戸定梨香さんの交通安全啓発動画削除に関しての所感と、"これから"の個人的展望について
タイトルにある動画削除の件についてSNS上で議論がされています。
これについて先に自分の考えを書くと、「騒いで終わりのフェミニズム」を終わらせるべきである。
近年のフェミニズムに関するSNS上での"炎上"は異常に感じます。それが筋の通った理由によるものならば理解できます。しかし昨今のそれらは「騒ぐだけ騒いで次に繋げる気がない」という印象しか受けません。
それが起こった理由を明らかにし、どうすれば次が起きないかを議論することが、"これから"に繋がっていくはずです。
以上が今回の件で私が感じたことです。
今回の経緯等は下の参考サイト[1]に載っていますので、そちらをご覧ください。
議員連盟側の質問状
画像:千葉県警本部、松戸警察署、松戸東警察署、千葉県、松戸市、松戸市教育委員会宛の公開質問状を提出。およびその回答について。より
質問の内容としては
1、交通事故防止啓発キャラクターに、戸定梨花を採用した理由をお答えください。
2、女児を性的な対象として描くキャラクターを採用することは、性犯罪誘発の懸念すら感じさせるものですが、採用決定過程においてどのような検討をされたかお答えください。
3、ジェンダー平等の視点から、このようなキャラクターを起用した警察署の発信をどうとらえているか お答えください。
4、青少年への様々な教育や施策に関わる立場として、この動画をどう考えるかお答えください。
(原文ママ)
以上の4点です。
「女児を性的な対象として描くキャラクターを採用することは、性犯罪誘発の懸念すら感じさせるものですが」とイメージの押し付けがある点が気になります。
事前に対話の機会を設けずに、一方的なイメージを押し付け相手を否定する質問は質問とは言えないと思います。
さらにこの質問状には「4つの質問」以外に「1つの要求」が書かれています。
私たちは、啓発動画に「松戸市ご当地 VTuber の戸定梨香」を採用した千葉県警、松戸警察署・松戸東警察署に 強く抗議し、当局の謝罪、ならびに動画の使用中止、削除を求めます。(原文ママ)
これら「4つの質問と1つの要求」がこの質問状の内容であり、9月10日を回答の期限としていました。
抗議側の質問状
質問状の内容についてはこちらから「全国フェミニスト議員連盟宛抗議と公開質問状」で検索をお願いします[3]。機材の都合上画像が用意できませんでした。
改めて、こちらの質問内容は
1.VTuberが「丈の短い着衣」「大きな胸」であることが直ちに「性的対象物」になると断定する理由をお聞かせください。
2.VTuberが地域の交通安全啓発をすることが、なぜ「性犯罪誘発」につながるのか、明確な機序をお答えください。
3.あなた方の抗議活動は、「株式会社 Art Stone Entertainment」やVTuberを運営するクリエイターの公共空間における表現活動の場を奪い、経営者である板倉節子氏をはじめ、女性の自己表現の機会を潰す結果となっておりますが、そのことについて、女性活躍推進の観点からどのようにお考えか、お答えください。
4.自らの肉体の年齢や性別と異なる姿になり、自らの意思によってその服装や肉体の在り方を決定するというVTuberという存在について、LGBT、特にクロスドレッサーの人権の観点から、どのようにとらえているかお答えください。
5.戸定梨香氏の体型や服装は、VTuberとしてごく一般的なものと考えますが、そうしたVTuberの動画が「女児を性的対象とする」ものであり、「性犯罪を誘発する」と貴連盟が断定する根拠をお答えください。(原文ママ)
以上の5点です。
議連側の質問状で戸定梨香氏を"女児を性的な対象として描くキャラクター"と扱っている事に対しての根拠等を問う内容です。
こちらは市と警察に対しての「申し入れ」という形で以下の内容が書かれています。
私たち有志一同は、千葉県松戸市、松戸警察及び松戸東警察におけるVTuberを活用した地域振興及び交通安全啓発への先駆的試みを高く評価し、賛意を表明するとともに、今後もVTuberの活用をいっそう推進するよう、市と警察に対して申し入れを行う旨、併せて表明いたします。(原文ママ)
これら「5点の質問と1つの申し入れ」が抗議側の質問状であり、こちらは回答期限を9月24日としました。
安易な「クレーム即取り下げ」の流れ
近年のフェミニズムによる炎上関連は「クレーム即取り下げ(削除)」の流れが目立っています。これは改められるべきものだと私は考えています。
・静岡県沼津市のJAなんすん(南駿)「ラブライブ!サンシャイン!!」コラボ
・アツギタイツイラスト企画
直近で削除を伴う大きな動きはこの2つが印象的だったと思います。
別件ではありますが、全国フェミニスト議員連盟は2017年8月7日に仙台・宮城観光キャンペーン推進協議会に対して"動画「涼・宮城の夏」に抗議し、即時配信停止することを求める要請書"を出しています。
もちろん「日本赤十字社『宇崎ちゃんは遊びたい』献血コラボキャンペーン」や「TOKYO女子けんこう部」などのように、炎上しても続いてる企画もちゃんと存在します。
なぜ対話がなされないのか
基本的ににこれらの炎上は、問題提起(批判を含む)から派生して批判がメインになり、発信者への攻撃へとシフトしています。批判から対話へシフトして平和的な解決をした事例は(私が調べた範囲内で)存在しません。
なぜ対話という手段がとられないのか、これは現在の「SNSを中心としたフェミニズム」の抱える大きな問題点といえます。
SNSの発達は「自身の内面の表現」を大きく後押ししました。しかし「匿名性」の高さからそれが攻撃に向くという負の面も認識されてきました。
信念や規範などが表面化した結果、SNS上ではそれらの違いから衝突する場面がよく見られます。これが対話に至らない最も大きな障害だと言えます。
またSNSの「匿名性」は個人の攻撃性を優位にしたと思います。その結果、「論破」のような非建設的なネットミームを産み出す結果にも繋がっていると思います。
私は「論破」というネットミームが広がった結果が「対話の拒絶」だと考えています。相手を言い負かす(否定する)ことを前提にした状態で、「お互いの価値観を否定せず、妥協点を導き出し、共存できる道筋を模索する」ことは不可能です。
対話はそれを実現するための第一歩です。
"これから"
ここからは私の考える理想論を書いていきます。
まず結論から、上でも書きましたが「騒いで終わり」を終わらせるべきです。その為に対話という手段を活用すべきだと思います。
今回の経緯を見ても議連側、もしくは動画に関係した組織・企業側どちらかが対話という選択肢を選び、"お互いの妥協点"を模索していれば今回のような騒ぎにはならなかったと思います。もちろんこれは動画削除の決定をする前に株式会社Art Stone Entertainmentに対して説明の機会を設けなかった警察にも当てはまります。
全国フェミニスト議員連盟も警察もこの点は深く反省すべきです。
議連側は今回の抗議に対して「見解を問うただけ」と発言し、10月8日には記者会見を行っていますが抗議側の質問状への回答は今のところありません。抗議側の青識亜論氏は対話と議論へと繋げたいとTwitter内でも語っています(下の画像は加害予告後の発言です)。
私は炎上するよりも前に対話し、建設的な解決がなされることを"これから"に願います。
画像:青識亜論Twitterより
個人的な解釈、まとめ
今回の件について私は「抗議側」です。これを明記することで抗議側に都合がいい解釈だ、議連側の視点が足りてないなどのお言葉をいただくかもしれません。しかし、それは議連側も同じだと思います。抗議側への理解を示さず抗議の声を潰そうとしているように見えてしまいます。人の目線は1つしかありません、SIRENの視界ジャックのような事ができれば何か変わるかもしれませんが、それは現状無理です。
だからこそ同じ目線で、対等な立場での対話が必要なのです。今回であれば議連側と抗議側どちらの意見も平等に扱うべきです。
だからこそ議連側の質問状の序文についての説明が必要だと思います。あの動画が世間に悪影響を与えるというならば、その正義感をもって自らの正当性と根拠を示し改善を促すべきです。
それをせず一方的に「性的であり悪影響」と決めつけ謝罪と削除を要求するならば、それは「個人的(組織的)価値観の押し付け」でしかありません。多様性を訴えるはずのフェミニズムが、自らの価値観以外を否定するのはおかしいと思います。
だから抗議側の質問が最初に『1.VTuberが「丈の短い着衣」「大きな胸」であることが直ちに「性的対象物」になると断定する理由をお聞かせください。』で始まっているのだと思います。
この問題が解決しなければまた「価値観の押し付けの被害者」がいつ発生するかわかりません。「本来の目的と異なる意図でとらえられることへの懸念」がいつまでも続き、次にだれがそうなるかもわかりません。それを強いる事はフェミニズムの理念と反すると考えています。
この流れがよりよい相互理解に繋がることを望みます。
参考及び引用サイト
[1]ご当地VTuber戸定梨香さん交通安全啓発動画の経緯把握メモ - Togetter
[2]全国フェミニスト議員連盟 HP
https://afer-fem.org
[3]全国フェミニスト議員連盟宛抗議と公開質問状
https://www.change.org/p/全国フェミニスト議員連盟宛抗議と公開質問状
[4]Vチューバー動画削除の千葉県警 「戸定梨香」の性的要素否定し「不適切ではない」と明言
https://www.google.co.jp/amp/s/news.yahoo.co.jp/amp/articles/28cb1a60d86250e80c6210c5fb7d8f9a9d9ce038
[5]日本赤十字社-「宇崎ちゃんは遊びたい!」×献血コラボキャンペーン実施!
https://www.bs.jrc.or.jp/ktks/kanagawa/2020/01/-21229.html
[6]東京都福祉保健局-TOKYO女子けんこう部
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/joshi-kenkobu/
[7]Vチューバーの県警動画削除 フェミニスト議連「ミニスカ、大きな胸の揺れ、交通安全動画に本当に必要か」
https://www.tokyo-np.co.jp/article/135429/2