に寝ていると、夜中に”ガサゴソ”と音がする。トイレに立った際に、ご夫婦は新聞紙にくるまって寝ていることに気づく。一組しかない布団を客人に譲ったのだ。

斎藤喜博 筑摩書房より要約・・・

というような感じです。
これが強烈に幼少期のぼくの記憶に残りました。

ー欲にキリはないが今に満足できることは幸せである
ー自分が満足していれば他人に譲ることができる

また老子の”足らざるを知り、足るを知る”に近いものも感じます。
美味しいものを知っていても、色々経験をするとそれが如何に美味しいものだったのかが分かったり、日本を離れることで日本の医療やサービスの良さを知ることも同様かもしれません。


僕の息子は日本に生まれましたが、海外を知り様々な考え方をオランダで学んでいます。多様な価値観を持って成長していってくれることを願います。


他にも素敵な詩文やエピソードが載っていたりします。
この通りに生きれる訳ではないですのですが、ふっとした時に読み返したくなる一冊でおススメです。息子が当時の僕と同じ小学校6年生になったらプレゼントする予定です。


それでは今回も拙い文に最後までお付き合いいただきありがとうございました。

人生は拾い物




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