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こちら側から見たマコマレッツ _ STUDIO75 覚書

2019年の年末からお知らせし、書こうと思っていた『こちら側から見たマコマレッツ』制作note。先延ばしにしたまま2020年になり、三枚のアルバムの集大成となるワンマンライヴも3月27日にひかえ、いよいよ書くときが来た。今。

当初は3rd『Circles』の曲解説をしようと思っていたけれど、それはそれでなかなか難しい(書くことがあまりない)。そこで1st『Orang.Pendek』、2nd『KINŌ』を含め、彼のアルバム、デビューから3枚分のプロデュースワークとして書いていこうと思います。

加えて、内容的に重複すると思う「CDJournal」のインタヴューも合わせてどうぞ。



マコマレッツの事は昔から知っていたし、彼が東京に出てきてからもアーティスト名「bua(ぶあ)」としてコンスタントにライヴをしたりパーティーを主催したりしていて、度々足を運んでは顔を合わせていました。それゆえに、正確な年月をカウントするのが難しい。

一番最初に制作の接点を持ったのが、SCOF/STUDIO75のBandcampシリーズRapLaunch_vol1 収録の『bUA_nATSU(nO)nOKORIGArEMIX』。

buaがサウンドクラウドにアップしていた自身の曲『Natsu(No)Nokoriga』のアカペラをもらってリミックスした曲。これが2013年9月リリース。ということは彼が東京に出てきて半年ぐらいの頃。

少しだけ声に張りがあるけど、ラップの感触、スタイルは今と同じように聴こえる。言葉の選び方が違うのを感じます。

そこから2016年6月リリースの1st『Orang.Pendek』まで一緒に何か制作する事はありませんでした。ただ彼が企画する渋谷OTOのイベントに何度か遊びに行ったり、そのOTOのアニバーサリーのライヴ出演が同じ日だったりしていたので、活動の様子は窺い知れた。

ある日、渋谷宇田川町のフレッシュネスバーガーにてマコマレッツ(当時はbua)から現状報告を受けていた。そこでその当時途中まで進行していたビートメイカーとのアルバム制作が頓挫した事。20才までにアルバムを出したいという事(こだわり)。ひいてはSCOF/STUDIO75が作るトラックでアルバムを作りたい事。と、そういう話をした記憶があります。

そしてその日は渋谷オルガンバーのアニバーサリーの日。ということは、2015年の11月だったのかな?

とにかくこれらの話を承諾し、まずは彼にビートを送ります。おそらく50個くらいだったか。そして、STUDIO75 Bandcampシリーズ「LoopLaunch」のビートも送った。

そこからbua(まだマコマレッツじゃない)は9個を選び、レコーディングは始まりました。といってもスタジオでボーカル録音したのは2曲。7曲は自宅で彼自身が録音したもの。そのデータはところどころデジタルノイズが入るちょっと危ういクオリティーのテイクだったが、結局はそれを採用。当時は、とにかく完成させるのが目的でリリースする事まで考えていなかったんだと思う。

当時、彼が使っていたソフトは”Audacity”。いわゆるDAWではない。自宅でラップをのせる為にビートを長くしたかったけれど、そのソフトにグリッドは存在しない。結果、後からボーカルとトラックをミックスするために一番良いポイントを探してトラックの方を動かさなければならなかった。

「デジタルノイズ消しとタイミング探し。」1st『Orang.Pendek』の強い思い出はこの2つ。


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1st AL『Orang.Pendek』

それでは、1曲ずつ簡単に解説をします。

Room 203
この曲はスタジオでボーカル録音をした(はず)。「ふうっふ~ふぁ」の鼻歌コーラスの処理が決まれば完成したも同然。ライヴで歌われることはなく、初期のライヴでSEとして使っているのを見たが、SEにしてはちょっと長い。

S.N.S.
元はBandcampシリーズ”LoopLaunch_vol8”収録のビート。しかしそのもっと前、とあるレーベルから7インチレコードで出る予定だったトラック。キャッチーだと思うが、今のマコマレッツテイストとはちょっと違う。

Leakage
スクラッチを入れたいという要望で、DJ Panchiに依頼する。パンチくんのスクラッチの構成力、切れ、そして何よりデータの美しさに感動しました。性格出てるなぁ。

crunchy leaves
Bandcampシリーズ”LoopLaunch_vol9”に収録されているビート。 

 おそらく『Orang.Pendek』で一番人気のある曲。わかりやすくマコマレッツテイスト。前述の”ポイント探し”で一番大変だった曲。イントロのシンセアルペジオは最後の最後に入れた。

sutekina
CDJournalのインタヴューでも話をした「マコマレッツのリズムの取り方」について良くわかる(ワタシ調べ)曲。一音。一言。母音に到達するまでの助走が長い。それは呼吸運動の場合もあるし、意図して息を出している時もある。と、ワタシが思っているだけかもしれない。でも、それゆえ、シビランスの扱いをミックスで悩むことが多い。

Peppermint
デジタルノイズに限らず、リップノイズ、マウスクリックの除去。これは自分たち「Small Circle of Friends」のレコーディングでも昔っから頭悩ませていて、気にしなきゃ良いとも思うけど、気にしちゃったんだからしょうがない。やるしかないのです。で、いろんなソフトも試した結果、プロツールスのペンシルツールでひとつずつ消すのが最適なような気がする。時間は掛かるけどね。

under the bed
レコーディング、ミックス、どんな時にも歌詞を見て作業することはなく、歌、言葉をTONEとして聴いているので、完成品を歌詞カード見ながら聴いていると「あぁこんなこと言って(歌って)いたんだ」と思うことがよくあります。マコマレッツの場合、100パーセントそう。

XL
あらためてこうやって聴いていくと、今のマコマレッツとちょっと違うんだなと思ってしまう。歌詞の面でも内容が”ちゃんと年齢分”若い。気がする。この曲も初期の人気曲(と思っている)。ちょっとクールで疾走感のある曲がみんな好き。歌詞の「古本屋」がライヴでは「ブックストア」に変わっていた。なぜ?

Daybreak
この歌もスタジオで録音した曲。こうして他の自宅録音曲と聴き比べるとやはり違うな。良い悪いじゃないけど。ミックスしやすい音。最近の短いライヴセットだと、1stアルバムの曲は外れることは多いが、比較的この曲は演っているようだ。

be home
記憶が曖昧だがアルバムが完成して「さあいろんなレーベルに送ってみよう」とした時には、ボーカル曲9曲のみだったのではないか。その後Rallye Label でのリリースが決まった後このアウトロを作ったような気がする..。『be home』のテーマを決めてマコマレッツの自宅の”音”を録ってきて、トラックにレイヤーさせた。ほとんど洗濯機が回る音だった。最初の提案したトラックは採用されなかった。理由はサックスの音がイマイチ。というものだった。「いや僕中学生の時、ブラスバンドでサックスやってて..。」
ふ~ん。


とにかく作った後、それほど経たないうちにRallye Labelからリリースが決まったのはラッキーだったと思う。そしてもうひとつラッキーだったのはレーベルからアーティスト名を変えることを提案され、『MACO MARETS』が生まれたこと。名前の響きはだいじ。

『Orang.Pendek』は「bua」として作っている。その時の周りの環境。年齢。キャリア。いろんな要因が重なってうまれた作品である。この時でしか作れない、そして作らなかったであろうアルバムになっている。


以上、1st『Orang.Pendek』についてざっくりとした、でもちょっとした覚書です。思い出し、思いついたらまたいつか。


それでは、2nd AL “KINŌ”編へつづく...。



Small Circle of Friends
Studio75
アズマリキ

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Small Circle of Friends pres STUDIO75
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