理系にまつわるギモンに私たちがお答えします!(1) 進路選択編
こちらの記事では、私たちサイエンス・アンバサダー(SA)が皆さんからのギモンにお答えします!
質問はいつでも大大大募集中なので、お気軽に聞いてくださいね^^
質問フォームはこちらをクリック!
本記事では、「進路選択編」をお送りいたします!
※農学部の食品メーカーへの就職に関する新しい質問に回答しました。(2022/2/22追記)
頂いた質問は質問15に回答しています。
※材料科学総合学科のコース配属に関する新しい質問に回答しました。(2022/10/ 21追記)
頂いた質問は質問No.16に回答しています。
1. 各学部の特色について教えてください。
各学部の特徴やおすすめポイント、研究内容、卒業後の進路について、多くの質問をいただきました。
SAでは理系学部の紹介記事を公開中です。気になる学部名をクリック!!
2. 理学部と工学部にはどのような違いがありますか?
同じような分野の場合、理学部と工学部で研究の実験手法や研究室の様子に大きな違いはないです。よく似ていますが、研究の対象や目的に少し違いがあると思います。理学部は新しい化学現象や物理法則を見つけたり解き明かしたりする純粋なサイエンスであるのに対し、工学部はそれらの現象や法則を用いて実際のモノづくりや技術開発を行うエンジニアリングです。東北大の場合は、学校の先生になるために履修が必須な教職科目の履修のしやすさも、やや異なります。どちらの学部でも教職科目の履修ができますが、これらの講義は理学部で開講されています。取得できる種類(科目、中高など)も違いますし、理学部のほうが工学部よりも教員免許を取得する人が多いです。(工学研究科・やま)
3. なぜ理系(自身の所属学部や研究科)を選んだのですか?
SAのみんながなぜ理系を選んだのか、なぜ現在の進路を選択したのか…
とっても気になりますよね。
SAの進路選択について大調査した、こちらの記事はもうご覧になっていただけたでしょうか?
まだの人は、記事名をクリックしてどうぞご覧ください!
4. (薬学部卒業後に、)大学院にいくメリットとデメリットについて教えてください。
薬学部に限らず他の学部でも大学院を終了していないと、企業が採用を行っていなかったり、あるいは希望する職種に就けなかったりする場合があります。大学院に進学するメリットとして、将来のお仕事の選択肢がちょっと増える点が挙げられるのかなと考えています。
デメリットは個人的にはあまりないと考えています。というのも、東北大学にいると周りの女性も大学院に行く人が多いので、私もそんなに違和感なく大学院に進学することができました。ただ、たまに地元に帰って社会人として働いている友達と話した際に、まだ学生の自分はマイノリティなんだなということを自覚しました。(薬学研究科・すし)
5. 理・工学部では中高で何か研究していた人が多いのでしょうか?
統計データはないので個人的な意見になりますが、他の理系学部と変わらないと思います。中高の部活動で研究をしていた人もいますが、大学の研究室で初めて本格的な研究に取り組む人が大多数です。(工学研究科・やま)
6. 化粧品の開発をしたいのですが、化学系と薬学系とで迷っています…
化学系の学部としては、理学部化学系、工学部化学バイオ系、薬学部が考えられますが、いずれもの学部からも化学系の企業へ就職する人はいます。どの学部に進学しても大丈夫ですので、学びたいことで選んでみてはいかがでしょうか。例えば、薬学系では化粧品に関わることとしては、薬の成分、体や皮膚の構造、製剤方法などを学ぶことができます。 (薬学研究科・H.T.)
農学部(農学研究科)や生命科学研究科からも化粧品系に進む人はたくさんいます。農学や生命では、化学系生物系など幅広い研究を行っていますので、いずれからも化粧品につながります。(生命科学研究科・あずさ)
7. 臨床ではなく、研究の道に進もうと思ったきっかけや決め手は何ですか?/臨床医として働きながら、研究医としても研究し続けることは可能でしょうか?
臨床の勉強を始めてから、現代の医学で行われている治療法の全ての根本には、研究があるということを強く実感しました。研究でいろんな人体や疾病に関することが明らかになり、さらに臨床に応用され、未来の医療につながると考えています。私は現代の医療を根っこの部分から支えていきたいという思いで、研究を行っています。どういった関わり方でも、研究からでも臨床からでも、必ず社会に貢献できる道につながると信じて、日々研究を行っています。(歯学研究科・うめちゃん)
8. うめちゃんさんが語っていた理想の歯科医師像*について、その目標はいつ頃から持ったのでしょうか?入学時から持っていましたか?
*うめちゃんさんの理想の歯科医師像は「女子大生の日」のイベント記事にてご覧になれます。こちらをクリック!
私の父も歯科医師ですが、大学院には進学しておらず、いわゆる町の歯医者さんという感じでした。私は大学に進学するまで、研究をしながら歯医者さんをやるという選択肢はイメージしていませんでした。しかし、大学に入ってみると、大学は研究機関でもあるので研究をしながら医師として頑張っている人、それから研究者として歯学を支えようとする人に間近で接して、そういった目標を持つようになりました。(歯学研究科・うめちゃん)
9. 娘が東北大学薬学部を志望しており、薬剤師になるのが夢ですが、研究や実験にはあまり興味がないと言っています。研究に力を入れている東北大学で、娘のようなタイプは正直、入学してからやっていけるのでしょうか?
東北大学では4年制の創薬科学科はもちろんのこと、6年制の薬学科でも最先端の研究に携われる環境が整っています。裏を返せば、6年制では薬剤師国家試験の受験資格を得るために必要な病院や薬局での実習や、試験の勉強をこなしながら、同時に研究も進めていかなければならないので、大変な面もあるかもしれません。と言っても、これは東北大学に限らず国立大学はどこも同じような感じで、研究で手一杯なところは一緒のようです。私立大学では、研究の比重はあまり重くない一方で、大学独自に課される卒試への合格が重要となってくるようです。
東北大学の薬学科卒業生の進路についてですが、実は薬剤師として就職するのは25%程度で、そのほかは企業に就職する人が50%、公務員として働く人が25%という感じでした(令和元年度卒業生)。私自身は入学当時、4年制と6年制のどちらに進学するのかを迷っていましたが、最終的には明確な意思を持って4年制に進みました。質問者様のお嬢様は現在高校生ということで、長い大学生活の中で考え方が変わることもあるかもしれません。東北大学に進学するメリットの一つとしては、一度、研究をやってみて「やっぱり自分のやりたいことは研究ではない」と感じるのか、「意外と研究って楽しいかも」と感じるのかによって、進路を選択できるところではないかなと思っています。(薬学研究科・しょうこ)
10. 薬学部は、受験時に4年制と6年制で一括入学とありますが、願書に希望を書く欄すらないのでしょうか?あくまで3年までの成績順で希望が通るのでしょうか?意に反して6年制の薬学科に入れなかった人はどうなりますか?
AO入試と一般入試のどちらにおいても、学科の区別なく一括募集となっており、学部3年前期までは全員が同じカリキュラムのもとで勉強します。4年制と6年制の学科の振り分けは、3年前期までの成績順で希望が通ります。志望学科の人気は年度によって偏りがありますが、6年制の方が定員人数が少ないため狭き門となる傾向が高いです。平成30年度入学者からは薬学科で学部6年の教育を受けた人のみに、薬剤師国家試験の受験資格が与えられます。つまり、4年制の創薬科学科に進むと薬剤師になることはできません。(薬学研究科・しょうこ)
11. 薬や化粧品の開発がしたいのですが、薬学部に行けばいいのか農学部や工学部に行けばいいのか迷って決まりません😢😢 薬学部にとても憧れますが勉強が想像以上に大変だと思うので農学部などに行った方がいいのでしょうか、教えていただけると嬉しいです泣
化粧品や製薬メーカーの採用HPを見てみると、薬学部に限定されず幅広い学部出身者が活躍していることがわかると思います。つまり、理系であればどんな学部に進学しても化粧品や薬の道に進むことは可能です。
もちろん、薬学部では人体の仕組みについて勉強したり、化粧品や薬を分子レベルで学んだりすることで、化粧品や薬に関わる幅広い分野について網羅的に知ることができます。しかし、企業に入ってから行う研究と、大学で学ぶ知識や研究は大きく異なるのが当たり前ですので、薬学部にこだわりすぎず、どのような研究をしたいかによって進路を選択してほしいと思います。
例えば、化粧品メーカーの場合であれば
・スキンケアや皮膚科学など基礎研究に興味があるなら、生命科学系がおすすめです。
・化粧品の配合や素材、香料など開発研究をやってみたいのなら、化学系がおすすめです。
・工学部の化学工学や機械、電気系出身の人は、化粧品の生産に関わる仕事ができます。
※もっと詳しい研究分野や内容について知りたいと思う方は、ぜひ気になる企業のHPを調べてみてくださいね!
もし、興味のある分野が定まらない…迷い中…という方でしたら、薬学部や農学部は生命科学・化学について幅広く学んだあとで、より興味のある分野を選択することができるのでおすすめです。(成績順でコース・分野選択の希望が通る例が多いので、大学に入ってからも勉強を頑張ることが前提ですが…)
薬学部の勉強について大変だと感じるポイントは人それぞれ違うと思いますが、一つ挙げるとするならば、国公立の薬学部は受験科目で化学と物理が必要とされる一方で、大学では生物系の講義の割合が多く、受験科目と大学に入ってから学ぶ科目が異なる点でしょうか。
化粧品や薬の開発という素敵な夢の実現を応援しています!
(薬学研究科・しょうこ)
12. 医工学について興味があり、医学と工学どちらも深く学びたいと思っています。そのため、医学部と工学部どちらに進学すれば良いのか悩んでいます。工学部に進んだ場合、研究室に配属され、専門的なことを学ぶのはいつぐらいからなのでしょうか。
私も質問者さんと同じく、高校生の時から医工学に興味を持っており、大学進学の際はどこに進むべきか悩みました。結論から言うと、次の2つの考えから私は進路を決めました。①どっちもやりたい!という気持ちが最後まで強かった。②自分の好きなものづくりを通して医療に関わりたい。この2点から、学部生の時は工学部をベースにしつつ医学の知識も学べる「医工学科」に進学しました。なので、医学をちょっと齧った工学系出身の学生の話だと思って読んでもらえればと思います。
私の場合は、大学1年生で教養科目や基礎科目を学び、2、3年生から専門科目に加えて実習や実験をしました。3年生の秋に研究室に配属され、そこから卒業研究のために研究分野の知識を身につけました。また、私は学部で主に工学系を学んでいたので、大学院生の今は医学の知識を新たに身につけています。正直、勉強は大変ですが、それは医学部出身の人が新たに工学の知識を身につけるのと同じことなので、どっちが良いとかはないと思います。
私が受験生だった時と比べて、今は医工学を看板にした大学が増えていると感じます。色々調べてみたり、オープンキャンパスに参加したりして実際に学生の話を聞くのも良いと思います。
納得できる進路が見つかることを祈っています。頑張ってくださいね!
(医工学研究科・ゆか)
電気・情報系の学科では2・3年生で専門科目の基礎知識について学び、4年生に上がる段階で研究室に配属されます。4年生はそれぞれの研究を進めていく上で必要となってくるより深い専門知識を研究室ごとに勉強し研究を始めていきます。医学の勉強に関しては私の学科では学部のときにも医学・生物学の授業がありましたが大学院ではより深く勉強しています。
選択肢が多く迷うことも多いと思いますが、オープンキャンパスなどで話を聞いてみたり、研究室のHPを見てみたりすると研究についてよりイメージがしやすいかもしれません。応援しています。
(医工学研究科・ゆうき)
13. 医学部に進んだ場合、工学のことを学ぶのは難しいのでしょうか。大学院の医工学科に医学部卒のひとはいますか?
私自身、医工学研究科の所属ではないことに加え、学部が東北大ではないので、こちらの質問については完全な回答ではないかもしれませんが、質問をしてくださった生徒さんの力になりたいと考えています!
私が所属する研究室は、医学系研究科と医工学研究科のどちらからでも所属が可能です。研究室の教授(永富良一)は医工学研究科の研究科長ですし、医工学研究科所属の学生もいます(東北大工学部出身の人もいます)。
いただいた質問については、医工学研究科の先生や学生に聞いてみることも可能ですので、必要であればご連絡ください!また直接医工学研究科のWebからも質問等してみることも可能かと思います。
(医学系研究科・やまだ)
「医工学研究科に医学部卒の人はいますか?」の質問に関して、少数ですがいます。私の周りには、保健学科を卒業した人(臨床検査技師など)や医療従事者として働きながら研究している人(いわゆる社会人学生)などがいます。将来、東北大学医工学研究科で学びたいと考えているのであれば、工学部からでも医学部からでも、さらには他大学からでも受験ができるので、今は自分の好きな科目や興味のある事を基準に大学や学部を選んでみるのも1つの手段だと思います。
(医工学研究科・ゆか)
東北大学の医工学研究科には、医学部出身者より工学部出身者の方が多く在籍しています。
私の研究室はどちらかというと工学よりの研究室なのですが、医学部保健学科(臨床検査技師)から医工学研究科に進学した人が所属しています。その方にお話を聞くと、研究室で工学の勉強を始めたばかりのころは、やはり工学系の同期の方との知識の差があり苦労したそうです。しかし、今では自分でプログラミングをしてデータを解析するなど、工学の知識を十分に身に着けて研究を進めています。このように、医学部に進学したとしても医工学研究科で工学の知識を学ぶことは可能だと思います。ただ、工学部出身者の方が、医学部出身者より工学に関して幅広い知識を持っているのは事実です。東北大学の医工学研究科は、工学部、医学部どちらからでも進学できるので、学部を選ぶ際には、自分がより学びたい方を選ぶと良いのではないかと思います。私は工学部出身ですが、医学部出身の方はやはり私より医学の知識が豊富で、日々刺激をもらっています。
(医工学研究科・さき)
私の研究室に所属している医学部卒(臨床検査技師)の医工学研究科の大学院生にお話を聞いてみたところ、やはり工学の知識に関しては学部で学ぶ機会があまりないため、はじめは苦労したそうです。しかし、大学院の授業の中で工学系の科目を学部のときに履修していなかった学生を対象とした授業も設定されていたり、工学系の学生と協力しながら研究を進めていくことで工学の知識を増やしていくことができると話していました。医工学の研究を進めていく上で工学の知識は必要ですが、医学や生物の知識も重要です。私は工学部卒であるため大学院では医学や生物学の勉強をしたり医学部出身の学生に医学や生物の知識を教えていただいたりしています。どちらの学部に進み、医工学研究科に進むかは工学と医学・生物学どちらの知識をより深く勉強したうえで研究をしたいかということを考えてみると良いかもしれません。多くが工学部卒の学生ですが、医学部卒の学生も毎年数人いるようです。
(医工学研究科・ゆうき)
14. 農学部でのフィールドでの学習は具体的にどんなことをしていますか?
学部1年時に川渡、女川へ行き、所有する牧場や船、研究に関する説明を受けました。2年生からは、所属コースに応じて異なる授業、フィールド学習を行いました。内容、行く回数、宿泊する日数などが異なっていたと思います。3年生で海洋コースは女川、それ以外のコースは川渡にまた行くことになります。私が所属する生命コースでは2泊3日で牛舎の掃除、田植え、パン・ジャム・バターづくりなどを行いました。友達の植物コースでは田植えだけではなくイネの生育調査や稲刈り、菌根菌の観察なども行ったそうです。川渡キャンパスは水田、牧草地、森林などがあり、動物・植物コースの人が研究している場所です。女川キャンパスは海のすぐ近くにあり、海洋コースの人が研究をしている場所です。
各フィールドセンターの詳しい情報については、こちらのHPをご覧ください。
川渡:
https://www.agri.tohoku.ac.jp/noujou/center.html
女川:
https://onagawatarou.wixsite.com/onagawacenter
(生命科学研究科・みぐお)
NEW!15.農学部で学んだ後、食品関係の会社に就く人もいるようですがそこで学んだことがどのように役立ちますか??
学部で学んだ専門的な内容が直接企業で役立つことは少なかったように感じます。ただ、研究室時代に自分で課題を設定して、その課題を解決するために試行錯誤した経験は入社後も生かされていると感じます。(農学研究科OG)
授業で扱った、食品の衛生・食品科学や食品の検査法などの分野が工場に勤務するうえでも役立っています。専攻は畜産だったので、研究内容が直接的に役に立つことは今のところ少ないですが、研究の資料づくりや発表の経験は、仕事の報告の場で役に立っています。(農学研究科OG)
NEW! No. 16 東北大学材料科学総合学科に在籍しています。コース配属の時期は把握しているのですが、具体的な方法について教えていただきたいです。
A. 東北大学工学部の材料科学総合学科では4年次に研究室配属があって、その時配属された研究室が所属するコースに準じて自動的に配属されるという流れになります。
学部は4コース(金属フロンティア工学コース、知能デバイス材料学コース、材料システム工学コース、材料環境学コース)ありますが、大学院ではこれと対応して、工学研究科マテリアル・開発系3専攻(金属フロンティア工学専攻、知能デバイス材料学専攻、材料システム工学専攻)と、学部時代に材料環境学コースに属している研究室は環境科学研究科になります。
大学院入試は工学研究科と環境科学研究科と異なるので注意が必要ですが、大学院進学時に研究科やコースをまたいで研究室を変更することが可能です。(工学研究科・ずっほー)
SA質問コーナーは以下のようなジャンル分けを行っています。
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編集後記
私も現在進行形で、自分自身の進路選択に迷走中です…!自分ひとりで考える時間ももちろん大切ですが、人と話すことで見方が広がったり、自分の頭の中が整理されたりするなあと感じる、今日この頃です。(しょうこ)
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