「針を置いたらあの海へ」あとがき
もうそろそろ、書いてもいいんじゃないか。
そう思って今、とうとうあとがきに着手しました。
執筆記を散々書いたので、あとがきで書くことなんてなさそうだけれども、長いエンドマークを打つつもりで書きたいと思います。
これまでに書いた4作の中で一番の難産でした……って、みんな知っとるわな。
こういう、書いてる間の七転八倒はそれこそ執筆記で十分に書いたので、ひとつだけ。
初稿では、あまり評判がいい、とは言えなかったんです。
だから、もうこの話は手放した方がいいのかな、物凄くデリケートな題材もあって、誰かを傷付けてしまうリスクの方が大きいのかな、と、日々不安になっていました。
不安の根底にあったのは、毎作品、ひっそりとXのDMで感想をくれ、担当編集さんのように「ここが好きです!」「ここが気になった」とアドバイスをくれるYさんが、完全に沈黙をしていたことです。
そして、ふとしたきっかけでYさんに連絡をとった時、
「作品の感想伝えられてなくてごめんなさい、ちょっと書き言葉では上手く伝えられないから、今から電話してもいいですか?」
と言われたのです。
Yさんとは、XのリプライやDMでしか話したことが無く、電話は初。
しかも、平日の21時!
小説のためだけに、そして会ったことない私のためにわざわざ電話をしてくれる……。
Yさんは、いつもはこちらが恥ずかしくなるくらい、私のことを買ってくれていました。
毎作品どんどん良くなっている、書いている姿を見ていて楽しい、そういった言葉をくれて、それが原動力になっていました。
だから、初めて聴くYさんの声で、真剣に
「テーマは一言で言うと何なんでしょう?」
「この展開にする必要はあったのかなって……」
と、1時間以上共に検討してくれたことで、「このままではいけない」と危機感を抱きましたし、天井があるにしても、せめてこの熱意に値するくらいには作品を高めた状態で終えたい、と思いました。
その後も、改稿の度に、同日中あるいは翌日には読破し、すぐに感想をくれていました。
最終稿のラストシーンを書き上げた時、我ながらしつこいと思いつつ、どうしてもこれはYさんに読んでもらわないといけない、と思い、該当箇所だけ抜き出してDMで送りつけました。
Yさんが
「すごい!!さらにアツい展開になってる!」
「ちゃんと針を置いたら飛んでいったんですね……」
としっかり受け止めてくれて、ああ、やっとエンドマーク打ったな、と思いました。
この作品に、沢山の方が感想を寄せて下さって、またnoteで紹介までしていただいて、今までで一番多くの人に読まれた作品になりました。
最終稿は、自信を持って人前に出せるものになった、と思っています。
そこに至るまでに、一切表に出ることのなかったYさんとのやりとりがあり、
Yさんがずっと「掃除機さんは書くたびに上手くなってる」「人生のスピードが凄すぎる」と励ましてくれていたおかげで、諦めずに書き続けられた、ということを書き記しておきたいと思いました。
Yさん、本当に本当にありがとう。
あそこまで熱く検討会してくれる人も、レオとたっちゃんのイメージ画描いてくれる人も、あなた以外にはいません。笑。
ぜんぜん直接言えるんですけど、こんなすごい人が居るってことを、全力で伴走してくれた人が居るってことを、みんなに自慢したくて書きました。
この後ご本人にDMします。
嘘。もう遅いから明日にします。
Yさん、めっちゃ読んでもらえました、って。