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【SD】エイドリアン·モレホンの覚醒と先発への鍵

こんにちは、テルチカです。
ストーブリーグが開幕した中で、SDの動向を確認するとルイス·アラエスのトレードの噂など今年も節制生活を強いられそうで辟易していますが、オフの補強ポイントの1つとして挙げられるのが先発です。

マイケル·キング、ディラン·シース、ダルビッシュ有は当確で他にもマット·ウォルドロンやランディ·バスケスなど候補はいますが、ジョー·マスグローブは全休でダルビッシュもフルで働くのは難しいことを想定するとしっかりローテを守れる先発の補強は必須です。ですが節制生活の中で狙えるFA選手も限られます、トレードや自前でも1人くらい先発を生やしたい中で1番候補に挙がるのが今年リリーフでキャリアハイの活躍をしたエイドリアン·モレホンです。

彼はキューバから亡命後17年にチームと$11Mで契約を結び、これは当時のチーム最高額の契約であり期待されていました。そしてTJ手術など怪我にも悩まされたキャリアの中で遂に覚醒した今シーズンでした、フロントも元々は先発として成功させたかったはずですしまだ25歳と若いことを考えるとオフに先発挑戦させることもあるのではと予想しています。


2024年の成績

60登板 (63.2イニング)
防御率 2.83/FIP 2.79
奪三振 71/与四球 21
K% 26.1/BB% 7.7/K-BB% 16.4

今シーズンは中継ぎとして60登板し、勝ちパターン入りや対左として起用されたりとソリッドな活躍を見せてくれました。モレホンは惜しい素材をしていただけにこの活躍は非常に感慨深いものがありましたね。

エイドリアン·モレホンの鯖(2024)

もう少し詳しく見てみると球速がしっかりと出ており打球管理に優れています、また空振りを奪う点でも長けているものがあります。

成績を残せるようになった要因

①アームアングルの調整

モレホンのアームアングル

1つ目はアームアングルの調整です、今年は43度と4年前のアングルに戻しました。これに関してはニエブラ投手コーチが今までのフォームに胴体と腕の不一致を発見し、それが怪我の元になったのではと推測し4年前のアングルに戻したと記事に書いてありました。

https://www.sandiegouniontribune.com/sports/padres/story/2024-04-28/padres-adrian-morejon-synced-up-and-feeling-strong-to-start-2024/

このアングルの変更は、スライダーの曲がりにおいても良い影響を与えたのではないかと考えています。

②球種構成の変化

今年のモレホンを語る上で球種構成が大きく変わったのは見逃せません、特に目立つのはフォーシームとシンカーの割合です。

フォーシーム
51.9%('19)→56.2%('20)→36.3%('21)
→69.1%('22)→57.8%('23)→23.4%('24)

シンカー
1.9%('19)→26.3%('21)→36.0%('24)

ご覧の通り今まで過半数を占めていたフォーシームの使用頻度を減らし、シンカーの割合を増やしています。これにより苦手な右打者にも対抗できるようになりました。

まずモレホンはフォーシームの質が良くありません、今年も被長打率.537/xwOBA.350/Run Value-3とやられています。その中で苦手な右打者に対して良く陥る現象として不利なカウントを整えようとして投げたフォーシームを捉えられるということが良く見られました、それを防ぐためにシンカーを増やし弱い当たりを打たせることでアウト機会を得るということです。実際にゴロ率が51.4%と高く上位14%の数値でした、もちろん適当に投げるだけでは難しいので次の話題「コマンドの改善」にも続きます。

③コマンドの改善

先程の話の続きですが、何よりも改善がみられたのはコマンド能力です。

vs左のシンカーのヒートマップ
vs右のシンカーのヒートマップ

上の2つはシンカーのロケーションを示した画像ですが、左は特に顕著に内角を攻めていることが見て取れます。上記にシンカーで弱い当たりを増やしていると書きましたがこのように早めのカウントから内角に投げ切り続けることが出来た為というのが分かると思います。

vs左 被打率.333 (1B 12/2B 3)
 EV 78.0/LA -9
vs右 被打率.295(1B 8/2B 4/HR 1)
 EV 86.9/LA -1

また被打率は.295と少し高めですが28安打中20安打が単打で打球速度、LA共に優秀であり結果も伴っていると感じます。
次に武器のスライダーを見ていきましょう。

スライダー (30.4%)
被打率.169 (77-13)/被長打率.299/xwOBA.245
空振り率 39.9%/K% 35.4/Run Value+7

vs左 (30.0%)
被打率.219(32-7)/xwOBA.313/空振り率37.7%

vs右 (30.6%)
被打率.133(45-6)/xwOBA.195/空振り率41.2%

打率、長打率、空振りを奪う点においても素晴らしい数字を残しています。何より右打者にもスライダーで素晴らしい数字を残しており、投手不利カウントで昨年より10%もスライダーを多投しているのは非常に良い改善点です。

スライダーのヒートマップ

これも全てスライダーをゾーン隅に集めることができたからだと思います、しっかり制御できたことで左右で決め球は勿論カウント球や投手不利カウントでも有効なボールになりました。

長々と話しましたが
·コマンド良化
·投手不利カウントでシンカーの割合を増やすことで弱い当たりを引き出した
·スライダーがどのカウントでも有効球になった

のが大きいと考えました。

スプリット習得!

最初に先発挑戦に関して軽く触れましたが、鍵になるのは右打者に対してシーズン中盤から多投し始めたスプリットだと思います。このスプリットを今年中に物にできたのは非常に大きく右打者は厄介な対応に迫られます、そして先発挑戦においても直球/スライダー/スプリットは十分に通用する組み合わせだと思います。

スプリットvs右 (11.9%)
被打率.111 (18-2)/被長打率.111/xwOBA.097
空振り率 58.1%

15.3% (6月)→9.9% (7月)→20.4% (8月)
→18.3% (9月)

シンカー、スプリット、フォーシームの月別投球割合

8月以降の投球パターンとしてフォーシームの頻度を更に減らし、シンカーとスプリットで60%を占めるようになっています。

8月以降のシンカーのヒートマップ
8月以降のスプリットのヒートマップ

このようにシンカーとスプリットの組み合わせでピッチトンネルを駆使しているのが、更にスプリットが活きている要因だと考えます。

シンカーとスプリットのリリースポイント

また2球種のリリースポイントも酷似しており、打者からしたら見分けが非常に付きにくい組み合わせだと思います。

もう1つ大きく注目すべき点があります、それはスピンレートが1000を切っていることです。

24年のスプリットのスピンレート1000未満(50球↑)

スピンレートが少ない投手は、フェルナンド·クルーズやローガン·ギルバートなどスプリットに自信を持つ投手が1000を切っています。

またこの記事では、ここ3年はチェンジアップよりもスプリットの方が優れているとされ特に回外投手は垂直落下が増すと、昨年までチェンジアップを投げていたモレホン自身も良い転換だったかもしれません。スイーパーとも相性が良くスプリットを習得できたことで色々な選択肢が広がるかもしれませんね。

まとめ

エイドリアン·モレホンの先発挑戦自体は非常に面白いと思います、アングルを調整したことでコマンドが安定しスプリットを加えた3ピッチが出来るのは大きいです。彼自身は怪我に悩まされたキャリアなだけに機会があるなら大きな夢を掴んで欲しいです。

サムネイル

引用




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