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タスク管理、してますか? -学生・院生向けタスク管理法概観-

 こんばんは。(執筆時深夜1時)

 突然ですが皆さんは記憶力は良いほうですか?今日やること、今週中にやらないといけないこと、提出予定のレポート、実験、文献調査、原稿、部活、飲み会、振り込み、などなど。。。
 1つ2つならまだ覚えておけるんですが、増えてくるともう覚えられないですよね。それでうっかり原稿の提出期限過ぎちゃったり・・・。

 一方で、人生「やらないといけないこと」だけじゃないですよね。色んな人が色んな趣味を持っていて、能動的に「これやりたい!」ってことがありますよね。ギターでこの曲練習したい、筋トレしたい、こことここにドライブしたい、とか。。。
 私にとっては今書いているこの記事も、「やりたいこと」の一つだったりします。

 そんな「やらないといけないこと」「やりたいこと」のひとつひとつを、ここでは

「タスク」

と呼ぶことにします。世の中ではほかにも「ToDo」とか呼ぶこともあります。

 タスクは大学でも研究室でも仕事でもプライベートでも、大小問わず湧いてくるものです。これをいかに管理して着実にこなしていくか、ということが人生の豊かさを左右すると言っても過言ではない!!と私は思います。
 特に理系研究室での生活では、論文読解力や実験スキル、発想力などの研究力よりもまずは自己管理力が最重要と言い切ってもいいと思います。

 でもこの自己管理というのが曲者で、まず不幸にも誰にも教わらないことが多いと思うんですよね。
 偉大な諸先輩方はとかく「自己管理しっかり!」と言ってくださるんですが(私がいた研究室は自由主義だったので全くありませんでしたが…)、具体的にどうしたらいいのか?というのはかなり親切な先輩・先生じゃないと教えてくれないのではないかと思います。

 というのもそれはある意味仕方のないことで、自己管理≒タスク管理の方法って十人十色なんですよね。勉強法が人それぞれなのと同じなんです。
 でも勉強法みたいに、タスク管理法についてももっと気軽にいろんなところで具体例を語って、まだ駆け出しの大学生や院生の皆さんにその中からまずは選んで真似してもらって、自分に合うように昇華してもらうのがとてもいいと思うのです。

 そんなわけで、今回は私自身が院生の頃から色々と七転八倒しつつ試行錯誤してきた「タスク管理法」について、いくつかの有名な手法と、それぞれに対する具体例、さらにそれを実現するのに最適なアプリやサービスを紹介してみようと思います。
 あくまで概観を提示できればと思っているので、もっと知りたいところなどがあればコメントでお知らせ頂けるととてもありがたいです。

それではまいりましょう!


1. カレンダー管理

 まずは恐らく最も活用しているのが多い、カレンダーを利用したタスク管理です。
 これはシンプルなもので、期日締切があるレポート提出等のタスクをカレンダーに「スケジュール」として書き込んで管理するというものです。
 単に締切があるタスクだけじゃなくて、自ら「〇〇日にこれをやろう!」と決めたものもカレンダーに書き込むことで、綿密な一週間の予定を組むことができます
 私自身、学部生の頃はバイトなりレポートなり学会発表のスライドなり、期限があるものが多かったので、Googleカレンダーに書き込んで管理していました。

 具体的な使用例は↓こんな↓感じです。このように「タスク」と行事やゼミなどの「予定」が同じ「スケジュール」として画一的に管理できるので見通しが良いですね。

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この方法は大抵のカレンダーアプリで可能です。
一番広く使われているのはやはり「Googleカレンダー」でしょうか。
他にも「Lifebear」という手帳アプリや、Outlookにもカレンダー機能があります。
どのカレンダーアプリもGoogleカレンダーとの同期機能が用意されていることが多いので、とりあえずGoogleカレンダーでタスク管理用のカレンダーを作っておけば大丈夫でしょう。

 この手法の良いところとしては、ゼミ予定等と同じカレンダーで管理できるため、実際の一日の動きが見通しやすいところです。
 また、一日の行動を細かく計画立てることができます。私はあまりギチギチに予定を組むのは得意ではありませんが、そういうのが好きで得意な人も一定数存在するのは知っています。
 ちなみに作業にどの程度かかるか不確定なタスクは時間を指定せずに日程だけアサインするなど柔軟に対応することも可能です。

 ただ、完全に私の好みの問題ではありますが、正直予定とタスクをいっしょにカレンダーに表示すると混みまくってしんどいです。
 また、カレンダー管理だとタスクを処理する日程が決まっているのが前提になるため、「いつかやりたい」というような、まだやる日が決まっていないタスクや、とりあえず降ってわいた、あるいは思いついたタスクの管理が難しい、というか一旦メモしておく場所を別に用意しないといけません(次の節で解説する「ToDoリスト」等の方法を併用する必要があります)。
 また、これも好みですが「このタスクをこなすためにこれら3つのタスクをこなさないといけない」等のようなタスクの階層化をしたいときには向きません。
 最後に1点、カレンダー単体で運用しようとすると、例えば実験計画のような「現状の整理→将来の見通し→タスクの洗い出し」という作業ができないです。このような作業をする場合は別途手書きノートやノートアプリ・メモアプリを準備して併用することで解決しましょう。


2. ToDoリスト

 これは上記1. のカレンダー管理よりももっとシンプルで、発生したタスクをかたっぱしからリストに入れていって、処理したタスクに「完了(Done)」のチェックを入れる、というものです。
 この方法は、紙の手帳を愛用している方でも導入しやすく、汎用性も高いと思います。
 ToDo管理アプリやサービスは色々あって、そのわりに私はあまり使ったことがないので詳しいことは語れませんが、例えばGoogleカレンダーの右に表示されている「ToDoリスト」を使用すると↓こんな↓感じになります。

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 ちなみにこのGoogleのToDoリスト、各タスクに期限を設定できるほか、繰り返しタスク(例:毎月20日に家計簿をまとめる)を設定可能で、サブタスクも(1階層だけですが)作成可能。さらに、このToDoリストがGoogleカレンダー内で「カレンダー」の1つとして取り扱われ、他のカレンダーの予定とともにGoogleカレンダー上に表示されます。


え、やばない…?便利すぎない…?
(私が数年前に使った時はこんな便利なのなかった気が…)


 ちなみに他にも有名どころとしては、「ToDoist」や「Microsoft ToDo」など、あるいは他の有名なタスク管理アプリ(TrelloやAsana、Clickup、Notionなど)でも同様のシステムを構築することは可能です。
 サービスによってタグがつけられたり、タスクどうしの関連付けができたり、ファイルやメモを添付できたり、属性を付加できたりと特色があるので、興味があれば調べてみるのもいいと思います。
※※Notionについては近日中に紹介記事を2~3本に分けて公開予定※※

 この方法の良いところは既に上の説明で感じて頂けたかと思いますが、最も特徴的な点として、タスクが発生したときにパッと記入でき、あとから期限や取り組む日を設定できるというところで、これはアプリでも手書きの手帳等でも共通の強味ですね。個人的にはカレンダーのみでの運用の上位互換だと思います。
 さらにGoogleのToDoリストのような機能を使えば繰り返しタスク等の機能を使うと毎日のRoutine workやHabitも簡単に管理できます。
 カレンダー管理で問題になった「いつかやりたい」というようなタスクは、思いついたときに書いておいてひとまず「期限なし」にしておくことで対応できます。

 この手法の個人的デメリットは、カレンダー法と同様に「現状の整理→将来の見通し→タスクの洗い出し」という作業ができない点です。このような「思考・計画」フェーズとタスク処理の「実行」フェーズを分離して別々の道具やアプリで行うのであれば問題ないのですが、私は一本化したいタイプですのでただのToDoリストでは満足できなくなってしまいました。
 じゃあどうしたか?というのは近日中にNotionというアプリの紹介とともに語りたいと思いますので、しばしお待ちください。


3. カンバン法

 ここで言うカンバン法(英語でもKanban methodらしいです)は、WikipediaにあるようなDavid J. Anderson氏が提唱したソフトウェア開発に向けた方法論ではなく、タスクを各段階に分けて配置(カンバン上に配置)して可視化する方法を指します。
 例えば、ホワイトボードなどの大きな「カンバン」を用意し、それを「ToDo」「In Progress」「Done!」の3つの領域に分けます。そこにポストイット等にタスクを書いて「ToDo」へ配置します。その中から、着手するタスクを「In Progress」に移動してタスクの処理を始めます。処理し終わったタスクは「Done!」に移動させ、完了とします。

 以上の例はホワイトボードとポストイットを使ったアナログな方法でしたが、もちろんカンバン法でのタスク管理に便利なアプリやサービスも存在します。
 私がついこの間まで使っていたのが、「Trello」というサービスです。Trelloはまさしくカンバン形式でのタスク管理に特化していて、料金プランに応じて複数のカンバンを作成でき、それぞれのカンバン内で無数の「リスト(上述の例の"In Progress"などに相当)」を作成できるため、非常に柔軟性の高いサービスです。
 具体的には以下のようにリストを作ってタスクを管理することができます。Trelloではこのようにタスクを作ったあと、それをドラッグアンドドロップで移動することでステータスを変更することができます。うーん、簡単!

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 Trelloは便利に使い倒そうと思うと有料プランにしないと機能が制限されているのですが、ブラウザで動作するため、無料のChrome拡張機能を活用すれば非常に便利にカスタマイズすることができます。
 例えば、リストにあるタスクに期日を設定して、期日が近い順に並べたり、タグを設定してタグごとに並べたり(実験・雑務・家のこと・趣味 etc...)することでより効率よくタスク処理することができます。
 Trello以外にもAsana、Clickup、Notionなど最近のタスク管理アプリやサービスは大抵この「カンバン」表示機能があるため、タスク管理アプリを使っている方はカンバン方式を採用している方も多いかもしれませんね。

 個人的にこの方式のメリットは、今抱えているタスクや処理中のタスク、終わったタスクの量・数が一目でわかるということです。
 特に「処理中のタスクの数や内容がすぐわかる」というのは他の方法に無いメリットではないかと思います。というのも、例えば研究室で行う実験で数日にわたる実験などはざらにありますし、提出書類も上長の確認待ちや印鑑待ちで滞ることはしばしばあると思います。そんなとき、単にToDoリストで管理していると、途中のタスクがまだ開始してないものに埋もれてしまうんですよね。ですのでこの特色は強いと思います。

 ただ、単純なカンバンだと期日を設定したり、定期的なタスクの生成はできないですし、複数のカンバン(≒複数のプロジェクト:研究・ギター・ワークアウト etc...)に属するタスクを横断的に俯瞰して処理することができません。
 それを可能にするためには例えば上述のようにTrelloにChrome拡張機能を導入したり、あるいはAsanaやClickupやNotionなどの高機能なタスク管理アプリを導入する必要があり、環境を整えるために少し頑張らないといけないというデメリットはあるでしょう。しかしながら個人的にはそのデメリットがあってもなお、期日やタグ機能つきのカンバンを作成して運用するメリットは十分にあると思います。


4. GTD (Getting Things Done)

 GTDというのは「Getting Things Done」の略で、生産性向上コンサルタント(なにそれ?)のDavid Allen氏が生産性向上の手段として考案したものです。
 下記はAllen氏がGTDを提唱した著書で、日本語の解説の本も多数出ているみたいです。

 具体的な方法はいろんなブログや記事で解説されているので、例えばこちらこちらこちらなどを参考にしてください。

 GTDはツールというよりは方法論なので、上記の1~3で紹介したタスク管理法と並列では語れないのですが、GTDのサイクルである

収集→処理→整理→レビュー→実行

の中に上記の1~3のタスク処理法を組み込んだり、あるいは部分的にGTDの精神を取り入れたりすることでより有効なタスク管理ができると思います。

 GTDのメリットとしては、「頭のなかにあるやるべきことを一旦全て書き出し適切に整理することで、ストレスフリーな状態でやるべきことに専念できる」というようなことがよく言われています。
 例えば上記の1~3で紹介したToDoリストやカンバンを使ったタスク管理では、発生したタスクはとりあえず処理する前提で扱っていました。
 しかしGTDでは、最初にとにかく頭の中にあるタスクを全て書き出したあと、それを「自分/他人がやる」「今すぐ/あとでやる」などで分類し、さらに重要度(高/低)・緊急度(高/低)で分類し、それをカテゴリに分類するとともに優先順位をつけ、そして完成したリストの上からひたすら処理する、ということを行います。加えて、定期的にそのリストに追加のタスクが無いか洗い出し、さらに分類・優先順位を見直すことでリストを更新していくのです。
 したがって、スケジュールを組む必要がまずありません。ただひたすら完成したリストにあるタスクを上から順にこなすだけでいいのです。

 こう聞くとめちゃくちゃストレスフリーになりそうで良い方法にみえるのですが、習得がやや難しく、GTDの精神を会得するのには時間がかかります
 また、急に振られたタスク、かつ今日中に処理する必要のあるタスクには対応が難しいです。例えば上司から急に来る「これ、今日中によろしく。」ってやつですね。
 もう一点、これが私がGTDを断念した理由ですが、タスクの洗い出しを定期的、例えば週に1回、結構な時間をかけて行わないといけません。これが難しいのです。時間もかかりますし、そのときに頭から出てこなくてもあとからあとから思いつくこともあるので、そこも含めて慣れが必要な手法と言えるでしょう。


5. (番外編)ポモドーロ法

 ポモドーロ法というのはタスク管理法ではなく、タスクを処理するときに役立つテクニックです。
 詳しくはWikipediaの記事を参照頂きたいのですが、簡単に言うと、キッチンタイマーをセットして、「この時間はメールやチャットがきても別のタスクを思い出しても目の前のタスクに集中するぞ!」というテクニックです。
 典型的には25分作業+5分休憩をワンセットとするらしく、集中力アップに効果があります。上記のようなタスク管理法と併せると良いでしょう。


6. おわりに

 今回は、代表的なタスク管理法の概要と特徴を、具体例を交えながら概観してみました。
 ここまで書いて改めて見返してみると、私にとっては当たり前にも見えるような内容しか書けていないように思えて不安になりますが、、、しかしながら、学部生や院生の、これから自分のタスク管理法構築を考えている方には参考にして頂ける入門編になっているのではないかと思っています。

 ここまで読んで、そう少なくない方が「じゃあ具体的に私の場合はどういうシステムにすればいいんだろう?」「筆者(私)の場合は研究・雑務・趣味・家庭のタスクをどう管理しているんだ?」というような疑問を抱いたかもしれません。たしかに、上記の説明では至極簡単な具体例だけを示したので、プロジェクトや研究テーマの管理まで結びつくようなタスク管理法はなかなか見えづらいのではと思います。実際、私もそのへんは試行錯誤の最中ではあります。
 正直なところ冒頭でも触れた通り、個々人に合ったタスク管理法は本当に千差万別なので、ご自身で試行錯誤されるのが一番良いとは思いますが、詳細な具体例が1つあると、それを起点にmodifyできるため、闇雲な試行錯誤よりもぐっとやりやすいですよね。

 私は最近、Notionというアプリを活用して、研究テーマの計画・管理に結び付いたタスク管理を行うためのかなり有用なフレームワークをつくることができました。
 ということで、次回以降でそのNotionの紹介と、私の実際のタスク管理状況を赤裸々に解説することで、特に学生の方や、社会人や現役の研究者の方でタスク管理法に悩んでいるような方の参考になるテンプレートを提案したいと思います。

乞うご期待!!

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