見出し画像

捕食者の脅威が卵の孵化能力を進化させた!トリニダードのキリーフィッシュ

トリニダード島に生息するキリーフィッシュの一種は捕食者の存在が卵の孵化戦略に驚くべき進化をもたらしたことを示しています。テキサス大学アーリントン校の研究チームが、捕食者の多い環境に生息するキリーフィッシュは陸上に産み付けられた卵がより早く孵化するように進化したことを発見しました。

トリニダードの河川において、このキリーフィッシュは捕食者の多い環境(HP)と捕食者のいない環境(KO)の両方に生息しています。HP 環境では、大型魚がキリーフィッシュを捕食するために彼らは浅瀬や一時的な水たまりなど、より危険だが捕食されにくい場所に卵を産むことを余儀なくされます。

研究チームはHP 環境と KO 環境のキリーフィッシュを採取し、実験室で飼育しました。そして、両方の環境のキリーフィッシュから産まれた卵を湿らせたピートモスの上(陸上環境を模倣)と水中に分けて飼育し、孵化までの日数を比較しました。

その結果、水中で飼育した場合はHP 環境と KO 環境のキリーフィッシュの卵の孵化時期に大きな差は見られませんでした。しかし、ピートモス上で飼育した場合、HP 環境のキリーフィッシュの卵はKO 環境の卵よりも有意に早く孵化することが明らかになりました。

これは、捕食圧がキリーフィッシュの卵の孵化時期に関する表現型可塑性に影響を与え、その進化を促したことを示しています。HP 環境のキリーフィッシュは捕食者から逃れるため、水位の変化を受けやすい場所に卵を産むことを余儀なくされます。そのため、彼らの卵は乾燥のリスクにさらされる機会が増加し、乾燥に耐え、生き残るために卵がより早く孵化する能力が有利に働いたと考えられます。

一方、KO 環境では捕食圧が低いため、キリーフィッシュは水深の深い安全な場所に卵を産むことができます。そのため、卵が乾燥するリスクは低く、孵化を早める必要性も低かったと考えられます。

引用元

タイトル:Fish (eggs) out of water: evolutionary divergence in terrestrial embryonic plasticity in Trinidadian killifish
URL:https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rspb.2024.0083
著者:Matthew R. Walsh and Christopher Roden

いいなと思ったら応援しよう!