🌎アースデイ🌎今、世界に2頭しかいない動物の話
地球温暖化、森林伐採、外来種など
あらゆる人為的要因が、地球上の動植物を絶滅あるいは絶滅の危機に陥れています。
絶滅のペースを時系列で見ると、
2億年前(恐竜時代)・・・1000年に1種類
200-300年前・・・・・・・4年に1種類
100年前・・・・・・・・・1年に1種類
1975年時点 ・・・・・・・1年に100種類
現在 ・・・・・・・・・・1年に4万種以上
となっており、このペースは早まりつつあります。
今回はアースデイにちなんで、世界で残り2頭となり、近々絶滅が確定してしまうかもしれない動物を紹介します。
「キタシロサイ (northern white rhinoceros)」
って知っていますか?
キタシロサイは、アフリカ南東部に分布するサイの一種です。
仲間のミナミシロサイなら、日本でもいくつかのサファリパークや動物園で観れるので、是非。
シロサイは大人しい性格ですが、陸上の哺乳類の中では像に次ぐ重量で、時速50kmで走ることもできるので、自然界で襲われることはほとんどありません。
そんな好条件だったキタシロサイが、なぜここまで減ってしまったのか。
原因は、密猟と内戦です。
まず、密猟から。
サイの角を巡り、世界各地から密猟目的で生息地を訪ねる人が多くいます。
アジアでは漢方薬のため、
ヨーロッパでは長寿のため、
中東では装飾品として使うため
科学者の多くは薬剤としての効果を否定しています。
次に、内戦。
かつてキタシロサイの貴重な生息地域の1つであった、コンゴ民主共和国北東部のガランバ国立公園では、密猟により15頭まで減少したキタシロサイの保護活動を行っていました。
しかし、民族対立や天然資源獲得競争などの理由から発生した内戦により、公園の環境も悪化し、保護活動が頓挫してしまいました。
そして、2008年、野生のキタシロサイは絶滅が確認されました。
今、地球上に存在するたった2頭のキタシロサイは、ケニアのオルペジェタ自然保護区で暮らしています。
1頭は「ナジン」という名で今年33歳、
もう1頭は「ファトゥ」という名で今年23歳、
性別は共にメス。
最後のオスは2018年に亡くなってしまいましたが、採取した精子を使い、現存するメスへ人工授精を行う繁殖プロジェクトが行われています。
ナジンは繁殖可能年齢を過ぎているため、頼みはファトゥのみであり、
シロサイの出産は1回に1子という厳しい条件ですが、
飼育下でのシロサイの寿命は40~50年なので、
20~30年後にキタシロサイが完全に絶滅してしまわないよう、
プロジェクトの成功を祈るばかりです。
最後に、今回キタシロサイのことを書いた経緯について。
きっかけは、私が購読しているナショナルジオグラフィックの記事に、キタシロサイのトピックを見つけたことです。
そこで一緒に載っていた、写真家のエイミー・ビターリ(Ami Votale)氏が撮影した写真に心を打たれ、
偶然にも昨日がアースデイだったので、加速度的な動植物の絶滅問題と合わせてこの記事を書きました。
下のリンクは、2018年に亡くなったキタシロサイ最後のオス「スーダン」と、レンジャーの男性が写っている写真です。
超大型動物と人間が寄り添う姿は、全くアンバランスなことはなく、2つの生物間に絆や愛のようなものを感じます。