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結晶化学に関する810本もの疑わしい論文の存在が発覚!結晶化学に広範な影響の可能性も
この記事を読む前に
今回のお話は結晶化学、特にMOF (金属有機構造体) とCP (配位高分子) に関連した論文にまつわる、大規模な不正の疑いについて解説した記事だよ。このお話は科学世界の闇に関わる話だから、私の普段の解説内容と比較すると、まったくワクワクもしない楽しくもない内容が約7000文字も続くので、そこは注意して読んでほしいんだよ。逆にこういう話に少しでも興味がある人にとっては知ってほしいお話だし、でも楽しくないお話だから、私としては初めての有料note記事にしたところがあるよ。
疑わしい論文は810本!
きっかけは論文撤回専門ブログから
先日Scienceが特集した、アルツハイマー型認知症の原因について言及した論文に不正の疑いがある、というお話はかなり一般にインパクトを持って受け止められたよね。この論文は約2300本もの論文に引用されていた著名な論文であった事が、この不正について一般にも認知されるきっかけとなったよ。一方で今回の騒動は、個々の論文の影響は微々たるものと推定されているけど、その数が多かった事で問題が大きくなった事例だよ。
今回の大規模な不正の疑いについて詳しく報じているのは、論文の撤回に関する情報を詳しくまとめているブログ "Retraction Watch" だよ。Retraction Watchはブログであるものの、論文の撤回に関する網羅的な記事を書いていて、出版後査読のメディアとして注目されているよ。
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