佐分利史子|死の虹〜Ⅲ.菫色
Text|Fumiko Saburi
題材にする文章作品は基本的に全文を描きたい考えですが、今回の「死の虹」は3節に分かれてかなりの文字量があるため、いちばん強く心を惹かれる 3.菫色 を選んで、その全文を描くことにしました。
書きたいなあと思いつつ、華やかになりづらい気がしてなかなか作品にできなかった、カロリンジャンと呼ばれる書体(私なりに少しアレンジ)。
訥々と文字を並べることでできる模様のような美しさを大切に、大文字も小文字となじむ小さめのサイズで、全体的に「死を前に心の中でいろいろなことを思い返している」イメージで描きました。
fのように見える縦に長い字は小文字のsです。ロングsと呼ばれる昔の形で、この題材にはsが多いので、静かな模様のポイントになったかなと思います。
ひとすじの「緑色」を額装に・・・。
この題材「3.菫」は今の自分の気持ちと重なって、とても共感しつつ心が痛かった。春も、夏も、秋も、冬も・・・。
なので、最後の部分で 彼女 が楽になれていてほっとしました。よかった。
彼女と私を弔う気持ちで額縁を炭(スミ)色に塗装し、お疲れさま、という気持ちで額縁を飾りました。
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ルネ・ヴィヴィアン及び《死の虹》解説|嶋田青磁
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作家名|佐分利史子
作品名|死の虹〜Ⅲ.菫色
アルシュ紙・ガッシュ
作品サイズ|27cm×38.5cm
額込みサイズ|29.5cm×40.5cm×2.4cm
制作年|2021年(新作)
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