【サイエンス】数万人が死亡?史上最悪の隕石事件「慶陽事件」
1490年の3月ごろ、現在の中国慶陽市近くに流星群が現れた。大小様々なサイズの隕石が降り注ぎ、数万人が亡くなったという。事実であれば有史では最悪の隕石被害である。
明朝について書かれた清代の歴史書『明史』によると、事件があったのは弘治三年三月で、「大きいものはガチョウの卵のようで、小さいものはハスの種のようだ」という。ただし、『明史』では死者数ついて言及されていない。これについて、「死者について言及しない政治的理由があったのだろう」との意見がある。
隕石については『明史』『明通鑒』『二申野錄』『萬歷野獲編』『國榷』『奇聞類紀摘抄』といった複数の文献で言及されているという。
原因
隕石が落下した可能性が高いだろう。ただし古い記録なので、原因の特定は難しい。
1490年に「C/1490 Y1」という彗星が崩壊し「しぶんぎ座流星群」が生まれたとする研究報告がある。年代は共通しているが、厳密には時期が異なるようで、全く別の天体現象と思われる。今なお慶陽事件の正体は不明だ。
《出典》
Wikipedia「1490年慶陽事件」「Qingyang event」
Wikisource「古今奇聞類紀/卷一」
中國哲學書電子化計劃「萬曆野獲編: 第二十九卷」
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