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閉鎖病棟23時(ルポ?)

病棟は静まり返っている。

たまに、痴呆の激しい老女の叫び声

それも

(ち、ちーーー)や

(ねえーーー)

等の、どこか根元的な陰惨さのある

齢をとった赤ん坊の叫びといった感じのものが
聴こえてくるぐらいだ。

印象的な患者

その1 眼鏡の青年

老女の手を握っていたり
中年女性と変な感じを出している。
その割に好人物。

その2 呪われた老婆

片っ端から意味不明な言葉をかける
(いい男だね)と言われたが何故か皮肉に
聴こえた。
自分のナルシスムが見透かされた気がした。

その3 姫とギャル

そばかすで犯罪にも手を出しているだろうトー横系の10代と眼鏡の綺麗だけど異常な感じの女子のコンビ
ギャルが大声で生理の話をする

その4 偽のピスケン

有名編集者ピスケン氏にそっくりの男。
車椅子。手に入墨があり、事あるごとに
俺を追って来るがメンチを切るだけ。
俺は無視している。



消灯がすぎると間接照明だけになり、部屋はちょっとしたビジネスホテルのような趣になる。

とはいえ、こんなマトモな部屋に入るまでは独房のような保護室で全身拘束され、なんとオムツまでつけられる扱いであった。

オムツを見た時はさすがに
あまりのそのドラスティックさというか
写実的な皮肉さというか
裏返ったユニークさに
閉口せざるを得なかった。

看護師に極めてかわいらしい女性がおり、
このような存在がこの空白とも呼べる拘禁生活において
なんとも滋味、という感じなのである。

とはいえ、
pornhubを見ようとすると
ムサい男の看護師が注意に来るなど、

扱いはやはり囚人であり、
(女性看護師の居る夜はそんな事はしない。俺はゼントルメンだからだ。)
なかなかに心理的な抑圧は強いものがある。


特に記憶‥入院時の錯綜した記憶を探ると、

自分は1度殺された、という妄想があった。

そして、他の患者達は

友人達の生まれ変わりだ、
という妄想の基に行動した。

老女とトランプをやり、若者に話し掛け、‥

さらには、看護師の女性が自分の妻だという

まさに妄想も抱えており、
随分とアピールをしてしまった
(あながち満更でもないリアクションを貰いなかなか嬉しかった。妄想か。)

その看護師さんがレイプされた、という幻聴を聴いた日、

私はブチギレてスポーツ時間の担当の男に掴みかかってしまった。

その男が、

(お前の妻をレイプした)と 

言っている幻聴が聴こえたからである。


まずダイイチ、

俺に妻はイネーっつの。

というツッコミは置いておいて、

その一件にて全身拘束の流れである。

全身拘束ってどんな感じかわかるかな? 

ハンニバル・レクターを思い出して欲しい。
あれだし、あれでしかないから。

そして、あれが1週間とか続くとキツイんだこれが。

あとはいつも下半身から分泌物の匂いがしている、周りの男に話し掛けまくっている中年女性ね。

感じの良い喋りと裏腹に人の手を触るなど
埒外の放埒さがある。

深夜に廻ってくる看護師も色々なタイプが居て、基本的に夜勤は大人しい方が多いのだが

何故だろうpornhubを開くと

すぐに飛んでくる。

監視カメラでもあるのか?

人権をくれ。

この時間になると追加眠剤が処方され、

ベンゾジアゼピン系のそのキキに

昔懐かしのキックを貰い

眠気と処方と乱用と反跳不眠の狭間で

エアコン効きすぎてんなって想いながら、

(今)

今日を書いているんだよ。



@@@

人こいし
文字より文字の
荒波へ

行く先遥か
花の散るまで

@@@


おやすみ。


梶本

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