
シナリオ 星の墜ちた日 -雨の中を歩こう IV -
今描いてるまんがのシナリオを晒します…。
このシナリオのマンガで冬コミ出る予定です…。2024年12月30日(月)コミックマーケット 105 西1ホール む-11bです…。
過去作の紙本の頒布をフロマージュブックスさんに委託してますです。よろしくお願いいたします。m(__)m
https://www.melonbooks.co.jp/fromagee/circle/index.php?circle_id=125995
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登場人物
ディーン・フライト:生身 12歳
緑瞳人という色々必殺技とか使える一族のはぐれ者。
ミラン・アンダーソン:サイボーグ 48歳
わりと若作りな見た目。防御力より敏捷性に優れる。戦闘力は人間にしてはまあまあ。
ワーストン・ブラウゾート:生身 51歳
緑瞳人。わりと短気。
男:生身 29歳
緑瞳人。
通信機の声:生身 46歳
緑瞳人。ホープ2号のクルー。
施設局長:生身 58歳
人間。時々ミランに怪しいバイトを依頼しているらしい。
密貿易人:生身 42歳
緑瞳人。
緑瞳人1:生身 24歳
緑瞳人。惑星エイル在住。割と血気盛ん。
緑瞳人2:生身 21歳
緑瞳人。惑星エイル在住。割と血気盛ん。
緑瞳人3:生身 32歳
緑瞳人。前はデルタ星系方面に住んでいた。
緑瞳人4:生身 46歳
緑瞳人。前はデルタ星系方面に住んでいた。
女:生身 45歳
緑瞳人。
中年男:生身 38歳
人間。中央ゲート網職員
配信者:サイボーグ 37歳
人間。施設局の広報担当
作業員1:サイボーグ 54歳
人間。
作業員2:サイボーグ 60歳
人間。
ボス:サイボーグ 52歳
人間。バイト先の作業現場のボス。
劇中人物:生身 30歳ぐらい?
人間。ホラーアクション作品の登場人物
観光業者:生身 34歳
人間。惑星エイルの観光業者。
観光客1:生身 24歳
人間。
観光客2:生身 24歳
人間。
* * *
(バイト先から出てくるディーンとミラン)
観光業者:はい!
惑星エイル、オプション
旧市街廃墟ツアーは
こちらのビークルに
乗ってください!
観光客1:うっそだろ
ここ短距離ゲート網
無いの!?
観光客2:ま、田舎だから
しょうがないよ。
ディーン:…最近、観光客の人
よく見かけるね。
ミラン:あー。
エチゼンクラゲの演習
目当てだね。
ディーン:エチゼンクラゲ?
ミラン:(動画を見せる)
大型長距離砲艦だよ。
去年まではデルタ星系で
演習やってたけど、
うちの星間ゲート、改修したから
呼べるようになったらしい。
こいつの主砲で第5惑星にクレーター
一個増やすところを
公開するんだとさ。
ディーン:え、見たい。
ミラン、
見に行こうよ。
ミラン:やだ。見学船
高いもん。
ディーン:ええっ?
行こうよ。
ミラン:やだ。
ていうか、最近よく動画見てると
思ったけど、意外にニュースに
うといんだな、ディーン。
ディーン:…別にニュース
観てるわけじゃ
ないもん。
ディーン:いいよ。
バイト入れるから。
ディーン:けち。
ミラン:…。
* * *
(工事現場)
作業員1:あれ?
怪力チビちゃんは?
ミラン:あー。
別のバイトで…。
* * *
(ミランとディーンのすみか
配信を見ているディーン)
配信者:エチゼンクラゲ、
やはり大きいですねぇ。
改修したゲートでも
内径ギリギリです。
配信者:エイル対空基地司令の
エチゼンクラゲ表敬訪問は
このあとー
ミラン:ただいまー。
ディーン:…おかえりなさい。
ミラン:あれ?ディーン、
バイトは?
ディーン:延期。
なんか機材が
届かないって。
ミラン:ふうん…。
ミラン:何
見てんの?
劇中人物:撃て撃て
殺せ!
劇中人物:何て奴だ
まだ生きてる!
この化物!
ミラン:ホラーアクション?
ディーン:うん。
五百年ぐらい
前のかな。
ミラン:面白い?
ディーン:面白くは
ない。
(雨が降っている。
ふと何かに気づくディーン)
ミラン:どした?
ディーン:ちょっと外
見てくる。
* * *
(外に出るディーン。空を見上げる。)
ディーン:……。
(出てくるミラン)
ミラン:ディーン?
何かあった?
(霧の向こうから低い音がする)
ミラン:この音…。
宇宙船…!?
ディーン:!
ミラン:どうした!?
ディーン:(絶叫)うわああああ!!
ミラン:おい!!
ミラン:ディーン!
(気絶するディーン)
(霧の向こうで轟音がする)
ミラン:(独白)何だ…!?今の音…
宇宙船が
墜ちた…?
* * *
(ミランとディーンのすみか)
ミラン:気が付いたか。
ディーン:あ…。
ディーン:(ふらふらしながら)行かなきゃ。
ミラン:どこにだ!?
ディーン:…。
宇宙船の
みんなを
助けないと…。
ミラン:船が墜ちたのは
半日も前だ!
ミラン:消火の手伝い行ったが
粉々だったぞ!
生き残りは…
ディーン:行ってみなきゃ
わからないよ!
ミラン:ディーン!
ディーン:…半日…前…。
ミラン:何があったんだ?
ディーン:……。
ミラン
私が
人間じゃないって
話はしたっけ。
ミラン:…「人間」の定義にも
よるけどな。
ミラン:ま、生身でそこまで
頑丈で強いのは
珍しいとは
思ってるけど?
(ミランに端末を見せるディーン)
劇中人物:くそっ!
緑瞳人め…!
何発食らえば倒れる!
ミラン:……。
今朝見てた
ホラーアクション…?
ディーン:この緑瞳人って怪物が
私なんだって。
ディーン:人類とは別種の生物
なんだってさ。
よく知らないけど。
ディーン:「人間」って人類じゃ
なくてもいいんだっけ。
ミラン:…。
ディーン:人が殺されようとしてる
「感じ」が伝わるんだ…。
距離が離れてても…。
「人類」じゃない
私の「同類」だと
もっと伝わる。
「声」が聞こえるぐらいに。
ミラン:…。
ディーン:あの船、私の「同類」が、
「緑瞳人」が
たくさん乗ってた…。
ミラン:生き残りがいるって
いうのか?
さっきも言ったが
宇宙船は粉々だったぞ!
ディーン:とにかく、
行って見てくる!
* * *
作業員2:あれ?ミラン、
また来たのか。
ミラン:こいつも小遣い
欲しいっていうんで。
作業員2:今日の作業は終わりだよ。
帰んな。
ミラン:…?
鎮火したから
残骸の撤去を
今日やるって…。
作業員2:行政局の連中が機材
山ほど持ってきてな。
見なよ。
作業員2:撤去から整地まで
あっという間に
済ませていったよ。
あいつらあんな
いい機材持ってんなら
旧市街の整備も
手伝えってんだよな。
作業員2:残念だったな、
怪力チビちゃん。
また次たのむわ。
ミラン:どうも。
* * *
ミラン:どうも
…嫌な感じ
だな…。
ディーン:!
ミラン:ディーン!?
(走っていくディーン
廃墟のくぼみで立ち止まる。
あたりをきょろきょろする)
(追いつくミラン)
ミラン:どうした?
ディーン:この辺で、
変な気配が
したんだけど…。
ミラン:…。
(はっと気づく)
ミラン:…へたくそなカムフラージュだな~。
機材はいいのにな~。
(言いながら機材のスイッチを切る)
(小型救命艇が現れる)
ディーン:!
ミラン:生き残りがいるってのは
本当みたいだな。
ディーン:!
(いきなりハッチが開いて急に襲い掛かってくる男。
波動拳を放つ。
それを受け止め反撃するディーン。)
(倒れる男)
男:貴様ら…!
ディーン:あなたは
船の生き残りなの…?
男:…。
ミラン:この機体、銘板削ってあるけど
…デルタ方面軍のだね。
緑瞳人の船の救命艇にしちゃ、
ちょっと不思議な感じだな。
男:…鹵獲したものだ。
ミラン:本当に?
(ハッチをのぞきこむ)
通信機の声:おい!
何だ今の音!?
ミラン:…。
(スイッチの一つを消す)
男:!!
(ミランをコックピットから引きはがそうとして
ディーンにボコられる男)
通信機の声:どうしたんだ!?
何があった!?
ミラン:船は墜ちました。
通信機の声:お前は誰だ!?
ミラン:地元の者です。
地表近くにワープアウトして
強行着陸しようとしたんでしょうが、
対空基地が把握してたんでしょうね。
内通者がいたと
思ったほうがいい。
さっきまであなた方と
通信していた
この男かな。
男:違う!
ディーン:(通信機のコンソールを見る)
ホープ2号…!?
もう一隻の船!?
来たらダメだよ!
撃ち墜とされちゃう!
ミラン:さっきまで
対空基地向けの
チャンネルが
オープンになってました。
信じるも信じないも
そちらの自由ですけど。
通信機の声:…!
男:貴様…!
ディーン:…!
(気配を感じて振り返る)
ディーン:ワーストン・ブラウゾート…!
ブラウゾート:妙にこそこそ
していると思えば。
なるほど。
そういう訳か。
男:ハ、ハ、ハ、
ホープ2号には
引き返すだけの
燃料は無い!
お前たちは罠と分かってても
対空基地を攻撃するしか
無いんだ!
ブラウゾート:田舎の対空基地の防御など
たかが知れている。
正面から行っても
負ける気はしないな。
ミラン:…。
あなた方の力があれば
ここの対空基地ぐらいなら簡単に
落とせるでしょうね。
ディーンを…この子を見てれば
わかります。
ブラウゾート:貴様…。
思い出したぞ。
施設局長の腰巾着だな。
ミラン:…腰巾着より
だいぶ下っ端
ですけどね。
ミラン:…基地を落とせても、
今この星系には
エチゼンクラゲが来てる。
ブラウゾート:…!
この都市の住人の
ほとんどは
人間だぞ…!
ミラン:それはそうですけど、
おっしゃる通り、
ここ、エイル星系は
「田舎」ですからね…。
ブラウゾート:…。
ミラン:エイル星系の行政局と施設局は
星間ゲートをせっかく改修したんで、
中央ゲート網への接続権を
取ろうって野望を、
持ってますけど、
デルタ星系も同じです。
エチゼンクラゲは元々
デルタ星系方面軍と
関係が深い。
ライバルを潰すいい口実が
できたってとこでしょう。
ハメられたんですよ。
男:(げらげら笑う)
ブラウゾート:なぜそれほど同類を憎む。
男:(ディーンに)
そこのガキ、
お前、はぐれ者だろう。
(ミランを指す)
その女を殺してやったら
どう思う?
ディーン:!
男:俺もはぐれ者だったんだ。
…お前にはわからんよ。
ブラウゾート:ああ、わからんな。
(波動拳を放つブラウゾート。
爆散する男)
通信機の声:おい!どうしたんだ!?
おい!!
ブラウゾート:(通信機に)大丈夫だ。
しばらく待ってくれ。
また後で連絡する。
(通信機を切る)
ブラウゾート:対空基地の間抜けどもが
そろそろ来るだろう。
行くぞ。
二人とも来い。
* * *
(緑瞳人たちのアジト
勇ましい格好の緑瞳人たちが
数十人待機している)
緑瞳人1:そんな…!
ブラウゾート:裏切者は始末したが、
こっちの作戦は筒抜けだ。
緑瞳人2:そいつらは何です。
そのガキはともかく、
そっちのサイボーグは
人間でしょう!?
ブラウゾート:はぐれ者のガキと、
施設局長の腰巾着だ。
ブラウゾート:今も回線を施設局長と
繋いでいるんだろう?
代われ。
ミラン:ええ。
そこの機材でいいですか?
ブラウゾート:ああ。
施設局長:初めまして。
お噂はかねがね。
ブラウゾート:こちらこそ。
ブラウゾート:我々の移民船が一隻、
今朝撃ち墜とされた。
あなたは知っていたか。
施設局長:いいえ。
知らなかったわ。
ブラウゾート:もう一隻の船を安全に
ここ、惑星エイルに
着陸させることと、
乗っている仲間たちの
安全を確保したい。
施設局長:ええ。旧市街再開発の
人手が足りないの。
労働者とその家族を乗せた
移民船ということで
いいかしらね。
ブラウゾート:いいだろう。
施設局長:では、行政局と連絡して
着陸許可をもらうわ。
それまで待ってちょうだい。
ブラウゾート:了解した。
…必ず約束は
守ってもらうぞ。
施設局長:ええ。
わかっているわ。
ミラン:回線は切れました。
交渉に行ったん
でしょう。
ブラウゾート:連絡があったら
すぐに繋げ。
ミラン:ええ。
ブラウゾート:(仲間たちに)
そういう訳だ。
襲撃計画は中止だ。
緑瞳人1:そんな…!
緑瞳人3:冗談じゃねぇ!
あの船には
母ちゃんが
乗ってるんだぞ!
緑瞳人4:あいつら、
いきなり撃って
きたんだ!
緑瞳人4:救命艇の近くにいた
俺ら以外、
みんな、みんな
死んじまった!
緑瞳人4:人間なんか信用できるかよ!
ブラウゾート:じゃあ勝手にしろ。
仲良くエチゼンクラゲの
餌食になるんだな。
(出て行く)
緑瞳人1:…。
行くぞ。
(立ち上がる緑瞳人たち)
ディーン:ダメだよ!
緑瞳人1:はぐれ者の
お嬢ちゃんは
おとなしくしてな。
ディーン:ダメだよ。
ここは通さない!
緑瞳人1:どきな。
(波動拳を放つ。)
(防御するディーン)
緑瞳人たち:…!
この…!
(ディーンをボコろうとする緑瞳人たち)
ディーン:!
(衝撃波を放つ。
吹き飛ぶ緑瞳人たち)
ディーン:ダメだよ…!
緑瞳人3:お嬢ちゃん
はぐれ者の割には
大した腕だな…。
ディーン:…。
緑瞳人3:母ちゃんが死んだら、
責任は
取ってもらうからな。
ディーン:わかった。
* * *
ミラン:回線繋がりました。
応答してください。
ブラウゾート:(ディーンに)
あいつらは?
ディーン:ぶっ飛ばしてきた。
ブラウゾート:そうか。
* * *
(新市街地近くの旧市街廃墟)
中年男:いや!
ここは穴場だね!
廃墟ツアーには絶対
組み込んだほうがいい!
配信者:よかった!
そう思いますよね!
ディーン:あのおじさん誰?
ミラン:中央ゲート網の職員の人。
エチゼンクラゲ目当てで
観光に来てたみたいだよ。
施設局で穴場を紹介する配信
やるから出ないかって誘ったらしい。
ディーン:偉い人なの?
ミラン:いや?ヒラじゃないかな?
ディーン:…事情は説明したの?
ミラン:してないんじゃない?
ディーン:…ヒドくない?
ミラン:ま、何事も無ければ
何も起きないし、
何かあったら、
ここにいるあたしたちも
道連れだし。
配信者:それから今日、近くに
移民船が着陸しますんで。
中年男:あー、今日は、エチゼンクラゲ関係で
宙港の方、混んでるもんね。
でも、地上に中型船が着陸すんの
見るのも久しぶりだなー。楽しみ!
エイルはいいとこだし、
もっと発展していくよね!
(降りてくる船
三々五々出てくる緑瞳人たち)
(見ているディーンとミラン。
密貿易人がいつの間にか来ている)
密貿易人:…一隻墜とされたって?
格安業者にゃ裏がある
って忠告したんだがなぁ。
ディーン:あなたは…?
密貿易人:はぐれ者のお嬢ちゃん
てのは君だね。
船を下取りに
来たんだよ。
(降りてきた女性に駆け寄り泣きながら抱きつく緑瞳人3)
密貿易人:…ま、俺らみたいな星間輸送とか、
場合によっては
ブラウゾートさんみたいな
人買いまでは
大目に見てくれるけど、
俺らが自分たちの
星を持つのは
許してくれないよね、
人間さんたち。
ディーン:…。
密貿易人:俺らと一緒に行くかい?
ブラウゾートさんも
来るってさ。
ディーン:行かない。
私はここにいる。
密貿易人:そうか。
密貿易人:そうだ。
一つだけ
教えておいてあげよう。
「緑瞳人」っていうのは
人間がつけた名だ。
俺たちは「真眼の民」
というんだ。
覚えておきな。
ディーン:…ダサい名前。
密貿易人:ハハハ。
またな。
* * *
(船が飛び立つ)
ミラン:…行かなくて
よかったのか?
ディーン:何で!?
ミラン:同じ「真眼の民」
なんだろう?
ディーン:私あいつ
大っ嫌いだもん。
ミラン:あいつ…?
ディーン:ワーストン・ブラウゾート。
ミラン:…そうか。
* * *
(工事現場)
ボス:よし!
休憩!
(食事をとるディーン
ミランがやってきて覗き込む)
ミラン:何見てんの?
ディーン:エチゼンクラゲの演習。
まだ式典やってる。
(仏頂面の男が中央に映っている)
ミラン:これデルタ星系の
お偉いさんじゃん。
ディーン:そうなの?
ミラン:ま、去年までは
デルタ星系でやってた
演習だしね。
(少し笑う)
凄い機嫌悪そう。
(同僚に呼ばれて去っていくミラン)
(エチゼンクラゲの主砲が火を噴く。
第5惑星に大穴が開く。)
(ディーンの横に女が腰掛ける)
女:お嬢ちゃん、
あの時の通信機の子だね。
ディーン:!
女:ありがとうね。
ディーン:そんな、
私は何も…。
女:ここは仕事があって、
食べられる。
それで十分。
ディーン:…。
女:あたしの良い人がね。
一隻目の船に
乗ってたんだよ…。
ディーン:…!
ボス:おおい!
そろそろ
休憩終わるぞ!
END