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分析化学の話(2) - 平均値と標準偏差

平均値と標準偏差の復習をします。


1.平均値と標準偏差

$${N}$$個のデータの平均値を$${\bar{x}}$$[1]、標準偏差を$${s}$$とする:

$$
\bar{x} = \dfrac{x_1 + x_2 + \cdots + x_N}{N} \quad \quad \quad \quad \quad \quad \quad \quad \quad \quad \quad \quad \quad (1)
$$

$$
s = \sqrt {\dfrac{(x_1 - \bar{x})^2 + (x_2 - \bar{x})^2 + \cdots + (x_N - \bar{x})^2}{N-1}} \quad \quad \quad \quad (2)
$$

2.例題


図1で与えられたデータの平均値と標準偏差を求めよ。

図1 5回繰り返し測定の結果

【解答】

$$
平均値(\bar{x}) = \dfrac{115.1 + 100.1 + 102.6 + 112.0 + 111.6}{5} = \dfrac{541.4}{5} = \boldsymbol {108.28}
$$

$$
標準偏差(s) = \sqrt {\dfrac{(115.1 - 108.28)^2 + (100.1 - 108.28)^2 +  (102.6 - 108.28)^2 + (112.0 - 108.28)^2 + (111.6 - 108.28)^2 }{5-1}} \\ = \sqrt {\dfrac{6.82^2 + (-8.18)^2 +  (-5.68)^2 + (3.72)^2 + (3.32)^2 }{4}} \\ = \sqrt {\dfrac{170.548}{4}} = \sqrt{42.637} = \boldsymbol{6.5} \cdots
$$

図2 点線は平均値。薄い半透明の部分が、平均値(108.3)±標準偏差(6.5)の範囲。この範囲からはみ出すデータもあります(2回目の測定値)。

【補足1】
標準偏差の有効桁数は通常2桁から4桁のようです。計算の途中では、桁落ちしないように、桁数を少し多く取ります。

【補足2】
同じ平均値でも、データがばらつけばばらつくほど、標準偏差が大きくなります(図3)。逆に標準偏差が大きいとデータのばらつきが大きいとわかります。

図3 (左)図2の再掲、標準偏差=6.5(右)標準偏差=19。左図よりデータがばらついています。その結果、標準偏差が大きくなっています。点線と半透明の範囲は、それぞれ平均値と平均値±標準偏差の範囲です。

【補足3】
表計算ソフトMicrosoft Excel® [2]を用いれば、平均値はaverage関数で、標準偏差はstdev関数で計算できます。たとえば上記の例だと、下図のようになります:

図4 Excelで標準偏差を求めた例

文献とNote

[1] 平均値を$${\langle x \rangle}$$と表すこともあります。
[2] MicrosoftおよびExcelは、米国Microsoft Corporationの、米国およびその他の国における登録商標または商標です。




【免責事項】本記事は単なるメモとして書かれたもので、その正確性を必ずしも保証するものではありません。本記事によって生じたトラブル、損失、又は損害に対して一切責任を負いません。また、著者が所属する組織とは関係ありません。誤りがあればご指摘ください。クレームはご遠慮ください。



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