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27.クレーン建機業界のM&Aについての考察

クレーン建機業界は事業承継と事業拡大が密接に関係しているM&Aが活性化している業界です。 とはいえ、無謀なM&Aは自社を潰しかねません。 きちんとDDとPMIをしてM&Aを推進していく必要があります。

クレーン建機業界のM&A情報を整理したので以下是非ご覧ください!

【クレーン建機業界のM&A】
クレーン建機業界は食うか食われるかの業界→生き残るためには成長が必要→無謀な設備投資は倒産に繋がる→建機の稼働率と資金繰りのバランスを加味した投資が必要になる。

【事業成長の方向性】
⚫️高額な購入費用だけでなく保管場所の確保や点検整備、修理といったメンテナンスの手間と費用がかかるため、小規模の会社をM&Aして規模を大きくしていくことで、負担を分散しながら、足りないところを保管しながら拡大をすることにつながる。
・建機を使用しないで保管しておく場合、保管場所の確保や点検整備、修理といったメンテナンスの手間と費用がかかる。
・例えば、建機を購入した場合、すぐに買い換えるのは難しく、継続して使い続けなければならない。
・例えば、受注獲得するために安全や省エネ、騒音対策などが必要となるため、電子機器を搭載したICT建機といった最新機器の導入が必要となり、またニーズに応じた機械の導入や入れ替えが要請されており、設備投資による減価償却負担が増大しているのが大きな課題である。
・無謀な設備投資から連鎖倒産も相次ぎ、2017年12月には大型連鎖倒産が発生しています。

⚫️利益を確保するためには、営業拠点を増やし、保有機械の稼働率を上げるしかない。そのためには会社の資金力が物を言う。近年、大手による中小業者の買収が活発化し、買収によりシェアを伸ばそうとする動きが見られる。受注争奪の消耗戦の果てに、企業買収が活発化し、業界は寡占化が進んでいる。大が小をのみ込む中で、「中小企業の経営者は会社を手放すタイミングを計っている」、「仕事がある今のうちに業績を伸ばし、いずれ会社を高く売り飛ばそうとしている」(業界関係者)といわれる。その表れでもある売り上げ確保のためのダンピングとも取れる受注が横行し、結果的にレンタル単価の低下を招いている。その結果としてここ3年間で売り上げは伸びても営業利益率は伸びない状況が続いている。

⚫️業界各社は将来の仕事を確保する地盤づくりに頭を悩ませる。寡占化が進めば、いずれレンタル単価も安定してくるだろう。今、生き残りと淘汰の選別の線上で各社は揺れ動いている。
・一方、本業界では、油圧ショベルなどの重機や高所作業機器など機器をレンタルする際の運搬コストが かかることから商圏は比較的小さくなり、多くの拠点を運営する必要性が生じる。 また、商品ラインナップ拡充のための賃貸用機器の品揃えが必要になることや、新機種導入のために継続的に設備投資を行う必要がある。

⚫️ニーズに応じて最適なコンサルティングに対応してもらえる点が魅力。(建機を探していると伝えるだけで、最適な建機を紹介してもらえるのが魅力。)

⚫️建設機械の価格は高額であることに加え、維持管理費、修繕費、保管費、保険料など資産保有に伴う 固定費負担が重い。そのため利用者は必要な各種機械を保有するのではなく、工事量、内容、地域に 合わせレンタルを活用することで固定費の変動費化を図ることができる。

⚫️国内の建設投資 額は堅調に推移することが予想される。しかし、地方での公共事業の減少や住宅などの民間投資の落ち込みが 懸念される。

⚫️公共工事への依存割合が高い中小事業者は公共工事削減に伴う需要減に資金的に耐えられなくなっている。今後、単 独での業容拡大を図るのは難しく、大手や中堅のレンタル会社との連携強化が重要になってくる。そのためM&Aによって統合をしていく必要がある。

【M&A事例】
(2022年3月)DENZAI株式会社による澤田運輸建設株式会社(神戸市)の完全子会社化:西日本へ営業範囲を広げ事業拡大を図る
(2021年11月)岡谷鋼機株式会社による菱栄工機株式会社の子会社化:クレーン建設および関連事業の強化(二段階買収:元々一部出資をしていた会社の株式を過半数取得する形)(売上高21億円)
(2021年10月)株式会社電材エンジニアリングによる有限会社鹿島クレーンの完全子会社化:鹿島クレーンの事業承継を行うとともに、福島県内及び東北エリアでの事業拡大を始めとするシナジー効果を得る
(2021年5月)株式会社電材エンジニアリングによる株式会社川端重機興業の完全子会社化:青森県最大のクレーン補修台数を持つため、東北エリアを含めた青森県内全域での事業拡大、および北海道を拠点とする電材エンジニアリングとの協働により機材調整を効率化
(2019年10月)安田倉庫株式会社による大西運輸株式会社とオオニシ機工株式会社の完全子会社化:各社のネットワークやノウハウを活用し、配送サービス向上などシナジー効果の獲得(大西運輸:売上高37億円、営業利益1.5億円、純資産6.73億円、オオニシ機工:売上高6.26億円、営業利益1.2千万円、純資産9.5千万円)
(2019年9月)住友重機械工業株式会社によるイギリスのインバーテック社(Invertek Drives Ltd.)の完全子会社化:両社の技術・ノウハウを活用した事業拡大(売上高約45億円、取得価格約130億円)
(2019年4月)株式会社ワキタによる有限会社泰成重機の完全子会社化:クレーンオペレーション技術の習得や、クレーン売買など販売部門でのシナジー(相乗効果)創出(売上高12億7000万円、営業利益2200万円)
(2019年1月)マルソー株式会社による株式会社北陸クレーンの完全子会社化:北陸地域での事業強化を図る(売上高2億490万円)
(2018年5月)株式会社タダノによるアメリカのManitex社の第三者割当増資を引き受け、約15%の株式を保有:協働によるシナジー効果の獲得、製品ラインナップの充実(売上高約213億円、約営業損失2.65億円、純資産70.8億円、譲渡対価32.6億円)
(2017年4月)アートクレーン株式会社(現:株式会社アートフォースジャパン)による株式会社塚本工務店の完全子会社化:塚本工務店の事業承継、および協働によるシナジー効果の獲得

【参考記事】

絶好調「建機レンタル業界」に迫る寡占化の波ー競争激化で、大手の利益率は伸び悩み状態ー
https://toyokeizai.net/articles/-/227169?display=b

建機を巡る大型連鎖倒産の衝撃
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/ncr/18/00012/070200002/

トラック販売のプロアース、民事再生手続き廃止決定
https://www.logi-today.com/309239

建機レンタル業界の市場規模や今後の課題、建機オンラインレンタルを解説
https://constupper.com/kenkirental-kadai/

業界レポート:建機リース・レンタル業界
https://www.ccinnovation.co.jp/report/pdf/20221104_lease.pdf

建機レンタル業界の動向やランキングなど
https://gyokai-search.com/3-kenki-rental.html

【2023年最新】クレーン建設業界のM&A動向を解説【事例10選】
https://masouken.com/クレーン建設業界のM%26A

DENZAI株式会社による澤田運輸建設株式会社(神戸市)の完全子会社化について
https://www.denzai-j.com/images/news/2022/03/WEB PRESS22030101.pdf

岡谷鋼機株式会社による菱栄工機株式会社の子会社化
https://www.okaya.co.jp/sys/upload/save_editor/e783b5649900525633810a2ffb005445.pdf

株式会社電材エンジニアリングによる有限会社鹿島クレーンの完全子会社化
https://www.denzai-j.com/images/news/2021/10/DHI PressWEB 21100101.pdf

株式会社電材エンジニアリングによる株式会社川端重機興業の完全子会社化
https://www.denzai-j.com/images/news/2021/05/DHI Press HP 21052701.pdf

安田倉庫株式会社による大西運輸株式会社とオオニシ機工株式会社の完全子会社化
https://www.yasuda-soko.co.jp/Portals/0/images/info/pdf/info190927.pdf

住友重機械工業株式会社によるイギリスのインバーテック社(Invertek Drives Ltd.)の完全子会社化
https://www.shi.co.jp/info/2019/6kgpsq000000a1t0.html

株式会社ワキタによる有限会社泰成重機の完全子会社化
https://www.strike.co.jp/ma_news/detail.html?id=20190405c

マルソー株式会社による株式会社北陸クレーンの完全子会社化
https://sa746767.sixcore.jp/12896

株式会社タダノによるアメリカのManitex社の第三者割当増資を引き受け、約15%の株式を保有
https://www.tadano.co.jp/news/upload/docs/180525.pdf

アートクレーン株式会社(現:株式会社アートフォースジャパン)による株式会社塚本工務店の完全子会社化
https://www.nihon-ma.co.jp/page/interview/tsukamoto/

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