見出し画像

アマゾンの熱帯雨林で発見された鮮やかな体色を持つ新しいカマキリ

鮮やかな赤と黒の体色を持ち、ハチに擬態する新種のカマキリがアマゾンの熱帯雨林で発見されました。この発見はカマキリにおける擬態の進化を理解する上で重要な手がかりとなる可能性があります。

2013年、ペルー北部のマドレ・セルバ生物学研究基地で金属ハロゲン化物ランプを使った夜間調査が行われました。その結果、鮮やかな赤と黒の模様を持つこれまで知られていなかったカマキリが発見されました。

このカマキリは体長約12mmと小型で、頭部、胸部、腹部の一部が鮮やかな赤色をしており、黒い斑点が見られます。脚はオレンジ色で腹部後部は黒くなっています。このような鮮やかな体色はカマキリ類では非常に珍しいものです。

研究者たちはこのカマキリが新種であることを確認し、「ベスパマントイダ・ワーリー」と名付けました。属名である「ベスパマントイダ」はラテン語で「ハチ」を意味する「vespa」と、カマキリの一種である「Mantoida」を組み合わせたもので、このカマキリがハチに酷似していることを表しています。種小名の「ワーリー」はクリーブランド自然史博物館のシステム昆虫学グループのメンバーであるリック・ワーリー氏にちなんで名付けられました。

ベスパマントイダ・ワーリーはその体色だけでなく、行動もハチに似ています。例えば、短い距離を断続的に移動したり、腹部を上下に動かしたりする様子はハチの動きとよく似ています。

研究者たちは、ベスパマントイダ・ワーリーがハチに擬態することで捕食者から身を守っていると考えています。鮮やかな体色は捕食者にとって警告色として機能し、攻撃をためらわせる効果があるようです。

カマキリは一般的に周囲の環境に溶け込むことで捕食者から身を守るため、緑色や茶色などの地味な体色をしていることが多いです。しかし、今回の発見は、カマキリが鮮やかな体色と行動の擬態を組み合わせることでより効果的に捕食者を欺くことができることを示しています。

ベスパマントイダ・ワーリーはフランス領ギアナに生息する近縁種ベスパマントイダ・トゥルゴーティと共に、カマキリ科の中で新たに設立されたベスパマントイダ属に分類されました。ベスパマントイダ属は前脚の形態やオスの交尾器の構造など、他のカマキリ科とは異なる特徴を持っています。

引用元

タイトル:A novel form of wasp mimicry in a new species of praying mantis from the Amazon rainforest, Vespamantoida wherleyi gen. nov. sp. nov. (Mantodea, Mantoididae)
URL:https://peerj.com/articles/7886/#
著者:Gavin J. Svenson, Henrique M. Rodrigues


いいなと思ったら応援しよう!