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スクリプトリウムvol.3|佐分利史子《3》|青色のリンドウとウイリアム・ロセッティの言葉

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Text|佐分利史子

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 今の季節どこのお花屋さんに寄っても目に留まり、美しく見えたリンドウ。ただただ素直に描いて、好きなカリグラフィを添え、何のひねりもなくまっすぐな一枚にしたいなと思いました。

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 花びらの渦巻き、渦巻きの向き、時間を追って膨らみ綻んでくる蕾の形、大きな葉と小さな葉、花の周りにたくさんある小さな葉の付き方、一枚一枚の葉の模様、お花と葉のかたまり具合、葉と茎の繋がり、茎の太さ、一本の茎に階層のように「花と葉のかたまり」がついていること・・・植物の形には不思議がいっぱいで、見れば見るほど興味深いです。

青いリンドウ_2-5

 リンドウを描き終わってカリグラフィへ。
 選んだ文章はウイリアム・ロセッティの言葉。自然とはどういうものか?という氏の考えに共感しました。本展の2作品目にクリスティーナ・ロセッティの詩「GOLDEN GLORIES」を描きましたが、ロセッティ兄妹が向き合っていた自然や植物への想いに賛同できることを嬉しく思います。

青いリンドウ_2-6

 書体は、茎の縦線と重なるゴシック体のアレンジ。色は花と同化する濃青がいいな・・・。
 アセンダー(d、h など上に伸びる部分)が出てくると、スプリット型(ふたつに分かれる形)にしたくなります。葉っぱのイメージだったり、野山に自生するリンドウなら足元にはバッタやキリギリスがいそうだなあと、触覚のイメージだったり・・・。

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 額装も、花の青が美しく見えるよう濃青の濃淡でつくりました。

りんどう_額

 目の前の植物を写生してそこに文字を足すという構成は、これまで意識してきた「文字の力で情景や感情を描く」というものとは真逆で想像や妄想を必要としないかもしれませんが、観察という好きな作業や、少しずつ書き上げていく過程が共通しているように思います。

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 楽しんでいただけたら嬉しいです。

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【公開中】本記事以外の佐分利史子さま新作

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佐分利史子|カリグラファHP
伝統的なカリグラフィ文字を基調とした作品を制作している。文字そのものが持つなんらかの力を、題材(詩や文章)が持つ情景や感情に変えられればと考えています。



00_通販対象作品

作家名|佐分利史子
作品名|青色のリンドウとウイリアム・ロセッティの言葉

ガッシュ・透明水彩・アルシュ紙
作品サイズ|34.5cm×25cm
額込みサイズ|40.cm×30cm
制作年|2021年(新作)

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