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化学と歯学の関連性を予想

こんにちはラメポタです。今回は、私の専門である「化学」について振り返ってみようと思います。

専門としての化学は歯学業界で活かせるのか?


私は大学・大学院で6年間化学を専攻しました。また、企業でも化学分野の研究開発に3年携わりました。ここまでガッツリ化学分野に携わった人材は、歯学業界にもなかなか少ないでしょう。
 
そんな化学屋の私ですが、これらの化学の知識は歯学業界でどれくらい活かされるのでしょうか?
 
今回は歯学を一切習っていない状態の現時点の私が、化学の各単元の知識がどれくらい歯学に関わってきそうか予想してみたいと思います。
 
すでに歯学を学習した方からすると的外れな記述も多々見られるかと思いますが、化学屋から見た歯学分野はこんな風に見えているんだ、というのをほほえましく見ていただければと思います。
 
今回は「自分の専門が活かせるかどうか」がテーマなので大学以降の化学を中心に取り扱います(高校化学は理系選択の多くの人が学んでいることから、専門というには弱く、今回はスルーとしました)。
 
化学系の方にしか通じないようなニッチな内容を多々含み自己満要素が強いですが、自分自身今まで学んできた「化学」を振り返りたいということで、やっていきたいと思います。
 
※あくまで歯学を学び始める前の状態の素人の予想ですので、その旨ご了承ください

評価項目は3項目で5点満点


さて予想のやり方ですが、評価項目は①座学、②臨床医、③経営者の3項目とします。
 
座学:歯学部での6年間の授業や実習での役立ち度
臨床医:勤務歯科医や開業歯科医として働く際の役立ち度
経営者:歯科医院を経営する立場での役立ち度
 
大学で学習する化学の各科目について、上記三項目について1~5の5段階で評価します。評価基準は私の主観です。
(私は臨床医志向ですので、今回は評価項目に入れませんでしたが、「④研究」とかの項目をつくってみても面白いと思います。)
 
大学化学のカリキュラムや詳細な学習内容はほとんど覚えていないので、主観と記憶とイメージを頼りに書き進めておりますので、こちらもご了承ください。では、さっそく見ていきたいと思います。

化学系科目を予想


【1.有機化学】
座学:☆
臨床医:☆
経営者:☆
 
化学の王道科目です(私の主観です)。反応時の立体障害や、分子全体の極性、ベンゼン環のオルト、メタ、パラ配向性などを習った記憶があります。反応名で言うと、ディールズアルダー反応とかSn2反応とかが記憶に残っています。
 
私の予想としては、歯学関連の座学および臨床において大学有機化学の内容はほぼ関連しないと思います。大学の有機化学はそれくらい化学分野に特化した内容なのです。
 

【2.物理化学】
座学:☆
臨床医:☆
経営者:☆
 
化学の王道科目その2です(これも主観です)。抽象度が高いため、非常にイメージが難しく、私個人としては圧倒的苦手科目でした。エンタルピー、エントロピー、シュレディンガー方程式、量子などを扱った記憶があります。
 
こちらも歯学に直結する内容は少なそうに思います。
 

【3.無機化学】
座学:☆☆☆
臨床医:☆☆
経営者:☆☆
 
電位pH図や物質の状態図、点群などを扱いました。また、14族元素や金属元素、半導体など高校無機化学であまりスポットが当たらなかったところにも触れていた記憶があります。
 
金属材料関連の内容は、歯科理工学やインプラントなどの分野でそこそこ役立ちそうです。
 

【4.分析化学】
座学:☆☆
臨床医:☆☆
経営者:☆
 
分析装置は、歯学・化学の両業界で共通するものもあるかもしれません。化学業界でよく使う分析装置について考えてみます。
 
〇XRD、XPS、蛍光X線分析など
X線の知識は間違いなく歯学でも必要ですね。しかし、XRDは物質の結晶性を調べる分析装置です。ヒトを対象には使用できません。抜いた歯であれば結晶性を調べることができるかもしれませんが、臨床的には意味があるのかというと疑問なところです。
 
〇ICP
イオン濃度を分析する機会はほとんどないでしょう。が、全くないとも言い切れないので一応知っておくと便利かも?ぐらいと予想します。
 
〇TOF-MASなど質量分析関連
歯学業界で質量分析する機会はほとんどないと予想します。
 
〇NMR
未知の有機物を分析する際に便利な装置ですが、臨床医が未知の物質を取り扱うことはまずないので、知識がなくても大丈夫でしょう。
 
〇GC
ガスを分析する機会が思いつきません…。液体も分析できますが、ICPやHPLCで良いような気がします。
 
〇HPLC
GCよりは出番がありそうですね。グルコース濃度の測定とかにも使えますし。知識が役に立つ場面がもしかしたらあるかもしれません。
 
〇顕微鏡関連
一見、患者さんの歯の観察などで役立ちそうですが分解能過剰な可能性があります。臨床的には虫眼鏡やルーペで十分ですかね?
 
〇SEM、TEMなど
抜いた歯であればSEM観察できるかもしれません。しかし、(研究以外で)SEMスケールの倍率で画像を見たいシチュエーションが思い浮かびません…
 
〇EDX
元素分布を調べる場面があれば出番ワンチャンってところでしょうか。
 
〇吸光度測定
何か役立ちそうな気がします。が、具体例は思い浮かびません。
 
〇ラマン分光分析
ラマンはあまり詳しくないのですが、多分使わないでしょう。
 
〇PCR
コロナの検査で非常に有名になりましたね。臨床で遺伝子の特定部位を増殖させる意味はないので、知らなくても問題ないでしょう。ただし、座学では出てくると思うので、テストや国試の観点では重要でしょう。
 
思いついた分析手法を列挙してみました(ほかにもまだまだあると思いますが…)。総合すると、歯学でもある程度関連する内容が少しは含まれていると予想します。
 

【5.生化学】
座学:☆☆☆☆☆
臨床医:☆☆☆
経営者:☆☆
 
歯学部のカリキュラムでも登場する学問です。ゆえに生化学関連知識の大部分が、座学においてダイレクトに役立ちますね。余談ですが、私の大学・大学院時代の研究テーマには生化学分野がそれなりに絡んでいたので、私の専門は歯学分野でも少しは活かせそうです。
 
 
【6.材料科学】
座学:☆☆
臨床医:☆☆
経営者:☆☆
 
履修したことがないので何とも言えないですが、入れ歯の素材とかに関わりそうなので、役立つ場面もあるのではないでしょうか?
 

【7.高分子化学】
座学:☆☆
臨床医:☆☆
経営者:☆☆
 
こちらも本格的には履修していないので何とも言えないですが、口内に挿入する人工物は高分子素材でできている場合もあると思うので、歯学とまったく無関係ということはなさそうです。
 

【8.化学工学】
座学:☆
臨床医:☆
経営者:☆
 
工業+化学を考える際に役立つ学問です。配管内の流速とか、反応界面の濃度分布や温度分布を考え、微積や方程式などを用いてシミュレーションするイメージですね。医療用薬品の大量製造などの際に役立ちそうですが、そういうのは製薬会社の製造部門が考えるところなので、化学工学の知識はあまり活かせなさそうです・
 

【9.触媒化学】
座学:☆
臨床医:☆
経営者:☆
 
生命科学で触媒を使うことはあるのでしょうか?(酵素なら頻出でしょうけど…)
 

【10.電気化学】
座学:☆
臨床医:☆
経営者:☆
 
電池とか電気分解ですね。多分、出てこないと思います。
 

【11.環境関連科目】
座学:☆☆
臨床医:☆☆☆
経営者:☆☆☆☆
 
法規制とか、薬品の管理方法や処分方法など、実用的な知識・常識を学びます。もちろん歯学分野とも共通している内容もあるはずです。どちらかというと実戦よりの科目なので、臨床や経営の方で絡んでくることになりますね。ある意味、大学で履修した授業で一番役に立つ専門講座かもしれません。
 

【12.化学実験】
座学:☆☆☆☆☆
臨床医:☆☆☆☆☆
経営者:☆☆
 
化学に実習はありませんが実験はあります。実戦を通して、様々な器具や装置の扱い方を学びます。ビーカーやスポイト、シャーレ、ピペットマンなどの基本的な器具は歯学業界でも使う機会があると思いますし、オートクレーブによる滅菌や、微生物の取り扱いなども座学・実習・臨床などで幅広く活かせそうです。
 

さて、上記12種をまとめると以下のようになります。

化学系科目まとめ

大学化学ともなると専門が特化されてきているためか、生命科学や歯学に直接結びつけられる内容はそれほど多くないようですね。とはいえ、活かせる要素もそれなりにありそうなので、そういう分野では歯学業界を牽引できるように頑張りたいところです。
 
この予想がどれくらい当たっているのか、毎年見直したいと思います(笑)。
自己満投稿にお付き合いいただきありがとうございました。今回はここまでです。


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