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肉食動物の行動、季節の資源量の変化に反応


ミシガン州における複数種の肉食動物の研究で、獲物の季節的変化に対する複雑な反応が明らかに

ミシガン州アッパー半島で行われた最新の研究によると、アメリカクロクマ、ボブキャット、コヨーテ、オオカミといった肉食動物は、季節の変化に伴う資源、特にオジロジカの子鹿の生息数の変化に、それぞれ異なる行動の変化を見せることが明らかになりました。

この研究は、2009年から2011年にかけて、ミシガン州立大学とミシガン州天然資源局の研究者チームによって実施されました。彼らは、オジロジカの子鹿の誕生時期に合わせて、5月から8月までの期間における、これらの肉食動物の行動をGPS追跡によって綿密に調査しました。

その結果、驚くべきことに、すべての肉食動物が子鹿の増加に積極的に反応したわけではありませんでした。一般的に子鹿を捕食すると思われているアメリカクロクマは、子鹿の生息域を避ける傾向が見られ、代わりに植物の豊富な地域を好みました。これは、春から初夏にかけて、草やベリーといった栄養価の高い植物が豊富に存在するためだと考えられます。

一方、ボブキャットは、子鹿の増加に明確に反応を示しました。子鹿の生息域を積極的に利用し、子鹿がより脆弱な時期には、その傾向がさらに顕著になりました。これは、ボブキャットが日和見的な捕食者であり、最も捕獲しやすい獲物を狙うためだと考えられます。

コヨーテは、子鹿の生息域に対して明確な選好を示しませんでした。これは、コヨーテが多様な食性を持つジェネラリストであり、小型哺乳類や鳥類など、他の獲物を豊富に利用できるためだと考えられます。

オオカミは、子鹿やコヨーテの生息域を避ける傾向を示しました。これは、オオカミが主に成体のオジロジカを獲物とするため、子鹿を積極的に狙わないこと、そして、競合関係にあるコヨーテとの遭遇を避けるためだと考えられます。

興味深いことに、コヨーテはオオカミの生息域を避ける行動が見られました。これは、より強い競争相手であるオオカミとの争いを避けるためだと考えられます。

引用元

タイトル:Carnivore space use shifts in response to seasonal resource availability
URL:https://esajournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ecs2.2817
著者:Nathan J. Svoboda, Jerrold L. Belant, Dean E. Beyer, Jared F. Duquette, Patrick E. Lederle

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