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今日は飲ませてくれ。

今日、地元の駅前で、東南アジア系の女性に声を掛けられた。
留学生でお金が無いのでお菓子を売っているそうだ。
お菓子は買った。500円だった。

というのも、僕は、今日、親友と喧嘩をした。
その人にとって、一番言われたくないであろう事を、言ってしまったからだ。
僕は今、自分の頭をまとめるためにこの文章を書いている。
その人は、自分にとって、とても大事な人だ。
社会復帰を支えてくれた、いわば恩人。
しかし、僕の中にも、数年にわたるわだかまりがあった。僕は意識してその言葉を発した訳ではないが、間違いなくそれは、僕の根本から発せられた言葉だったのは間違いない。
そこに優しさが無かった。
しかし、僕はこの数年の、いわば永続的にも思えたその暗黙の上下関係に反逆したのだ。
確かに、相手は、人生経験が、僕とは全く違う。
しかし、僕は僕の人生を生きてきた。
その誇りを持たせてくれた人の1人であるその人に対し、その怒りをぶつけるのも、また間違っているのかもしれない。しかし、その誇りを踏みにじり続けたのも、またその人なのだ。

男には…いや、僕が男には、というのはおこがましい。
しかし、僕にも誇りがある。
人間だからだ。
それは本当だ。そして僕は本当の事を言いたい。
明日起きたら、きっと違う気持ちかもしれない。
しかし、今は、今はこの気持ちで居させてくれ。
これは、見下され続けた男の、歪んだプライドかもしれない。
しかし、今は、自分が正しいと思わせてくれ。
この愚かさを、正義とよばせてくれ。
僕にも、感情があるのだ。
ある時から押し殺してきた、感情というものが。
逆ギレも、ひねくれも、八つ当たりも、グレるのもしたくない。
あくまで真っ直ぐな道を、僕は行く。
しかし、今日は飲ませてくれ。
誰に頼むのではない。
ただ、飲ませてくれ。

落ち着くには時間がかかる。
落ち着いた時、まだその人の事を大事に想ったなら、僕は誠意を持って謝る。
しかし、今日という日は、必要な日だったのだ。
僕にはわかる。
心の奥に隠した、哀しさのナイフで、その人の一番柔らかい部分を刺殺したのだ。
つまり、僕は言ってしまったのだ。
言ってはいけないことを。
しかし、本当の事を言うとはそういう事なのだ。
しかし、それは時に人を深く傷付ける。
分かってる。だが、僕は、自分に従う。
そして、出来る事なら、このナイフをコントロールしたい。
言葉に長けるとは、刀を持つという事だ。
心を突き刺す刀を。
ならば、その使い方を心得なければならない。
しかし、僕は今日、刀を抜いた。
それは、抜きさしならない、自分という存在にかかわる事だったからだ。

今日はこれでいい。
明日は明日でやるよ。
今日は飲ませてくれ。頼む。

おやすみなさい

梶本

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