【サイエンス】人類史上最悪の爆発事故「王恭廠大爆発」
人類史で最も大きい「爆発」は、1961年に行われた「ツァーリ・ボンバ」の爆発実験だ。これは水素爆弾の実験であり、爆発の規模は50Mtとされ、しばしば「広島に投下された原爆の3300倍の威力」と表現される。核爆発を除けば、1908年の「ツングースカ大爆発」が挙げられるだろう。隕石によって引き起こされた爆発で、規模は5Mtとされる。
人類史で最も被害の大きい爆発は、広島への原子爆弾による攻撃だろう。1945年8月に投下されてから年末までの間に約14万人が亡くなったと推定されている。また1986年、チェルノブイリ原発の爆発で放射性物質が拡散した事故では、死者数が73万4千人になるとNGO「ウクライナ連合」が推計している。
核関係を除けば、史上最大かつ最悪の人工的な爆発事故はベイルート爆発でも天津大爆発でもない。「王恭廠大爆発」だろう。
概要
1626年5月、中国の明の時代。北京西南部で爆発が起こった。「王恭廠」とは火薬庫であり、これが何らかの原因により大爆発を起こした。北京から150キロメートル以上離れた場所でも振動を感じたという。
あまりにも大きい爆発により大地震のような被害が出て、2万人以上の死者を出し、爆発の威力は10~20ktにもなり、広島の原爆に匹敵する規模であった。この威力は、爆発事故としては核爆発を除いて最悪のものだ。
人を含めあらゆる動物が巻き込まれ、建物の破片やバラバラになった肉片が空から降り注いだという。
原因
当時の火薬が、現代の高性能爆薬どころか核爆弾に匹敵する爆発を引き起こせるだろうか。ここまでの被害を引き起こした原因として、火薬庫の爆発ではなく、噴火や地震などの天災が原因であるとする説が存在する。その中でも特に被害状況と合致するのは隕石説だ。
仮に隕石が原因だとすると、核爆弾を除いた人工的な爆発は1917年のカナダで発生した「ハリファックス大爆発」(約3kt)が最大規模となるだろう。
《出典》
Wikipedis「ツングースカ大爆発」「王恭廠大爆発」「ハリファックス大爆発」
広島市「死者数について」
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