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医工学研究科ってどんなとこ?(1)

こんにちは。東北大学 サイエンス・エンジェルのさきです。
今日は私の所属する医工学研究科についてご紹介したいと思います♪
今回は前編です。(後編はこちらからどうぞ!)

大学院って?

みなさんは「大学院」ってどんなところかご存知でしょうか?大学は大まかに以下のような形になっています。

1. 一般的に「大学」と言われる学部:4年制または6年制で、卒業すると「学士」という学位を得る
2. 博士前期課程(または修士課程):大学院の前半。一般的に2年制で、修了すると「修士」という学位を得る
3. 博士後期課程(または博士課程):大学院の後半。一般的に3年制で、博士論文等が認められると「博士」という学位を得る

上の2と3にあたる東北大学大学院は、〇〇研究科と呼ばれる15の研究科に分かれています。医工学研究科はこの研究科の中の一つです。
工学部と工学研究科、農学部と農学研究科というように、普通 研究科は直属の学部を持っています。しかし理系の研究科の中で「生命科学研究科」「情報科学研究科」「環境科学研究科」「医工学研究科」の4つの研究科は、直属の学部を持っていません。(これらの研究科には、さまざまな学部の人たちが集まってきます)
そのため今回の特集では、学部紹介とは別に4つの研究科についての紹介もお届けすることにしました…!
今回はその第1弾として、医工学研究科についての紹介をお届けします。

医工学研究科_建物外観

医工学って?

医工学というのは、その字が表している通り、「医学」と「工学」の融合分野のことです。
医工学研究科のパンフレットでは以下のように紹介されています。

医工学は、医学・生物学と工学をつなぐとともに、これらの異なる領域を深く融合させることによって革新的な医学と工学の発展を目指す学問分野です。単なる2つの領域の知識の吸収や2つ分野の協力ではなし得ないことを目指す学問分野であると言えます。

でも、なんで融合する必要があるのでしょうか?

みなさんが病院に行った時に目にする医療機器を思い浮かべてみてください。例えば、レントゲンやMRIなどの医療機器は、ただカメラのように画像を撮れれば良い、というものではありませんよね。お医者さんが人の身体を診るために役立つ画像を撮れなければいけないし、何より人間の身体にとって安全なものでなければいけません。コンタクトレンズや血圧計も同じです。このように、医療機器は 工学(物理) だけでなく 生物学や医学など、いろいろな観点から考えながらつくる必要があります。
また「こういう医療機器が良いな」という医療側のニーズ(需要)と、「こういう技術は何かに使えるんじゃないか」という工学側のシーズ(供給)をマッチングさせるというのも重要なポイントです。そのためには、医者と技術者の橋渡しが必要になります。工学の専門家だけでは医療機器はつくれないし、医学の専門家だけでも医療機器はつくれないんですね。だからこそ医学の専門家と工学の専門家は力を合わせる必要があります。

医工連携による恩恵は、医療機器だけにとどまりません。
人間は生物を模倣することによってさまざまな技術を得てきました(バイオミメティクスといいます)。人間はたくさんのことを生物から学んできたんですね。また、生き物と同じような機能や動きを "機械"で再現しようとすることで、生き物についての新しい発見を得ることも多くあります。

このようにお互いの専門についての理解を深めつつ、より緊密に力を合わせて研究を行っていくことで、医学そして工学の発展に貢献していこう、というのが医工学の使命なのです。

医工学研究科_授業2_copy

東北大学大学院 医工学研究科について

東北大学における医工融合には、長い歴史があります
医工学研究科は、その歴史の中で 日本初の医工学専門の大学院として設立され,かつ「医工学研究科」としては国内唯一の存在なんです。
「医工学の専門家」を養成するために、授業や実習などのレベルから専門的に教育を行っている研究科は非常に珍しいんですね。
医工学研究科では医学部と工学部が全面的に協力をして、両学部の素晴らしい先生方を中心に充実した教育が行われています。

この医工学研究科にはさまざまな学部学科から学生がやってきます。
下図にあるように、機械・電気情報・材料などの理工系をバックグラウンドに持つ学生に加え、保健・生物・薬学・農学などの医学・生物系をバックグラウンドにもつ学生が所属しています。(社会人の方もいらっしゃいます

医工学_進学

卒業後の進路

医工学研究科の卒業生は、メーカーなどの企業や生体医工学関連官庁(医薬品医療機器総合機構(PMDA)等)、大学、病院での機器管理者など、さまざまな進路に進みます。
下図のように、医療機器メーカーだけでなくさまざまな分野の企業にも就職していますので、「現段階で進路は絞りきれない…けど医工学に興味がある…!」という人も、もちろん大丈夫です♪

医工学_進路

後編では「医工学研究科のすごいところ」そして「実際の学生の声」などをお届けします。
医工学研究科のPVもぜひ見てみてくださいね♪(後編でコメントをよせてくれた私の同期も出ています、かっこいい…!)

記事へのコメントやSAへの質問などはこちらのフォームからいつでもお待ちしております♪

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編集後記

私は高校生の頃、ぼんやりと「工学と生物学と経済学のあいだの勉強がしたい」と思っていました。そして大学で ”医工学” という「まさに!」な分野に出会い、感激しました。医工学研究科では知的好奇心が刺激される毎日で、とても楽しく充実した日々を送っています。(後編に続く)

東北大学サイエンス・エンジェル
次世代の研究者を目指す中高校生に「こんな女性研究者もいるんだ!」「理系って楽しい!」という思いを伝えるため、2006年に結成。年度毎に学内で公募され、総長に任命された 東北大学の自然科学系10部局に所属する女子大学院生が、中学・高校での出張セミナーや科学イベントで科学の魅力と研究のおもしろさを伝えている。メンバーは宇宙・自然・ロボット・環境・ヒトや動物の身体のしくみなど、それぞれの専門分野で日々研究中。

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