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kojikoji 127 _ STUDIO75覚書 vol1


2020年1月22日。
kojikojiのEP『127』がリリース。

ネットメディアやミュージックショップの大プッシュは当然として、それ以前からの既に彼女のファンや彼女自身のインスタグラムやユーチューブの多くのフォロワーにとってはまさに待望、歓喜の初リリース。

それをちょっと遠くから眺めながら
ただただ息を大きく吸って吐いて
仕事をやりとげた満足感と安堵で
良かった良かったと胸なでおろすばかりです。


このkojikoji『127』の「こちら側」から見た制作覚書を忘れないうちに書いておこうと思います。

そして、それはBASIくんとの共同作業の記録でもある。

そうするとBASIくんとの「出会い」から話さなければならない?
長くなるよ?

最初からだと。

Brain』,『Pass The Mic』,『DESIGN』,『Voiceration』,『Mellow』,etc…。



んん…。

BASIくんと我々との話はまた別の機会に書こう。
とにかく、ここでは2019年5月からの事を書きます。


5月某日BASIくんからTwitterのDMがくる。
「今東京に居るのでまた渋谷でお茶しませんか?」
「オッケー」

ここ数年、半年に一度の割合で
こんな風にBASIくんからお茶のお誘いがある。

BASIくんがライヴやらナンヤカンヤの東京滞在期間中。
たいがいお昼正午すぎくらい。
渋谷の喫茶店で会う。
会ってお互いの近況報告や、最近聴いている音楽の事、日々のすごし方…。
など、まあまあ、たわいもないことについてお喋りする。


でもこの日に限っては、なんだか、ぎこちない。
探り探り話をしてくる感じがする。
ナンカ変だよ、BASIくん…。
会って話始めてから30分くらい経った頃。

「…アズマさん、お願いがあるのですが…。」
「(キターッ、なにかわからないけどキターッ)うん?」
「これ観てください(iPhoneでインスタグラムを開く)」
「うん?」
「こじこじって知ってます?」
「コジコジ…知らない」
kojikojiっていうんですけど、シンガーで、インスタグラムで、カバーで、ウンタラカンタラ…」
「ほ〜」
「去年の年末に初めて観て、とても気に入って、そして僕の曲もカバーしてて、ウンタラカンタラウンタラカンタラ…」
「ほ〜ほ〜ほ〜」
「これからオリジナルを作ってリリースしようと」
「ほ〜ほ〜ほ〜ほ〜」
「それでアズマさんに制作をお願いしたいのですが…。」
「やりま〜す」


というわけで
ここからkojikojiさんの制作が始まりました。

まずはkojikojiさんのインスタグラムをざざざっと遡って観てみた。

うん、まず知ってる曲が「オーシャンゼリーゼ」くらいしかない…
…それと、BASIくんの曲しか。


でもBASIくんが
そして多くの人が
kojikojiさんを好きになるポイントはよくわかった。

カバーではあるが、「コピー」ではない。
曲に「kojikoji」のオリジナルな感触がある。
そこには嫌味がない。
歌声が
ただどこかへ飛び出したいという感情の現れではなく
ちゃんと「着地」した表現として存在している。
つまり個性がある。
個性がなさそうで、実はものすごくある。


BASIくんと会ってから数日後に『for you』のデモが送られてきた。


歌とギター。
それぞれ別のトラックになっていた。
プロツールスを立ち上げて
さあどこから手をつけようか?

とりあえずリズムを決めよう。
歌、ギターに合わせて3つぐらいドラム&パターンを作る。
その「ドラムだけ」をBASIくんに送って聴いてもらう。

「BASIくん、どのドラムが好きですか?」
「これが良いですね〜」
「オッケー」

以後、全てこのようにやりとりをしながら作業を進めていった。

ある程度作る。
それを聴いてもらう。
複数方向性があるときはどれが良いか決めてもらう。
なにか変更点があればその都度やりとりする。

東京と大阪で離れてはいるが、密な連携が取れていた。
LINEって素晴らしい。
Google Driveって素晴らしい。

『for you』に関して
最初からBASIくんからkojikojiさんのギターはあくまでガイドなので
使わなくても良いと言われていた。
よって2つ作る。

元のギターを生かしたパターン。

ギターを使わずコードの動きを作り変えたパターン。

ワンコーラス分作ったところでBASIくんに聴いてもらう。

「BASIくん、どっちが良いかな?」
「ちょっと1日考えさせてください…」
「どうぞ〜」
翌朝。
「ギターを使わずコードを変えた方でっ」
「オッケー」

『for you』に対する僕のイメージは「静寂」だった。

夜に部屋の窓を開けて
外の気配を感じている。
そんな場面を想像していた。

その「静けさ」を壊さないように慎重に音を重ねていく。
トゥーマッチな感じは避けたい。


5月が終わる頃にはリリースの仕方がおおよそ決まる。
僕は
音の制作
ミックス
そしてマスタリング
までを担当する事になった。


6月になったら2曲目のデータが送られてくる。

『星を見上げる』


BASIくんのアルバム”切愛”に入っている曲。


それのカバーだ。

kojikojiさんから送られてきたギターとボーカルのデモには
既にkojikojiさん自身のコードアレンジがなされていた。
なのでコードの動きはそれにのっとって作ることに。

この曲でイメージしたのは「線」。
あとは「切れ味の良さ」。
kojikojiさんがクルマでひとり高速道路を走っている様子を想像した。
…。
…と、この時点ではkojikojiさんと会ったことなかったが…。
それどころか彼女のインスタグラムにも
どこにも
顔は写っていない。

「線」のイメージでビートを作っていった。
「線」は最初「直線」だったが
元々の曲の持つ跳ね要素は不可欠で
徐々に蛇行をみせ揺れを持ち始めた。

基本はピッチダウンしたギターのロングトーン

カリンバの組む合わせだった。
そこにたくさんの音を重ねていく。
サンプルとシンセのレイヤーを繰り返して
後から削っていく作り方。

冷たい氷を削っていく感覚だった。

元のBASIくんの『星を見上げる』とは違ってシリアス感がある。
だからどうだろ…とも思ったがすんなり決まる。

構成はBASIくんのディレクションで何度か変更した。

以上
BASIくんとのミーティング
から
『for you』『星を見上げる』の制作まででした。

『ほろよい』『いつかのDAYS』制作。
そして
大阪でのレコーディング
kojikojiさんと初対面
ミックスダウン&マスタリング

続きます。


では、次回のstudio75 プロデュース ワーク noteでまた。

Small Circle of Friends
Studio75
アズマリキ


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