OGインタビュー 〜医学系研究科編〜(2)
こんにちは!
東北大学サイエンス・エンジェル(SA)の "しょうこ" です。
本記事は、座談会記事の後編です!
前編はこちらからどうぞ♪
④ 卒業後の進路は何があるの?
ーーKさんのいた障害科学専攻では、卒業後の進路はどういった感じでしたか?
Kさん 私のいたところでは、基本的に医療系の資格を既に持ってる人が多くて、周りはお医者さんとか卒業後に元いたところ(臨床の現場)に戻る人がすごく多かったんですね。研究者になった人も2人ほどいましたが、どちらも栄養士と臨床検査技師の資格を持っていたので、いざという時は現場に戻ることができる人たちでした。私のように、なにも資格がなくて医学系研究科を卒業する人ってあまりいませんでした。それで、あまり周りのことがよく分からなくて迷走しているわけですけど…。SAをやった時に、科学と社会の繋げる役のようなところに興味があったので、最初は技術移転*の会社に就職しました。
*技術移転:高い技術やノウハウを、他の分野や機関に普及させること。
ーー今お話に出てきた資格っていうのは、既に修士とか博士に進む前に取るものなんですか?それとも、大学院で研究と並行しながら取るものなんですか?
Kさん 医療系の資格は基本的に全部、4年または6年その学部に行かないと取れないんですよ。結局どうあがいても取れないものしかなかったので、私は全然考えてなかったってところですかね。
ーー大学教員になるまでの経緯についても詳しくお聞きしたいです!
Kさん 企業で働いていた時に東北大学から声がかかって、助教を4年半ほどしていました。5年の任期を終えて次の大学に移ったのですが、そこでもやっていることはほとんど変わっていません。ただ、少し学部の教育や講義の仕事が増えたことで、やっぱり教える方が楽しくて、教育にもうちょっと関わりたいなって思っていました。そんな折に、別のところから「分野別国際認証*の教育の評価測定のポストがあるから来ませんか?」っていう話がきました。また、ちょうどそのタイミングで、キャリアコンサルタント*の資格を取得したいと考えていて、その資格を取るためには3ヶ月の間、週1回朝から晩まで養成校に通う必要があったので、完全週休2日で、取得できる有給も多いということで、その話に乗ることにしました。
*分野別国際認証:大学は国際認証にパスしなければ、国際的に大学の学部が認められず、例えばアメリカの国家試験が受けられない等の問題が生じてしまうそう。
*キャリアコンサルタント:個人の適性や能力に応じて、職業の選択や能力の向上についての相談に乗り、アドバイスや指導を行う専門家。
(医学部HPより引用)
ーー検査技術科学専攻では臨床検査技師の資格を取得して学部卒で就職する人も多い中で、修士を持っていることで就活が有利に働く場合ってあるんですか?
Mさん 臨床検査技師として働くのであれば、修士卒・博士卒だと将来的な役職がもらえるといったメリットが、もしかしたらあるかもしれません。でも、大学院を出て就職する場合は、臨床検査技師になる子の方が少なくて、別の方向に行く子の方が多かったかなと思います。
ーー別の進路というのは、具体的にどういうものですか?
Mさん たぶん薬学系の人とちょっと被ると思うんですけど、製薬会社のMRさん(薬専門の営業職)になる人がたまにいました。あとは治験*系の会社に勤める人が多いですね。大学病院だと治験コーディネーターっていう人がいるんですけど、企業だと製薬会社から直接治験の仕事を受託して、各々病院に行ってデータを集めてくるっていう仕事になります。
*治験:新しい薬が国からの承認を受けるために、安全性や有効性が確認される臨床試験のこと。
ーーMさんの今のお仕事を選んだきっかけや経緯について教えてください。
Mさん 私は今、胚培養士という仕事をしています。不妊治療*の専門のクリニックで患者さんからお預かりした卵を受精させるところから、着床する寸前のところまで育てて、というような仕事内容です。私はそもそも学部を選択した時点では、4年で卒業して病院で臨床検査技師として働くっていう未来を想像していました。でも、たまたまというか、大学院に進学するきっかけができて…。大学院に進学した当初も、私は卒業したら臨床検査技師になるって思っていました。いざ研究生活が始まってみると、研究自体がそれなりに面白かったのと、先輩方がいろんな仕事に就いているのを見て、実は別の道もあるんだっていうことに気付きました。それで、私も最初は治験系の会社に勤めようと思って就職活動をしていましたが、その時にたまたま研究室にいたドクターの先輩が「こういう仕事もあるよ」って教えてくれたのが、胚培養士の仕事でした。調べてみて興味を持って、今いる病院に見学に行ってとんとん拍子で内定までもらえたので、これも何かの縁かなと感じてこの仕事を選びました。
*不妊治療:何らかの原因で妊娠しにくくなっている不妊症の患者さんに対して行う治療のこと。
ーー胚培養士っていうのは、資格が必要なお仕事なんですか?
Mさん それがすごく曖昧なところで、胚培養士自体は資格は必要ありません。一応、私たちがしていることは医療行為ではないとされているんですね。患者さん自体に触るわけではないので。患者さんから取ってきたものを扱って、育てた卵を患者さんの子宮に戻す、「胚移植」という治療では、卵をカテーテル(細いチューブみたいなもの)で吸って、医師のもとに持っていくところまでは胚培養士の仕事ですが、実際に患者さんに移植するのは医師の仕事になります。私のクリニックだと、培養部門に15人くらいいて、臨床検査技師の資格を持っている人が4,5人程度。あとは農学部出身の人が多いですね。たぶんKさんがいた養豚の研究室が近いと思うのですが、動物はけっこう生殖や体外受精の研究が進んでいるので、多いのだと思います。
(医学部HPより引用)
⑤ note読者の皆さんへ
ーー最後に、note読者の中高校生や現役SAにメッセージをお願いします!
Kさん 理系女子は本当にいろんなキャリアがあって、たぶん男の人以上に多彩だと思うので、悩んだらいろんな人の話を聞いてみてください!
Mさん 皆さん一人一人何かしらの武器を持っていて、私の場合は目の前にあることを解決していくのが好きなタイプだったので、それで今までうまくやってこれたのかなって思っています。きっと皆さんもそれぞれ強みや武器があると思うので、それを最大限使って前に進んでください!コロナでみんな大変な時期で、受験とか就活とか大事なイベントが今まで通りのやり方でできなくて理不尽だなって感じることもあるかと思いますが、使えるものはとことん使い果たして、前に進んでほしいなと思います。
最後まで読んでいただき、どうもありがとうございました♡
記事へのコメントやSAへの質問は、いつでもこちらのフォームよりお待ちしております。
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編集後記
鍋がおいしい季節になりました。去年初めて食べた痛風鍋の味が忘れられないので、今年も食べたいです…!!(しょうこ)
東北大学サイエンス・エンジェル
次世代の研究者を目指す中高校生に「こんな女性研究者もいるんだ!」「理系って楽しい!」という思いを伝えるため、2006年に結成。年度毎に学内で公募され、総長に任命された 東北大学の自然科学系10部局に所属する女子大学院生が、中学・高校での出張セミナーや科学イベントで科学の魅力と研究のおもしろさを伝えている。メンバーは宇宙・自然・ロボット・環境・ヒトや動物の身体のしくみなど、それぞれの専門分野で日々研究中。
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