日本の車のデザインは何処へ
僕はミニという歴史あるイギリスの車に乗っているのですが、最近の日本車のデザインにガッカリしています。
ダイハツとトヨタのミニパクリの酷さには、毎日、道ですれ違う車を見て唖然としているのですが、日本の会社としてのプライドは無いのかな?なんて残念な気持ちにもなります。
今に始まった訳ではありませんが、日本メーカーが海外メーカーのデザインを模倣する流れは何時になったら終わるのでしょう?中国や韓国の事をパクリだ!なんて声高に仰る方々が多いですが、実は日本メーカーが行い続けているパクリも深刻です。
10年周期でデザインの流行は緩やかに変わるのですが、車に関してはフルモデルチェンジが4年位なので大きなデザイントレンドの流れは20年周期くらいでしょうか?70年代はメイン市場でもあり当時の憧れの国でもあったアメリカメーカーの模倣が多かったと感じています。
80年代は徐々に日本の道路環境や車の使い方などからプジョーなどの街乗りハッチバック系を模倣した車たちや、ユーロスポーツクーぺを模倣したデートカーなどが多かったと感じています。
90年代は良くも悪くも好景気の日本が摩訶不思議なデザインを連発した時期です。しかし、この時代であっても純日本というデザインは無く、ヨーロッパ車の模倣を繰り返していました。
2000年以降はボルボやBMWなどのユーロツーリングワゴンの模倣とメルセデスへの憧れを追いかけるラグジュアリーが主流だったように思います。
2010年以降デザインは、ほぼ完全にヨーロッパデザインの模倣となっている気がします。男性だとお気づきかと思いますがスーツのデザイントレンドと、ほぼ同じ流れだったりします。
2020年を迎える訳ですが、日本車のデザインは迷走を極めつつあります。かつてあったような海外有名工業デザイナーを迎えるような事はなくなり、社内デザイナーが奮闘しているようです。その結果、各社ウルトラマンや仮面ライダー、機動戦士ガンダム世代のデザイナーがエクステリアを担当している空気が濃厚で、現代の若者が車嫌いだったり、そんな車嫌いの若者たちが昔のヨーロッパ車のデザインが好きっていうのもわかる気がします。
安くて質が良い。が本質的な日本車の良さ
自国の車と比べて、ちょっと安くて案外良い、というのが海外の人々が感じる日本車の良さだった訳ですから、その部分を伸ばすべきなのですが、いつの頃からか追う立場から、終われる立場になり、自分たちのポジションが理解出来なくなった。自分たちではメインストリームの流行を作れなかった。リーダーを目指したが自国の自動車文化は歴史が浅く、結局は模倣するしか道は無かった。デザイン部門トップ達のセンスが時代と逆光しているので、頭を抱えた若いデザイナー達は海外に流出している。というのが結論な気がします。これから日本車のデザインは、どこへ向かうのでしょう?
余談ですが仲の良い知人が以前国内オーディオメーカーの携帯型オーディオのデザイン部門で働いていたのですが、上司たちのカラーセンスの古さは凄まじかったそうです。海外で流行しつつあったビビッドなカラーや迷彩、対照的な二色使い、あるいはソリッドなホワイトとシルバーの提案は、古いおじさん達には理解できずNGばかりを食らう毎日だったそうです。Goサインが出るのは無難なシルバー、レッド、ブルーなど見飽きたものばかり。変革よりも安定を求めたのでしょう。売れないと責任を取らされますから、過去確実に売れていた色やデザインに固執するのが手堅いと考えたのでしょう。が、結果的に海外勢に木っ端微塵にやられたのです。
デザイン面では当時始まったPL法などの関係もあり鋭角的なデザインは全てNGだったそうで、事なかれ主義の日本メーカーが崩壊したのは当然の事だったのです。
スマホやタブレットなど次世代デバイスを受け入れるべき
もはや日常的なデバイスとなったスマホやタブレットなどを、車はデザインの一部として受け入れるべき時代に突入していると感じています。日本メーカーがもっとも弱いジャンルですが、ここにいち早く対応する事が世界的な成功になると思います。不恰好な社外のアームなんかを装着しなくても綺麗にスマートにインパネ周りに取り入れるデザインが必要でしょう。ドライブレコーダーなども自動車メーカーが綺麗にマウントすべきだと感じています。今となっては笑えますが車にジュースホルダーすら無かった時代があったのです。いい加減自動車メーカーはスマホなどのデバイスをインテリアデザインの中に受け入れるべきなのです。カーオーディオメーカーも早くからスマホに降参していれば、今のような惨状にはなっていなかったでしょう。
テールランプ
現在の国産車のテールランプはデザインが堪らなくカッコ悪いのです。トヨタのプリウスなどは、あまりにもデザインが不評でマイナーチェンジの時は大変だったそうです。コスト面での戦いもある訳ですが最近のLEDタイプのテールランプのデザインの酷さは絶句するレベルの物が多いです。大まかな車のデザインはヨーロッパ車を模倣するのですが、テールランプなどで個性を出そうとして大失敗しているのが国産の現状でしょうか?個人的にはテールランプこそヨーロッパ車を真似して上品なデザインにすべきと思って見ています。
ウインカー
ウインカー周りのデザインも遅々として進化しない部分でもあります。発光パターンなどを工夫したアウディなどのデザインが視覚的にも効果的で良いと思うのですが、こういった部分の真似が日本車で出来ないのはコスト的な問題なのでしょうね。
足回り
足回りに関しては徐々に硬くなってきているように感じます。大昔の日本車にありがちだった、お座敷にタイヤが付いて走っているようなフワフワ感はなくなりつつあるような印象です。走りに関してはドイツ車を模倣している点が評価できる部分ではあります。ドライビングフィールもデザインの一つとして考えると、やはり模倣なのでしょうね。というよりも国内販売台数よりも海外販売台数の方が圧倒的に多いので、こういった流れは当然なのでしょう。しかし、そう考えると海外で人気を得るためには、ちょっと物足りないのも事実だったりします。
日本デザイン、その原点
日本人の良さって単純に真似する事ではなくて、その中に使う人への心配りとか、ちょっと粋な何かがあったのが良かったと思うのですが、最近はコスト面とか合理性の追求をしすぎているのがよく無いんじゃないのかな?って思います。独特な日本文化の世界観の提示と、世界の流れは必ずしも一致しないのですが、そこに挑戦する事が大事だと思います。
模倣でもいい、粋な日本流アレンジのデザインを今こそ見たい。小手先のデザインは見たくないんです。
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