【声劇台本】058「昼下がりの天使様」
突然ですが、みなさんは電信柱にぶつかったことはありますか?
私、リアルにあるんです。そうです。ドジっ子なんです。今日のお話にはそんな実感も込めました。コメディです。では早速どうぞ!
「昼下がりの天使様」
■人物
三好くん(17)高校2年生。
秋元さん(17)高校2年生。
■人物
三好くんのMO「いつもと違う、ポニーテールの秋元さん。学校と違って、急に大人に変身したみたいで、綺麗で、とても綺麗で……僕は、気づいたら、電柱にぶつかっていた!」
秋元さん「(心配して)三好君、大丈夫?」
三好くん「ご、ごめん……前見てなかった」
秋元さん「危ないなあ。でも、電柱にぶつかる人、初めて見た」
三好くん「俺も」
三好くんのMO「まさか自分がギャグ漫画のようなことになるなんて……。17年間生きてきてこんなに恥ずかしいことはない! あっ! 隠れて死にたい!」
秋元さん「三好君? 本当に大丈夫?」
三好くん「う、うん」
三好くんのMO「僕は緊張していたのかもしれない。だって、人生初デートなのだ! 映画に誘っただけだけど。秋元さんがOKしてくれるなんてまさに奇跡だった! 秋元さんの方をちらっと見る。やっぱり綺麗だ。綺麗で。綺麗で可愛い! まさに天使! そして、僕は再び電柱にぶつかっていた!」
秋元さん「(あきれて)三好君。また? どこ見てあるいてるの?」
三好くん「それは……方向音痴なのかな、俺」
秋元さん「まわりが気になる? 私と一緒だと落ち着かないとか?」
三好くん「そ、そんなことは!」
秋元さん「三好君、学校だと落ち着いてるのに。今日はいつもと違うから……」
三好くん「それは……秋元さんだって」
秋元さん「私?」
三好くん「その……髪型」
秋元さん「ああ、ポニーテール?」
三好くん「(照れながら)……・似合うなって」
秋元さん「ありがと! 映画遅れちゃうね」
三好くん「ご。ごめん……!」
三好くんのMO「もう僕は映画館まで無事にたどり着ける自信がなかった。秋元さんがまぶしすぎて。倒れそうだ。すると、そんな僕を見かねたのか、秋元さんは僕の手を取った」
秋元さん「私が方向音痴くんのナビゲーターやってあげるから。ついてきて!」
三好くん「えっ! でも……」
秋元さん「もう電信柱にぶつかってほしくないから!」
三好くんのMO「ああっ……。それを言われたら、もう何も言えない。僕は顔を真っ赤にしながら彼女に手を引かれて、人混みの中を歩いたのでした」
(おしまい)