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《13》福祉業界の事例(そらのまちほいくえん)
今回は「福祉業界」の事例をお伝えします。
ご紹介するのは、鹿児島市にある「そらのまちほいくえん」
第3回ジャパンSDGsアワードにてパートナーシップ賞を受賞されています。
SDGsを「壮大で生活から大きくかけ離れたものではなく、半径200メートルの範囲でより豊かに暮らしていくためのコンパスのようなもの」と捉え、就学前の園児でも取り組めるものから多くの地域住民が関われるものまで、様々な活動をされています。
保育園は2018年、商店街の空きビルをリノベーションして3階建てとし、その1階に関係者以外も利用できる総菜店を併設する形で誕生しました。もともと総菜店を併設したのは、スタッフの雰囲気や保育園の給食と同じメニューの味を知ってもらい、入園に興味を持ってもらって見学の申し込みのハードルを下げようという意図があったそうです。
そして、実際に始めてみると入園につながるだけでなく、商店街を園児が歩き、その保護者も毎日行き交うことで商店街全体の雰囲気が明るくなり、空きテナントが埋まっていき、まち全体に活気をもたらしたという予想以上の効果につながりました。また、子どもを保育園に迎えに来た親がついでに
総菜店でおかずを調達できることも喜ばれています。
さらに、保育園ならではの取り組みが食育や清掃活動です。例えば、毎月、保育園周辺の清掃活動を行うことで子どもたちが行き帰りに自発的にゴミを拾うようになったり、世界でどれだけたくさんの人々が今日食べることに困っているのかを話すことで、子どもたちが家でもごはんを残さず食べるよう
になったり、SDGsが子どもたちと保護者の日常会話に浸透しています。
このように、子どもたちが自分と向き合い、自分が何をどのくらい必要かが分かり、必要な分だけ頂くということを体感することで、身近なものに対する感謝の気持ちが生まれるように導かれています。
以前、本コラムで星野リゾートの事例をご紹介した際、各地の特徴を活かした地域との連携をされていることをお伝えしました。
SDGsは世界共通の目標であるためグローバルな視点も大切ですが、まずは自社の拠点がある地域の中でどのような貢献ができるのか、地域を活性化するためのより良いアイディアはないのかといった視点から考えてみるのもお勧めです。
そして、地域の中で小さなことからでも実行して発信を重ねていくことで、全国の他の地域あるいは世界のどこかのエリアにその取り組みが広がり、結果的にSDGsの推進に貢献することが期待できます。