大学教員の実態:呼び方編
テレビのドラマを見ていると,大学教員が登場すると「◯◯教授!」と呼ばれていることが多いのだが,実際のところそのように呼ばれることは皆無に近い。
ときどき学生が「◯◯教授」とメールやコメントに書いていることはある。この場合,職位が非常勤講師であろうが,助教,講師,准教授であろうが,おかまいなしに「教授」扱いしてくれることが一般的である。
学生や大学以外の人にとって職位などどうでもよく,大学で教えている人はみんな「教授」なのだろう。
教授というのはあくまでも職位を指す言葉であって,敬称ではない。しかし,そのように区別することをいちいち考えることは少ないだろう。「先生」と呼ぶ感覚で教授と呼んでいることも多いだろう。
もちろん,教員同士でも職位で呼び合うことなど皆無である。たいがいは,◯◯先生や◯◯さんである。
さて,ここからがややこしいのだが,教員を「先生」と呼ぶのか「さん」で呼ぶのか問題というのが実はある。
教員によっては「私はあなたの先生ではないから先生と呼ばないで欲しい」という人もいるし,私もそのように言われたことがある。また,そのようなタイプの人は学生にも先生と呼ばせずにさん付けで呼ぶように指導していることもある。
学生にもさんづけで呼ばせるには,何らかの理由やその人なりの哲学があるようだ。どこかでその理由を聞いたことがあるように思うが,興味がなかったので覚えていない。
ちなみに私は「さん」で呼ぶように同僚から依頼されたとき,呼び方なんて記号みたいなものだし,教員によって呼び方を変えるのがいちいち面倒なので先生で呼ばせていただく,といって納得していただいたことはある。
いっぽうで,「先生」と呼ばれたい人もいるからややこしい。同じ学内に「さん」で呼ばれたい派と「先生」で呼ばれたい派が共存しているので面倒なのである。そして,その元で指導を受けている学生は「先生」または「さん」で呼ぶように言われているので,「先生」と呼ばれたい教員に「さん」と言おうものなら面倒なことになる(その逆もまたしかりである)。特に教員を「さん」で呼ぶよう指導されている学生が学外の医療や教育系の実習などに行って普段通り「さん」で指導者を呼ぶと驚かれてしまうこともある。これでクレームが出たということも聞いたことがある。学生は指導通りにやっていたものだから,かわいそうなものである。
小学校に入る前から,教える立場の人には「先生」と呼ぶように言われているので仕方ないのかもしれない。しかし,最近では男の子でも「くん」と呼ばずに「さん」と呼ぶようにしている学校も増えてきている。いっそのこと子どものころから「先生」と呼ぶのをやめてみてもいいのではないかと思う今日このごろである。
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