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海面水温とモンスーンジャイア

前回のノートの続きです。

熱帯・亜熱帯にある低圧部あれこれ|和田章義 (note.com)

では、モンスーントラフやモンスーンジャイア、これらと関連して発生・発達した台風により、海の水温はどうなるのかという話です。

2019年はモンスーントラフでしたね(あくまで私の解釈です)。


図 2019年8月1日からの海面水温の差(℃)。数字は台風の号数。8月1日以降9日までに発生した台風(第7-10号)の経路・位置を数字で示す。寒色は冷えたこと、暖色は暖まったことを表す。

台風第9号の進路に沿って海面水温が下がっている様子は見られます。モンスーントラフ域は結局のところ海面水温が低下してしまいましたね。


図 2022年7月20日からの海面水温の差(℃)。数字は台風の号数。7月20日以降31日までに発生した台風(第5-6号)の経路・位置を数字で示す。寒色は冷えたこと、暖色は暖まったことを表す。

次に2022年のモンスーンジャイアの例です。2022年はこのジャイアと関連して2つの台風が発生しました。しかし台風はそれほど発達しなかった模様で、結果として海面水温は2019年の時と比較して下がっていないようです。むしろ日本近海で海面水温が高くなっている様子がわかります。日本の南に低圧場があるときは、中緯度は海面水温が上昇する傾向がありますね。


図 2024年8月16日からの海面水温の差(℃)。数字は台風の号数。8月1日以降16日までに発生した台風(第7-10号)の経路・位置を数字で示す。寒色は冷えたこと、暖色は暖まったことを表す。

最後に2024年、今年の状況です。データ入手の関係で8月16日が最新となります。またこの海面水温は今後10日間で更新されていくものなので、確定値ではありません。ついでに台風の位置も2024年は速報解析値です。

低圧部の緯度が比較的高緯度であり、2019年と2022年の時と比べて”海面水温が下がっている海域の緯度が高い”ことがわかります。沖縄周辺海域や東シナ海はこの期間、むしろ海面水温が高くなっています。

モンスーンジャイア、東側の海面水温は台風により低くなっているものの、西側の海面水温は下がらないというのが特徴のようです。どこかの新聞がモンスーンジャイア内(南側)で上昇流が起こって台風となると書いていました。海面水温の変化状況を見ると、モンスーンジャイアの西風と太平洋高気圧の東風の合流域からモンスーンジャイアの東縁(太平洋高気圧の西縁)で海面水温が低くなっています。上昇流が作られるためには、風が集まることが必要なのです。そのため熱帯・亜熱帯の低圧部だけでなく、太平洋高気圧の勢力を気にする必要があります。

これから太平洋高気圧は西に張り出すと、低下した海面水温は回復していくことでしょう。まだ8月ですので。


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