W杯全32カ国紹介④ ~GROUP C~

アルゼンチン

アルゼンチンはかつて「神」という異名をつけられたマラドーナ、そして「神の子」という異名がついた「メッシ」という2人の「神」を輩出してきた。

その伝統の通り、近年、前線は常に世界トップレベルのタレントがそろい、攻撃力は並み外れていた。
しかし、その一方で、守備は見劣りするような選手が中心となっており、強豪国と思えないような失点をするシーンも散見された。

今大会でも、攻撃陣に関してはメッシ(PSG)だけでなく、ディ・マリア(ユベントス)やラウタロ・マルティネス(インテル)、ジュリアン・アルバレス(マンチェスター・シティ)などを擁し、大会№1レベルである。

守護神エミリアーノ・マルティネスはPKストップも得意で穴がない。かつて問題視されてきたメッシ依存も、もはやメッシ頼みのチームではなくなった。

間違いなくアルゼンチン代表は近年で今が最も強く、前評判も高くなっている。そして、今大会が英雄メッシのラストチャンスとなる。

チーム全体で「メッシのために」という共通認識のもと戦っており、コパアメリカ決勝で試合終了のホイッスルと同時にその場でうずくまるメッシとそのメッシに全力で全員が駆け寄っていくシーンは感動的だった。
 
注目選手 リオネル・メッシ(PSG)

“リオネル・メッシ(PSG)”

神の子と呼ばれ、史上最多7度のバロンドールを受賞。
マラドーナやペレ、クリスティアーノ・ロナウド(マンチェスター・ユナイテッド)らと並び、「GOAT(Greatest Of All Time)」と評されてきた。

そんなすべてを手に入れてきた彼に唯一足りないタイトルがワールドカップである。
2014年のブラジルワールドカップでは、大会MVPの活躍でチームを決勝へと導き、決勝でもタレント揃いのドイツ代表相手に延長戦までもつれ込む好勝負を見せたが、延長後半の一発で惜しくも準優勝に終わった。

今大会がメッシにとって実質ラストチャンスとなる。
メッシが自身のアイドルと公言するアイマールも今大会ではコーチとしてチームを支える。
そんな彼の目の前で8年前の忘れ物を取り、だれにも文句を言わせない史上最高の選手となれるか。


 

サウジアラビア

サウジアラビア代表の最大の特徴は全員が国内組であることである。
その中でも多くの選手が国内強豪クラブで一緒にプレイしているため連携面では大きなアドバンテージを得ている。
その連携と個々人の能力の高さを武器に、日本代表やオーストラリア代表と同組となったアジア最終予選では首位通過した。

また、10月中旬から代表活動に入り、日本など各国が直前に1試合しかできていない中で6試合をこなしている。直前の準備期間が短く、各国が苦労している中でサウジアラビアは準備万端である。
しかし、サウジアラビアが入ったグループⅭでは格上が集まった。
そんななかでサウジアラビアがどれだけかき回せるかに注目は集まる。

また、エルヴェ・ルナール監督は白シャツのイケメン監督として前回大会でモロッコを率いた際には日本で話題になった。フランス出身で映画俳優のような顔立ちの監督にも注目は集まる。
 

注目選手 サレム・アル・ドサリ(アル・ヒラル)

“サレム・アル・ドサリ(アル・ヒラル)”

チームの大半のチャンスに絡んでくる左サイドのアタッカーである。
アル・ヒラルの主力として浦和レッズとACL決勝で戦った過去もある。
そんなドサリはアジア予選では13試合7得点の大活躍で母国を本選出場に導いた。

また、スペインの強豪ビジャレアルでプレーしたこともあり、国内組ばかりで構成されたチームでその経験は必ず生きると思われる。
彼がどのように強豪との試合の中でチームを引っ張るか注目だ。
 

メキシコ

メキシコ代表は実は1994年のアメリカワールドカップから7大会連続でベスト16で敗退。

バルセロナやアルゼンチン代表などの監督を務め、2010年の南アフリカワールドカップではパラグアイを率いてPK戦の末、日本代表を下したヘラルド・マルティーノ監督のもと、1986年以来となる悲願のベスト8入りを狙う。

悲願達成のため、メキシコ代表は2022年になって他国の2倍ほどの試合数をこなし、手堅く、かつ大胆なチームに仕上がっている。唯一の懸念点はけが人の多さか。
 
注目選手 ギジェルモ・オチョア(クラブ・アメリカ)

“ギジェルモ・オチョア(クラブ・アメリカ)”

37歳の大ベテランはクラブではパッとしないが代表戦になると世界最高峰のGKに豹変する。
2014年に開催されたワールドカップでは、開催国ブラジルは何度もチャンスを作りながら、メキシコ代表を相手に1ゴールも奪えず。

そのブラジルの前に立ちはだかったのはメキシコの守護神オチョアだった。序盤から積極的にシュートを放つブラジル相手にビッグセーブを連発し、1度もゴールを割らせなかった。

大舞台で真価を発揮するお祭り男は今大会ではどんな活躍を見せてくれるのか。
世界中の期待が集まっている。


ポーランド

ポーランド代表には長年絶対的なエースがいる。
レヴァンドフスキ(バルセロナ)である。
しかし、日本と同組となった前回大会では日本との最終戦は制したものの、グループ最下位で敗退となった。

その借りを返すために、大会後からシュチェスニー(ユベントス)、ジエリニスキ(ナポリ)、キャッシュ(アストン・ヴィラ)らベテランと若手の融合を進め、スウェーデンをプレーオフ決勝で下して本選出場をつかみ取った。

名将パウロ・ソウザ監督のもと進化を続けてきたチームだが、パウロ・ソウザ監督がブラジルの名門フラメンゴに引き抜かれたことで今年1月にチェスワフ・ミフニェヴィチが新指揮官に就任。
新指揮官の下、ポーランドは強豪集うグループCを勝ち抜き、1986年以来のベスト16を狙う。

注目選手 レヴァンドフスキ(バルセロナ)

“レヴァンドフスキ(バルセロナ)”

長年所属したバイエルン・ミュンヘンでは、通算7度のブンデスリーガ得点王に輝き、20‐21シーズンではリーグ戦41得点で新記録を樹立した。
そして、今季から移籍したスペインの名門バルセロナでもさっそくエースとして君臨。

クラブでも代表でも試合の流れを無視して一人ですべてを変えてしまうほどの影響力を持ち、すべては彼次第。

その姿はまるでピッチ上の帝王。プレーオフ決勝でも決勝点を挙げ母国を本選出場に導いた。しかし、そんな彼も前回大会では三試合すべてにフル出場したもののノーゴール。

今大会では、自身のキャリア初のワールドカップでのゴールを決め、最強の鉾として母国をベスト16へ導けるか。

グループC 展望

グループCはアルゼンチン中心の展開が予想される。
圧倒的な戦力で今大会優勝候補筆頭にも挙げられる、アルゼンチンは1位突破が固い。

そのため、地力では劣るとされるサウジアラビアを除いた2チームが白熱の2位争いを繰り広げるだろう。
アルゼンチン、メキシコ、ポーランドにとってサウジアラビア戦で取りこぼさないことが重要である。

そんなグループⅭの注目試合は2試合。

1つ目が11月23日のメキシコvsポーランド。
順当にいけば、この試合で勝ったチームが決勝トーナメントに駒を進めると思われる。
それだけに立ち上がりからバチバチの試合展開となるかもしれない。

そして、2つ目がメッシとレヴァンドフスキの新旧バルセロナのエース対決となる、12月1日のポーランドvsアルゼンチン。
チーム力的にはアルゼンチンに分があるが、ポーランドは意地を見せられるか。

 
 
 

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