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FGAの勉強方法<実技試験編>

宝石業界の権威ある資格2つのうちのひとつ、最難関のFGA(英国宝石学)のGemologist Diploma。

実技試験は、いわゆる宝石鑑別。

1年目Foundation試験は試験日程は1日間、筆記がメインで午前、午後。
私が受けた2023年は実技試験は、筆記試験の時間内午前中に5石の鑑別が含まれた。

2年目のDiploma試験は試験日程は1.5日間。1日筆記、半日実技。
2024年は実技試験は試験日程2日目の半日で20石、うち10石が総合鑑別。


試験本番は、特に筆記は、専門学校で指導を受けていた通り、信じられない量の問題をとにかく解きまくる形式で、試験時間中、ずっとボールペンで書きなぐり続けなくてはならない。それでも全部解き終わらない量の問題。
(イギリス式なので、全部ボールペンで回答用紙に記入します。イギリスって、小学校とか、全部ボールペンなのよね。イギリスに住んでいた甥っ子曰く、字を間違えたら、ボールペンで、ぐちゃぐちゃって消しといたらいいらしいです。カルチャーギャップ。)
2年目の筆記は超難易度も上がるから、もうほんとうにしんどかった。
だから試験への対策は、ひたすら筆記がメイン。

でも、実技も大事。この試験を合格して宝石鑑別できるようになってないといけませんから。

実技は、1年目の5石の鑑別は、非常にベーシックなものが出るので問題なし。
2年目の実技20石、うち総合鑑別10石は3石間違ったらいずれにしても不合格になるので、直前は結構自宅でも練習したし、専門学校の直前の実技演習もサーキット形式でひたすら石を鑑別し続ける時間が設けられていて、なかなかに真剣勝負。

特に実技の試験項目の中で私にとって困難を極めたのが、屈折率を測る器材。

屈折率計。FGAのはコンパクトで性能いいです。


私はずっとずっと屈折率が読めませんでした。読むというのは目盛りの中に見える明暗の境目のことなんですが。
しかも目盛り自体は小数点第2位まで、そして、目測!?で小数点第3位まで読むんです。。。


これはGIAの屈折率計。目盛りのイメージ、お判りでしょうか。これ、1.497とか読むんですよ。


当然ながら機械の個体差や石の個体差もあり、基準とされている各宝石種の屈折率値の範囲から多少前後することもある。
が、FGAでは、その基準の範囲値にばっちり合わせていくよう指導される。
「自分の眼の(目測の)癖を把握して、その癖の傾向に従い、より基準値に合うように(目で見える値を適宜修正して)読む」
要は、ちょっとずれた数値に見えたら、自分の目(の癖)を疑えという。


確かに、仰ることはわかります。
でもね、石によっては全然その基準値には程遠い(気がする)数値が出ていたりして、ずいぶん長い間てこずりました。



どれくらい長い間てこずったのかというと。。。


実はある日、バチっと読めるようになったんです。
まるで目が覚めたかのように。
文字通り、今までのは何だったのか、というくらいに。
激的に目盛りが基準値通りに読めるようになりました。


なんとその記念すべき日は、2年目Diplomaの最終試験の2週間前でした (;´Д`)


いや、読めるようになってよかったですよ。マジで。
自分でもビビりました。
一体全体、私は目盛りが読める日がくるのかと思い続けてほぼ2年でしたから。



おかげさまで、超自信をもって実技、受けられました。
(試験本番2週間前についた自信です。よかったね。)
結局は屈折率が全てなので。



じゃあ、その試験2週間前、なぜ、いきなり読めるようになったのか。



おそらくは、積み重ねかなと思います。
練習の賜物?
としか考えられない。


ここでも、やっぱり、年齢とかのせいにできなくて、努力の積み重ねでした。暗記と同様。

普通の結論ですみません。


そりゃ、ずっと根詰めて勉強して。筆記対策の後とかに練習しますから。目が疲れて霞んだりとかしますよ。でも、それは、やっぱり言い訳なんです。
疲れて目がかすむから読めないのではなく、読めるようになるまで器材に慣れてないだけなんです。慣れるには、練習あるのみ。


これが本番2週間前に結実してほんとによかったですけど。私。


専門学校のクラスメイトにも、ずっと話してて。「私、全然目盛り読めない」と。そして、そのクラスメイトは、既に屈折率がちゃんと読めてたので、実技には自信満々でした。


今なら分かります。
私も、自信満々です。読めるようになった今なら。


じゃあ、どれくらい練習したのか。



勉強用の石は、たくさん買いました。
もともとFoundationで20石、Diplomaで20石、合計40石は、受講費に含まれていて支給される。
その40石に含まれていない鉱物種、宝石種、含まれているものでもインクルージョンが特徴的なものや、そのほか様々な石を個人的に購入して計測の練習をしていました。
で、全部のルースケースに、識別特徴を書いた小さい紙を入れて。(全部手作りw)(複屈折率、スペクトル、多色性、特徴的なインクルージョンや蛍光などなど)

追い込み後半の机の上


受講料に含まれる40石が教材ですから当然重要なわけですが、それ以外にも試験ならば当然出題されるだろうし、ルースで出るのか、結晶原石で出るのか、全く見当がつかないため、やっぱり全方位練習して観ておく必要がありました。


実際のところ、自宅練習をちゃんとするようになったのは、2年目の年明けから。
なので、実質6か月弱くらいは、まめに自宅でも屈折計をさわるようにしてました。1日1回で5石とかです。見るのは。でもそれを続けることがいかに自分、頑張ったか。


ほんとに偉いです。
ここまでできた自分を改めて褒めています。