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【未来からほめられるアクション3】 森や緑を守る行動をしよう 

2025_SCOPEカレンダー連携コラム
 
2025年スコープカレンダーでは、毎月、サステナブルな記念日をピックアップし『未来からほめられるアクション』と共にご紹介しています。3月の記念日は3月21日の「国際森林デー(International Day of Forests)」。世界で森林や樹木に対する意識を高める記念日に、私たちができるアクションについて考えてみましょう。

■国際森林デーについて
「国際森林デー」は2012年に国連総会で制定された記念日です。毎年3月21日、世界中で森林の大切さについて理解を深めるイベントや植樹・育樹活動が行われています。この記念日は、地球の環境と私たちの暮らしを支える森林の役割を見つめ直し、その保護活動を広げるきっかけとなっています。
森林はさまざまな生物の住みかであり、私たちの生活になくてはならない存在です。森林はCO₂を吸収し、酸素を生み出すことで気候を安定させ、地球温暖化の緩和に貢献しています。また、雨水を蓄えて洪水を防ぎ、土壌を守る「緑のダム」のような役割も果たしています。

それだけでなく、森林は私たちに癒しも与えてくれます。休日に山歩きを楽しむ人も多く、森林浴は都会の喧騒から離れて心身をリフレッシュできる最高のレクリエーションです。

しかし現実には、FAOによると2010~2015年の間、毎年約330万ヘクタールもの森林が失われました。違法伐採、農地拡大、都市開発などにより、貴重な森林資源が急速に失われつつあるのです。「国際森林デー」を機に、森林破壊の現状に目を向けてみましょう。

■世界の森林問題
国連食糧農業機関(FAO)の調査によると、世界の森林面積は現在約40億6,000万ヘクタール(2020年時点)。これは地球の陸地面積の約3割にあたります。しかしその森林が今、急速に失われています。国連の報告によると、1990年から2020年の30年間で約1億7,800万ヘクタールの森林が消失しました。これは日本の国土面積の約4.7倍に相当し、今もなお減少が続いているのです。


引用 森林・林業学習館サイト 世界の森林面積と森林率


最近の数年に目を向けると、2015年から2020年までの5年間で森林減少面積が大きかったのは、次の地域です。
●  アフリカ(年平均441万ヘクタール)
●  南米(年平均296万ヘクタール)

この写真は、南米のアマゾンで行われている違法伐採風景です。熱帯雨林は大量のCO₂を取り込み、酸素を作り出していることから「地球の肺」とも呼ばれ、気候安定に欠かせない存在ですが、このような違法な木材伐採や、現在のブラジルの産業を支える牛肉・大豆の生産のために森林が切り開かれています。

一方アフリカや東南アジアでは急速な経済発展や人口増加に伴い、木材を過剰に輸出したり、森を切り開いて農地にしたりと、森林資源が過剰に利用されてきました。森林資源によって経済成長は見込まれるものの、森林が失われることで土壌の劣化や水資源の減少が進み、長期的には人々の生活にも悪影響をもたらしています。東南アジアは、森林保全関係法令の執行体制が弱い地域であることも見逃せません。

■日本の森林問題
日本は国土の約67%が森林に覆われている「森林大国」です。アメリカの約33%、中国の約23%、イギリスの約13%と比べても日本は先進国の中もトップクラスの森林率を誇り、何も問題はないように思われますが、実は深刻な問題に直面しています。


(スギ林、ヒノキ林)

スギ、ヒノキなどの木材を得るために人間の手によって作られた、1種類の樹種からなる林を人工林と言い、天然林と違って定期的な手入れが必要です。戦後の日本では、復興のため木材需要の高まりからスギやヒノキを中心に人工林が多く植えられました。しかし、海外からの木材の輸入自由化が進み、時が経つにつれ、林業従事者の減少や採算の悪化により、適切な管理が行われなくなりました。森林面積はここ50年でほぼ変化はありませんが、森林資源量の目安となる樹木の幹の体積「森林蓄積」はおよそ3倍に増加しているのです。つまり日本の森は超過密状態だといえます。


引用:天然林別の森林面積の推移 人工林

間伐がされないまま放置された森林は光が地面に届かず、土壌が弱くなるため土砂崩れや洪水など自然災害のリスクが高まります。また、過密に育った木々は栄養が行き渡らず、質の良い木材にならないだけでなく、CO₂の吸収能力までも低下してしまうのです。

さらに日本は木材の約7割を海外からの輸入に依存しています。安価な輸入木材の流通が進んだことで、国産材の需要は低迷し、林業は採算の取れない産業となりました。本来、日本の森林は持続的に活用すれば経済と環境の両方に貢献できる貴重な資源となるはずなのに、森林資源を有効に生かせていないのが現状です。

こうした問題を解決するためには、国産木材の活用を進めることが重要です。例えば住宅や家具に国産材を積極的に使用することで林業が活性化し、適切な森林管理が行われるようになるでしょう。また林業の従事者を育成して、放置林を減らし森林の健全な循環を取り戻していくことが大切です。

■問題を解決する方法
森林減少の問題を解決するためには国際的な協力が不可欠です。1992年にブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催された地球サミットでは、森林原則声明が採択され、持続可能な森林経営の理念が示されました。また、SDGs(持続可能な開発目標)では、目標15「陸の豊かさも守ろう」を掲げています。この目標は森林を守り、土壌の劣化を防ぎ、生物多様性を維持することを目指しています。

日本国内では、企業が森林認証(FSC認証)を取得した木材を利用することで、消費者が「森林を守る選択」をしやすい環境も整いつつあります。



森林問題は大きな課題に思えるかもしれませんが、私たち一人ひとりの日常の中でできる小さな行動が、未来の森林を守る大きな力になります。以下のような取り組みから、無理なく始めてみましょう。

1. 再生紙やリサイクル製品を選ぶ
ノートやティッシュペーパーなど、普段使うアイテムを再生紙やリサイクル製品に切り替えてみましょう。環境に配慮したものに切り替えるだけで、未来の森林保全に貢献できます。


環境系マークのうち、森林問題にもっとも関係があるものが、「FSC🄬認証マーク」です。パンフレット、包装紙など紙製品に使われています。FSC認証は、適切に管理された森林でできた木材・製品に与えられるマークで、世界の森林破壊問題に対する取り組みです。FSC認証を取得するには、第三者機関の審査に通る必要があり、10の原則と70の基準を満たすことが条件です。

2. 過剰包装を断る
買い物の際は簡易包装のものを選んだり、マイバッグを持参したりすることも資源の浪費を防ぐ大切なアクションです。シンプルな選択が森林資源を守る第一歩になります。

3. 植樹活動やボランティアに参加する
地域で行われている植樹活動や森林保全のボランティアに参加するのもいいでしょう。日本では2024年の国際森林デーに東京湾の埋立地「海の森公園」で植樹イベントが開催され、多くの人が参加しました。このようなイベントは森林を守るだけでなく、自然とのつながりを感じる良い機会となります。

4. 森林保全活動への寄付をする
森林を守るための活動を行う団体に寄付することも未来の森林を守る力になります。信頼できる団体を選び支援することで、植樹や違法伐採の防止など世界中の森林を守る活動に貢献できます。

一人ひとりの小さな行動が、未来の森林を守る大きな力になります。「国際森林デー」をきっかけに、あなたもできることから始めてみませんか?