機械学習を用いた原子核の質量予測が、重元素の起源解明に貢献
ロスアラモス国立研究所の科学者たちは、機械学習アルゴリズム(人工知能の応用)を使用して、すべての原子核の質量を成功裏にモデル化しました。この研究は、中性子星の衝突によって生成される極端な環境下での重元素の生成過程である、r過程(急速中性子捕獲過程)のシミュレーションに役立つと期待されています。
理論物理学者のマシュー・マンパワー氏は、「自然界には、まだ測定されていない何千もの原子核が存在する可能性がある」と述べています。機械学習アルゴリズムは非常に強力で、データ内の複雑な相関関係を見つけ出すことができます。これらの相関関係は、科学者に「欠けている物理学」に関する情報を提供し、現代の原子核質量モデルを強化するために使用できます。
研究チームは、原子質量評価(Atomic Mass Evaluation)と呼ばれる大規模なデータベースからランダムに選択することで、物理学に基づいた機械学習モデルを訓練しました。次に、予測された質量を使用してr過程をシミュレートしました。このモデルにより、研究チームは機械学習で予測された質量を用いて初めてr過程の元素合成をシミュレートすることができました。
マンパワー氏は、「機械学習による原子質量の予測は、実験データがない領域での予測への扉を開くことができることを示しました」と述べています。「重要なのは、モデルに物理法則に従うように指示することです。そうすることで、物理学に基づいた外挿が可能になります。」
この研究は、新しい希少同位体ビーム施設(Facility for Rare Isotope Beams)での最初の実験キャンペーンのいくつかを動機付けており、未知の原子核の領域を拡大し、重元素の起源を解明することを目指しています。
DOE/Los Alamos National Laboratory. "AI for astrophysics: Algorithms help chart the origins of heavy elements." ScienceDaily. ScienceDaily, 13 March 2024. <www.sciencedaily.com/releases/2024/03/240313185104.htm>.